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2024.08.09
投資初心者でも実施できる、世界株式「王道投資術」

-先進国株式市場のいまを見ながら-

日本においてデフレからインフレに転換した2020年代、改めて世界株式への分散投資が注目を集めています。日本だけではなく様々な国・地域に分散しながら世界経済全体の成長による利益の獲得を目指すことが、長期的な資産形成の選択肢の1つとして役立つと考えています。その中でも株式を通じて企業に投資をするということは、リターンを得ることに加え、投資先の企業が成長するために必要な資金を提供し、経済の発展に貢献する活動とみることもできます。世界への投資の意義を念頭において、直近の経済状況について見てみましょう。

世界経済は、コロナ禍が収束した後の高インフレ期(物価上昇期)を経て、インフレ率が緩やかに低下する局面に入ってきました。先進国の金融市場では、欧米(特に米国)のインフレ率がどのような形で低下し、それが中央銀行による利下げのペースにどう影響していくかにますます注目が集まっています。インフレを左右する景気の動きについてみると、これまでは米国景気の強さと欧州景気の弱さがが目立っていました。しかし、直近の2~3カ月において、米国と欧州の経済成長率がそれぞれの地域で実力に見合った水準(=潜在成長率)に向かって収れんする傾向が強まってきました(図表1)。

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(図表1)

米国では、2024年1-3月期までは民間消費を軸とした内需が強さを保ち、インフレ圧力(物価上昇圧力)の強さにつながってきましたが、直近では景気に減速感がでてきており、今年後半から来年にかけては潜在成長率程度の、「強くもなく、弱くもない」状態に入ると見込まれます。2022年3月に開始されたFRB(米連邦準備理事会)による、物価上昇を抑えることを期待した政策金利の引き上げによる実体経済への抑制効果はなかなか顕在化しませんでしたが、2024年に入り、金利の上昇を受けて商業銀行の貸出の伸びが大きく鈍化するなどの経路を通じて、徐々に本格化してきました。5月以降は米国の主要経済指標の中で弱い結果が目立ち始めており、賃金上昇率も徐々に低下してきました。こうした中、2024年1-3月期に上振れたインフレ率も、4月以降には徐々に落ち着きをみせています。

一方、欧州の景気は、2023年における低迷期を経て、1-3月期から底打ちの動きを強めており、今年後半の成長率は米国と同様の、「強くもなく、弱くもない」水準まで改善すると見込まれます。ユーロ圏ではECB(欧州中央銀行)が6月の理事会で利下げを実施しましたが、年末までに複数回の追加利下げを実施することが景気に追い風になると予想されます。

こうした先進国景気の動きをふまえると、今後、短期的には、株価の上昇局面が継続する可能性が高いと見込まれます。これは、インフレ再燃の懸念が強かった米国において景気の減速感が出てきたことで、今後、金融市場が年内のFRBによる利下げを本格的に織り込む動きが強まるとみられるためです。FRBの利下げに対する期待感が株価に織り込まれるまでの間は、米国の株価が上昇し、それが欧州の株価にも好影響をもたらすと予想されます。

ただ、この利下げ期待がいったん株価に織り込まれた後は、やはり企業業績が焦点になります。景気がこれから「強くもなく、弱くもない」状況に入るのに合わせて、企業業績に対する期待感も大きく上振れたり、下振れたりしにくくなるでしょう。こうした環境下で、欧米を軸とする先進国の株価は今年末にかけて横ばい圏に入っていくと思われます。

こうした状況下では、これまでのように金融政策やマクロ経済の動きが株価の大きな振れをもたらす相場ではなくなるとみられることから、先進国の金融市場では、企業業績全体に対する期待感は安定するものの、個別の企業の成長性や将来性などは逆にもっと注目され、銘柄間の優劣がこれまで以上にはっきりする相場になると考えられます。このことは投資家の観点でみると、銘柄選択がより重要な相場になっていくとことを示唆しています。銘柄選択の方法としては第一に個別株投資が挙げられますが、世界の数多くの銘柄から選ぶことは容易では無く、必ずしも万人向けとは言えません。「アクティブファンド」と言われる、専門家が銘柄を選択して構成した投資信託を購入することで、調査が徹底的に行われた銘柄群への投資を行うことも、選択肢の一つとして挙げられると思います。

また、米国株式市場において、AI(人工知能)技術の将来性に対する期待が大きく膨らみ、テクノロジー関連の一部の銘柄が過去1年半以上にわたって株式市場をリードしてきたことも、銘柄選択の重要性を高めています。現在の米国市場においては、時価総額上位10%の銘柄が時価総額全体に占める割合は75%弱に達しており、これは2000年頃のITバブルと呼ばれる時期の割合とほぼ同様の水準となりました。しかしながら、ITバブル期に注目された銘柄のPER(一株当たり収益率)が非常に高水準に達したのとは異なり、現在では多くのマグニフィセント7銘柄(※注1)のPERは企業業績の好調を反映した業績にふさわしい価格になっている、言い換えれば極端な割高になってはいません。それでも、短期間に株価が上昇したマグニフィセント7銘柄への警戒感はみられます。何らかのきっかけでこれらのテクノロジー銘柄に買いが集中する状況がおこるなら、そういった集中投資には相応のリスクがあると言えるでしょう(図表2)。

※注1:超大型のテクノロジー株である、エヌヴィディア、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、アップル、テスラの7銘柄を指します。

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(図表2)

現在の中小型株のPERでみた評価が大型株に比べて低めである点も、これからの局面における銘柄選択の重要性を示唆しています。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス指数で採用された大型株のPERと中小型株のPERを対比してみると、直近の比率は、中小型株のPERが2000年以降で最も割安な水準にあることを示唆しています(図表3)。

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(図表3)

その一方で、足元で米国株式市場におけるディフェンシブ銘柄(※注2)(図表4)がおおむね割安になっている点も、そうした銘柄の選択は投資の良いチャンスだと示唆しています。米国株式市場において、ディフェンシブ銘柄と呼ばれることの多い、ヘルスケア、生活必需品、公益のセクターの銘柄のPERを大型株全体のPERと比較すると、現在の局面では、ディフェンシブ銘柄が割安の状況にあります(図表4)。これは、多くの市場参加者が景気のソフトランディングを想定している際に一般的にみられる現象ですが、この現状は、ディフェンシブ銘柄に対する投資機会があることを示していると言えます。

※注2:企業業績が景気の変動に左右されにくい業種の銘柄を指します。

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(図表4)

先進国株式市場では、直近において一部のテクノロジー関連銘柄が群を抜くパフォーマンスを達成し、主要株価指数を押し上げる原動力となってきました。生成AIのテクノロジーがこれからの社会の変化を中長期的にけん引していく可能性が高いことを考えると、今後も、こうした一部の銘柄の魅力がなくなるとは思えません。その一方、これらの一部銘柄に集中していた新規の投資資金が今後も同じ銘柄に集中的に投資され続けるという保証はありません。これらの銘柄に高値警戒感が意識され始めている点をふまえると、今後の株式投資においては、今の相場の局面で割安となっている銘柄を含めた銘柄を選択し、分散投資を行うことが重要になっていくと思われます。

世界経済の成長を個人の資産形成に取り込む手段としては投資信託の活用が挙げられます。ここで重要な点は投資対象が特定の国や地域、産業などに偏ることなく広く分散されていることです。リスクを広く分散しながらも、ゆるぎない信念に基づきしっかりと個別銘柄の選択を行いファンドの成長を目指す。このようなファンドへの投資を通じることにより世界経済全体の成長をより効率的に自身の資産形成に取り込むことができると考えられます。是非とも資産形成の一部にアクティブファンドの活用を考えてみてはいかがでしょうか。

木下智夫 グローバル・マーケット・ストラテジスト
1987年に野村総合研究所に入社。ワシントン・オフィスやシンガポール・オフィスなどでの海外経済分析業務や世界銀行でのコンサルタント業務などを経験した後、野村證券株式会社に転籍、香港での中国・アジア経済調査責任者を経て、東京でチーフエコノミストに就任し、日本経済を軸とした内外経済金融情勢についての調査分析業務に従事。2012年以降は、チーフ・マーケット・エコノミストとして、グローバル経済・金融市場の分析・情報を投資家やメディア等に提供するなど、長期間にわたり内外の経済金融情勢分析に従事し、2019年4月よりインベスコ・アセット・マネジメント株式会社に入社、現職。京都大学卒業。ノースウエスタン大学経済学修士

『世界屈指の資産運用会社インベスコが明かす世界株式「王道」投資術』インベスコ・アセット・マネジメント著(KKベストセラーズ)のご紹介
本書は、日本と世界の投資の実情や、世界株式になぜ今目を向けるべきなのか、世界株式に〝アクティブ運用〞を掛け合わせる資産形成について説明します。
また第3章では、世界の株式の中から銘柄を厳選するアクティブ運用の例を取り上げ、プロの運用者は何を考え、どのように投資を行っているのかを具体的に紹介します。
インベスコ・アセット・マネジメントは、昨年、日本に事務所を開設してから40周年を迎えました。インベスコ、また日本拠点の歴史やカルチャーについても触れながら、今までベールに包まれてきた運用手法や運用会社の実態を知っていただき、一人でも多くの方の資産運用や資産運用会社の役割への理解が進めばと願っています。

ワード・図表:インベスコ・アセット・マネジメント株式会社

2024/7/22

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