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トラベル
2020.10.09
人口700人の村で、豊かさの本質に触れる 29,700円〜(2食付き1名料金、2名1室利用時)

NIPPONIA 小菅 源流の村

中央高速道の大月ICを下りて国道を進むと、徐々に山が近づき標高が上がっていくのがわかります。途中、緑豊かな深い溪谷に囲まれた場所に広がっているのが深城ダム。穏やかな湖面に周囲の山々が映し出されるここは、紅葉の名所としてもよく知られています。そこからさらに20分。全長3,066mの松姫トンネルを抜けると、今回の旅の目的地、山梨県小菅村に到着します。

東京湾に注ぐ多摩川源流に位置する小菅村は、人口700人ほどの山あいの村。総面積の3分の1が東京都の水源かん養林として100年以上も前から保護され、古くから自然と共生する文化を育んできました。森の中には天然記念物のニホンカモシカや野鳥、数多くの山野草などが生育し、村を歩くとどこからともなく心地良い小川のせせらぎが聞こえてきます。初めて訪れるのに、どこか懐かしい。そんな日本の原風景が残る村のなかでは、時間がゆったりと流れ、時の経つのを忘れてしまいます。

今回、小菅村を訪問したのは、"700人の村がひとつのホテルに"をコンセプトにした分散型ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」を知ったのがきっかけでした。2019年8月に築150年を超える旧家で養蚕農家だった邸宅「細川邸」を、4組限定のホテルと22席のレストランに再生。それを手始めに、今後村内に70〜100棟あるといわれている空き家のなかから、家主の合意が得られたもの、特徴的で立地の良いものを順次客室に改修していくといいます。

江戸末期から続く古民家

曲がりくねった山道を進み、視界が開けてくると左手に大きな白い暖簾がかかった長屋門が見えてきます。この合掌造りの古民家が旧「細川邸」----今晩の宿となる「OHYA棟」です。

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ちなみに、OHYAという名前は、細川家の屋号が「山大」で、下の写真のように「大」という字に山のかたちを乗せて表現していたことから、村人に「大家」と呼ばれていたことに由来しています。

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暖簾をくぐり、788㎡の広大な敷地に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが存在感のある石灯籠と、四季折々の自然が感じられる日本庭園。清流をたたえる庭を眺めながら、飛び石に沿ってゆっくりと主屋に向かいます。

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出迎えてくれたホテルスタッフに案内されたのは、玄関を入ってすぐのラウンジ。養蚕農家の名残りをとどめる高い天井や、黒く灼けた大黒柱、太い梁が目を引く空間です。見事な木材は、すべて先人たちが村の山から伐り出したものだそう。重厚感のある和のしつらえに、ミッドセンチュリーデザインの照明やヴィンテージ家具の組み合わせが不思議と調和し、これから始まる非日常の世界への期待を掻き立ててくれます。

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チェックイン時のおもてなしは、山梨の「まるわ茶園」の緑茶と地元のお母さんたちがつくる名物「チャーちゃんまんじゅう」。室内を見わたすと、ラウンジ上はロフトになっていて、いくつものハンモックが並んでいます。また、アート作品をふんだんに取り入れているのも特徴で、壁には小菅村の鹿にちなんだ金属製の鹿のオブジェが飾られていたり、天井から養蚕が盛んだった時代の古い糸車が吊るされていたりと、美的センスも抜群です。

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村の誇りを守る

かつて養蚕や農林業で栄えた小菅村は、人口が2,200人を超えていた時期もあったといいます。それが現在では3分の1にまで減少し、高齢者率は45%に。過疎高齢化問題に危機感を募らせた村役場では、近年、村の情報発信基地となる「道の駅こすげ」の開業や、村づくり会社「源」の設立を主導し、村ぐるみでさまざまな取り組みを行ってきました。その結果、観光客が大幅に増え、子育て世代が移住してきたことで村の小学校の児童数が増加し、さらには新たなベンチャー企業が5社誕生するなど、地方創生の成功モデルとして全国的にも注目されています。

ところが、村内の旅館や民宿は経営者の高齢化による廃業が相次ぎ、宿泊先が不足。一方、細川邸は3年前から空き家になっており、村役場には家主さんのご家族から「大家」を何とかしてほしいという依頼が寄せられていました。当初は、資料館や図書館にするといった案もありましたが、村全体への波及効果が少ないという意見もあり、結論は先延ばしに。

そんななか、2018年6月に旅館業法が改正されます。従来の法律では、すべての棟に玄関帳場(フロント)の設置義務があったのが、改正後は施設スタッフが10分以内に対応できることを条件に、分散型ホテルの営業が可能になったのです。

細川邸の家主さんは、かつて小菅小学校の校長先生や習字の先生だったご夫婦。村の年配の人たちはほとんどが先生の教え子であり、各家庭にテレビがなかった昭和30年代前半は、近所の人たちたちがここに集まり、テレビを観る時間が何よりの娯楽だったそうです。細川邸は村人にとってたくさんの思い出が詰まった場所。この建物を再生することは村のアイデンティティを守ることでもありました。

そこで、第一弾として細川邸を改修し、ホテルにするという計画が浮上。村役場が先頭に立ち、新たな宿泊施設を運営する新会社「EDGE」を設立します。ここを起点に、村内の道路やあぜ道はホテルの廊下、「道の駅」はラウンジ、村営の温泉施設「小菅の湯」を大浴場と見立てれば、ゲストが村のなかを自由に歩き、村内の経済や交流を活性化させることができるかもしれない。夢はどんどん膨らみ、まずは細川邸を手始めに、いずれ村全体をひとつのホテルにしてみるのはどうだろうか、というアイデアにたどり着きます。

ここでしかできない体験を

この日の滞在は、バンブービュー・ツインの「OHYA3」。扉を開けると目の前にリビングがあり、ふたつのロフトは片方がベッドルームに、もう片方にはハンモックが設置されています。少し暗めの照明と自然光のバランスが良く、ゆったりと落ち着いた雰囲気。テレビはなく、冷蔵庫には村にブルワリーを構える「FAR YEAST」のクラフトビール(1本無料)や多摩川の源流水が。部屋に置いてある小菅産オーガニックハーブティや甲府の「岩田屋珈琲」をその源流水で淹れるのがおすすめだそうです。

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客室はこのほかにも主屋に2部屋、蔵に1部屋あり、それぞれの部屋で趣が異なるのもユニーク。かつて村に来た要人が泊まる部屋だったというガーデンビュー・スイート「OHYA1」や、土間を利用したダイニングスペースや書斎のあるクリエイターズ・ツイン「OHYA2」、蔵を改装した秘密基地のような離れ・土蔵ツイン「OHYA4」など、どの部屋を選んでもほかでは体験できないプライベートな時間を過ごせそうです。

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ひと息ついたところで、予約時にスタッフに案内をお願いしていた周辺の散策に出かけてみました。ガイド役を務めるのは、ホテルの隣に住んでいるという細川晴雄さんです。ヤマメの養殖池の横を通り、裏山畑のあぜ道を歩き始めると、毬栗が落ちていたり、大葉やミョウガが自生していたり、村の日常の暮らしを垣間見ることができます。この日は御岳神社の小さな祠にお参りして、ゴール地点の小菅の湯(ホテル宿泊者は無料で入浴可能)へ。細川さんの話に聞き入っているうちに、あっという間に30分が過ぎていました。

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ちなみに、ホテルのフロントではオリジナルのお散歩&サイクリングマップを用意。宿泊者には無料で電動アシスト付き自転車の貸し出しも行っているので、新しい発見を求めて集落のなかを自由に走り回ってみるのも楽しい時間になるでしょう。

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小菅の湯で9種類の湯船につかり、柔らかな湯を満喫してホテルへ戻ると、庭でスタッフが焚き火の準備をしていました。夕暮れどき、揺らめく炎を見つめながら、大切な人とゆったりと語らう。そんな贅沢な過ごし方も、ここでは自然にできてしまいます。

季節ならではの"旬"の食材を楽しむ

夕食は、長屋門をレストランに再生した源流懐石「24sekki」へ。名前の由来となった二十四節気とは、1年を24の季節に分けた昔ながらの暮らしの暦のことで、ここでは年間で24種類のフルコースを提供しています。「生産者の顔が見える、流通していない地元の食材を使いたい」との想いから、小菅村(あるいは山梨県)の小生産者がつくる旬の食材を厳選。一皿一皿、サーブされるたびに、厨房を預かる鈴木啓泰シェフが料理を丁寧に説明してくれます。

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お椀は、小菅村を流れる清流をイメージ。甲斐サーモン、昆布締めにしたヤマメ、イワナなどの川魚は、お刺身で味わえるほど新鮮です。さらに、村の名産品である鹿肉などのジビエ料理も。そしてシメに土鍋で登場するのが、旬の川魚を使った炊き込みご飯。シェフが蓋を開けた瞬間、香ばしい匂いがあたりに立ち込め、思わず喉が鳴ってしまいます。これは、ぜひともおかわりしたい一品。残ってしまった場合は、おにぎりをつくってもらえるので、夜食として持ち帰る人も多いそうです(メニューは仕入れ状況により、少しずつ変更)。

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デザートを食べ終えて外に出ると、静寂のなかに庭を流れる水の音や虫の鳴き声が響きわたり、空に無数の星がきらめいていました。空気が澄み切っていて、手を伸ばせば光に届きそうなほど。これも都会ではおそらく味わえない感動です。

翌朝の朝食は、村のお母さんたちがつくる家庭料理からヒントを得た九つ膳と、熱々の出汁巻き卵。これがおひつに入った白いご飯、味噌汁とともに、それぞれの客室に届けられます。OHYA3では、その前にスタッフが縁側にテーブルをセット。真っ直ぐに伸びる青々とした竹林を眺めながら、美味しい和食がいただけます。

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観光の新しいかたち

NIPPONIA 小菅 源流の村を運営するスタッフは、全員が村人であり、食材のほとんどが村の生産者によるもの。チャーちゃんまんじゅうやFAR YEASTのクラフトビール、朝食のお漬物などは、ホテルから徒歩圏内にある道の駅こすげで購入することもできます。村全体がホテルというのは決して大袈裟ではなく、村人の多くが何らかのかたちでこのホテルの運営にかかわっているのです。

今年8月には、第二弾となる2階建ての「崖の家」が2棟開業。山と谷が見わたせる崖の上にひっそりと佇んでいた百年越えの古民家を自炊スタイルのコテージに改修しました。こちらは、自社ファームでの収穫体験や、旬の食材セットと地元のナチュールワイン、みんなで囲みやすいアイランドキッチンと充実のキッチンツール、そして地場の食材を熟知した村在住のシェフのレシピなどを取り揃え、手ぶらで訪れても「食」の豊かさを体験できるのが特徴です。

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東京からクルマで約2時間の距離にありながら、田舎で、不便で、たどり着くのも難しい。しかし、そこには美しい自然と豊かな歴史があり、おおらかな人々と穏やかな日常がありました。何も"ない"のではなく、あるものの見せ方を変えて魅力に転換する。NIPPONIA 小菅 源流の村の挑戦は、それらを資源ととらえた逆転の発想でした。

森の中で深呼吸をして、清らかな水を飲み、夜空の星を見て、心がまっさらになる。村の多くの家庭では、いまでも味噌や漬物などの保存食をつくり、野菜やこんにゃくも自家製の自給自足の生活を送っています。また、面積の95%が森林という小菅村では、ブナやミズナラなどの美しい原生林が広がり、山の斜面には日当たりや条件をみんな平等にするために縦割りにした「掛け軸畑」が見られることでも有名です。

長い時間、ずっと繰り返されてきた素朴な営みも、誰かがその価値を見出さないと、この先消えてなくなってしまうかもしれません。ホテルに泊まるだけでなく、スタッフとともに周辺を散策し、村人と触れ合う。そうした一つひとつの体験が、この土地の歴史や文化、暮らしを守り、ひいては地域の復興につながることになるのです。


※新型コロナウイルスによる感染防止策として、NIPPONIA 小菅 源流の村では、徹底したアルコール消毒やスタッフの安全管理、密閉、密集、密接回避のための対策がとられています(https://nipponia-kosuge.jp/information/)。


Words: river

2020/9/17取材
2020/10/30編集
2021/6/24編集

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NIPPONIA 小菅 源流の村
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山梨県北都留郡小菅村大久保3155-1
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Tel 0428-87-9210(9:00〜18:00)
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https://nipponia-kosuge.jp
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参考コスト
OHYA3 2食付き1名料金(2名1室利用時)
29,700円〜
参考コスト合計金額
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