景気低迷が続く日本と異なり、力強い経済成長が続くアメリカ。そんなアメリカの不動産は、以前より日本人の憧れの存在であり、人気の投資先です。会社経営者や富裕層のなかには、ステータスシンボルとしてハワイに不動産を持ちたがる人も多くいます。そんなアメリカ不動産投資の基本について見ていきましょう。
国際税務や海外不動産に明るく、ニューヨーク州弁護士資格も保有する、中村法律事務所の代表弁護士、中村優紀先生が解説します。
物価上昇にともない、不動産価格・賃料も上昇中
多くの日本人が憧れを抱くアメリカ不動産ですが、投資の面から見ても、物価の上昇とともに何十年も右肩上がりの上昇を続けています。つまり、過去数十年のスパンで見れば、どのタイミングで買ってもキャピタルゲイン(売却益)が得られたのが、アメリカ不動産なのです。過去そうだったからと言って、将来もそうなるとは限りませんが、ここではアメリカ不動産のメリットと注意点を学んでいきましょう。
資産価値が上がり続けた背景には、物価の上昇以外にも、アメリカ人の積極的な住宅ローンの借入、そして旺盛な住宅の購買意欲等があります。
不動産投資は、キャピタルゲインだけではなく、インカムゲイン、つまり不動産を購入した後に賃貸をすることで定期的に得られる賃料収入も魅力です。アメリカ不動産の場合、一定の家賃収入を米ドルで得られるので、例えば、会社を定年退職された方であっても、老後の生活や海外旅行等の趣味に使うお金を捻出することができます。とくに、アメリカは毎年物価が上昇しているため、不動産の賃料も日本とは異なり、徐々に上昇しているのが特徴的です。
日本の法人がアメリカ不動産を購入すると...
日本の税法上、築年数が20年以上経過している物件なら、4年間で償却(費用を計上)することが認められています。そのため、日本法人の場合、アメリカ不動産の購入により利益が圧縮されるケースもあります。
また個人の場合でも、建物の付帯設備等ごとに一定割合を償却にあてられるため、不動産所得がマイナスとなり、事業所得と相殺できるケースがあります。
このように、アメリカ不動産は、キャピタルゲイン、インカムゲイン、そして税金上のメリットがあります。これらに加えて、最近は円安の影響から、円以外の通貨での資産運用が注目されており、そこで、政治経済が相対的に安定しているアメリカへの投資が人気になっているといえるでしょう。
アメリカ不動産購入時の注意点
他方、アメリカ不動産を購入するときには留意すべき点があります。
当然ですが、購入後は不動産を維持する費用がかかります。日本の不動産と同様、現地の管理会社に不動産の賃貸管理、修繕その他を依頼することになりますので、一般的に賃料の10%程度が管理料として徴収されます。また、賃借人が退去して新たな賃借人が入居する際には、管理会社に賃料1カ月分などの仲介手数料を支払うこともあります。
さらに、固定資産税を支払う必要があります。これも日本と同様ですが、アメリカでは州によって高額の固定資産税が生じうる点に違いがあります。
例えば、テキサス州では実際の事例として、約30万ドル(約4,115万円、2022年12月12日付の為替レートによる)の戸建住宅について、年間で約5,000ドル(約68万円)の固定資産税が発生しています。日本の不動産にくらべると、固定資産税額は高めです。
また、為替相場によっては、不動産投資の収支が悪化する可能性がある点にも留意が必要です。すなわち、アメリカ不動産を購入したあとに円高が進んだ場合、不動産価格は円換算で目減りすることになります。
賃料についても同様です。たとえば、日本の銀行でローンを組んでアメリカ不動産を購入した場合、そのローン残高は、不動産購入時のドル円レートに従って円で設定されています。そのため、その後円高が進むと、賃料を元にローンを返済しようと思っても、せっかく得た米ドルも円に換算すると低くなるため、ローン返済の負担が増すことになります。
現地の信頼できる管理会社探しも重要に
このように、アメリカ不動産投資は、日本の不動産投資では考える必要がなかった為替変動や、税金などの現地の法制度による維持コストといった点にも目を向ける必要があります。そして何より、現地で信頼できる管理会社を選択することが重要です。ご自身で直接海外の物件を見に行くことも、国内ほど簡単ではありません。そのような状況において、修繕や手入れを適切に行い、賃借人との賃料交渉もしっかりやってくれる管理会社との出会いはとても重要です。
また、アメリカ不動産を購入する際には、ぜひアメリカの国としての情勢だけではなく、州の経済動向なども見たうえで物件を決めていただくのがよいと思います。
物件情報についても、アメリカではZillowといったサイトが、不動産ごとの現在価格や過去の取引履歴、賃料などをオープンにしています。このサイトには物件の写真も細かく掲載されており、実際に購入する際のイメージトレーニングにもなるので必要に応じご参照ください。
アメリカ不動産市場、これからも上昇する可能性が高い!?
これまで、アメリカ不動産は総じて、毎年価格が上昇し、それに応じて賃料も上昇してきました。一般的に賃借人が変わるたびに賃料の低下を危惧しなければならない日本とは大きく事情が異なり、魅力的な市場の一つであるといえるでしょう。
最近のアメリカ政府の金融引き締め政策により、一時的にアメリカの不動産価格は下落していますが、長いスパンで見れば、アメリカ不動産市場は上がっていく可能性は高いと筆者は考えます。安定した資産運用の選択肢として検討してもいいかもしれません。
中村 優紀氏プロフィール
国際コンプライアンス案件を専門とする法律事務所で国際カルテル案件等を担当。その後はニューヨーク州弁護士資格を取得し、米国大手法律事務所のサンフランシスコオフィスに執務。中村法律事務所開設後は、日系企業のアメリカ進出の法的サポート、クロスボーダーM&A、海外現地法人設立、海外不動産トラブルの交渉、海外の債務者への債権回収、アメリカ大使館での証人尋問といった紛争案件の代理も務めるほか、個人の国際相続も専門的に取り扱う。
Words:弁護士・ニューヨーク州弁護士 中村 優紀(中村法律事務所)、幻冬舎ゴールドオンライン
Illustration:坂木 浩子(株式会社ぽるか)
2023/2/11
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