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マダイ 1尾
水産資源の現況
突然ですが質問です。普段食卓に並んでいる、皆さんが食べている魚たちは、どのように育った魚かご存知でしょうか。
令和4年度農林水産統計によると、国内の漁業・養殖業で生産される水産物のうち、実は25%弱が養殖で育てられた魚です。
日本の漁獲量は少なくとも平成に入ってからは右肩下がり、今では魚介類自給率の約半分が輸入もので占められている中で、養殖だけが安定的に生産量を確保しています。
また、世界の天然漁獲量自体も1990年前後からは横ばい推移となり、養殖の伸びが生産量を支えています。
これら生産量変化の原因の一つは各国の経済成長や人口増加による水産物消費量の増加とされています。魚介類の自然繁殖ペースを上回る漁獲量の増加によって、天然の水産資源は減少してしまっています。したがって、養殖は天然水産資源を保護する役割を担っている一面もあります。
養殖を支える魚の飼料も魚?
さて、水産資源を守るためにも、養殖は重要度を増しているとお話しましたが、実はその養殖を支えているエサ(「飼料」といいます)も「魚」だということをご存知でしょうか。
牛や豚などを育てる為の飼料はとうもろこしなどが主原料ですが、魚を育てる為の飼料はその5割弱が魚粉(魚を粉状にしたもの)で占められています。海の中の食物連鎖を想像してもらえば分かりやすいですが、養殖で魚を育てる為にも結局は魚が必要となってしまいます。
水産資源の減少を補うための養殖も、結局は魚を飼料として必要としてしまう環境下において、水産資源保全の為に、何か打つ手はないのでしょうか。
魚を使わない「無魚粉飼料」
水産資源保全の一つの手段として、近年では魚粉の使用量を減らした低魚粉飼料や、魚粉を使わない無魚粉飼料が試されてきています。
魚介類は陸上の畜産動物と比べると生態系として解明されていない点がまだまだたくさんあることから、魚がこれらの飼料を食べてくれて、かつ魚粉と同様の生育効果をもたらすことのできる飼料の開発は、とても高いハードルとなっています。
加えて、漁獲量の減少から近年は魚粉の価格自体が高騰しており、生産者のコスト負担も大きくなっています。
このような状況下において、2023年8月に、無魚粉飼料の中でも、魚粉を使った従来の飼料と同様かそれ以上の生育効果を発揮できるとされる「サステナZERO」という商品の販売を開始しました。水産資源を長期的に保全していくためにも重要な一歩といえるこの無魚粉飼料「サステナZERO」について、今回は開発メーカーであるフィード・ワン㈱の橋本水産飼料部長にお話しをお伺いしました。
養殖のようす
無魚粉飼料「サステナZERO」
無魚粉飼料の開発ストーリーと私たち消費者にできること
───まず、天然水産資源の減少を取り巻く環境についてお考えをお伺いできますでしょうか。
橋本氏「地球温暖化をはじめとした世界的な環境変化が水産資源に及ぼす負の影響は年々顕在化しています。
具体的には水温上昇、エルニーニョ、海流変化などにより、海産物の獲れる時期や場所の変化、各個体のサイズの小型化が進んでいたりするケースもあり、水産資源は減少しています。
一方で、それらを消費する私たち人間の人口は増加しています。タンパク質の摂取を天然資源に依存する人類において、安定供給という点で私たち生産者側に求められる役割が大きくなっていると実感しています」
───そのような環境下で誕生したサステナZEROについて、開発背景について教えていただけますでしょうか。
橋本氏「今お話しした天然水産資源の減少は、魚粉価格の高騰に繋がり、養殖業を営む生産者の経営を圧迫します。
生産者の事業継続が難しくなると、みなさんの食卓へ魚(タンパク質)を供給できないという悪循環に陥ってしまいます。
その点において、サステナZERO開発のねらいには、自然環境悪化への対応だけでなく、事業者の経営支援にもあるといえます。
つまり、魚粉のような特定原料への依存を減らすことで、環境だけでなく、経営にも優しい飼料の供給が、サステナZEROの目指すところです。
サステナZEROでは、従来無魚粉飼料の一番の弱点であった嗜好性(魚がその飼料を好んで食べるかどうか)を大きく改善させ、なおかつ魚粉飼料を食べて育った魚に勝る生育実績を実現しています」
───サステナZEROを食べて育った魚について、魚粉飼料を使った魚と比較して、体格や味に違いはあるのでしょうか。また美味しい魚を育てるポイントは何でしょうか。
橋本氏「実際に社員約80名で試食しましたが、美味しさや姿かたち等は魚粉使用飼料で育成された魚と変わりないという評価でした。
ただし、美味しさの評価内容を深堀して確認してみると、現代人の好みの多様化を感じる興味深い発見がありました。魚粉飼料を使用した魚は、魚の味が濃くて好きだという試食者と、無魚粉飼料はクセが無く食べやすく、魚臭さが無いから好きだという試食者で二分されたのです。
『無魚粉飼料で育った魚はサステナブルだ』という価値が認められるというポテンシャルだけでなく、市場への流通量が増えるにつれて、食の新たな需要を開拓できるポテンシャルもあることを実感しました。
そして忘れてはいけないのは、魚粉無魚粉に関わらず、魚の状態を常に把握し、愛情を込めて育てている生産者の存在です。魚は生き物ですので、同じ飼料を与えても個体差は生じます。生産者の愛情こそが、よりよい魚を生み出していると私たちは考えています」
───水産資源を守っていくために、私たち消費者にできることは何でしょうか。
橋本氏「スーパーなどの店頭で並ぶ魚が、どのように育てられたのかについて、現状はトレースすることが難しいのが実態です。
しかしながら、私たち飼料メーカーが、無魚粉飼料を安定的に供給できるような供給力を付けていくこと、そして無魚粉飼料を利用して生産された魚の流通量が増えていくことにより、いずれ消費者が生産過程を認識できるような枠組みができてくるものと思っています。
現段階で消費者のみなさんができること、それは魚を手に取る時、外食で魚を注文する時、その魚がどのように育てられたかに興味を持っていただくことです。自然環境は人類が生きていくために欠かせません。私たちも含めた全員が、『サステナブルな魚を選ぶ」という意思を示していくことが大事だと思っています。」
真鯛のごま茶漬け
最後に無魚粉飼料を実際に使用されている水産会社を紹介します。
天草で養殖業を営んでいる深川水産では、真鯛の養殖でフィード・ワン社の無魚粉飼料サステナゼロを使用されています。
深川水産の真鯛は、できるだけ脂の少ない育成を心がけており、程よい触感と旨味をお楽しみいただけます。
そんな真鯛を使ったごま茶漬けが大変おすすめです。急速凍結されて出荷されているので、解凍後には真鯛の風味が味わえます。
真鯛茶漬けは下記URL先から購入可能です。
https://www.shopamakusa.co.jp/SHOP/346557/list.html
Words: Aozora bank
2024/6/12
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フィード・ワン株式会社
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神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町二丁目23番地2
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https://learn-about-us.feed-one.co.jp/learn/fish/
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マダイ 1尾 ※時価により変動
※記事中で紹介した深川水産他で購入可能 |
5,000円~ |
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参考コスト合計金額 |
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