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マネー
2021.02.26
山を買って豊かに暮らすという選択

『山を買う』の作者・來嶋路子さんの場合

最近のテレワークをはじめとした働き方の多様化によって、暮らし方や住まいの形がこれまでとは変わってきました。従来の都心通勤型が中心の生活では、都心に近く、駅に近い住まいというのがもてはやされていました。しかし今、その逆の生活スタイルで豊かな暮らしを紡ぎ、その魅力的な生活ぶりを楽しんでいる人たちがいます。
今回ご登場いただく來嶋路子(くるしまみちこ)さんは、北海道の過疎地で、「山を買う」という選択をし、その暮らし方を発信しています。來嶋さんは都内の美術系出版社に勤務したのちに北海道の岩見沢に移住。当初は北海道と都内を行き来する生活を送り、その後は本づくりを手がける「ミチクル編集工房」を主宰、自らの出版活動も行なっています。そこから出版されたのが『山を買う』、『続 山を買う』(ミチクル編集工房刊)という2冊の著作です。今回は、現地の來嶋さんにインタビューを行い、実際に山を買う方法や、山との付き合い方をお聞きしました。

山を買えることの面白さに目覚める

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來嶋さんは2016年に仲間とともにこちらのイラストに描かれている山を購入されました。広さは約8ヘクタール、一周するのに30分ほどかかるそうです。購入のきっかけは何だったのでしょうか。
「私が今住んでいるのは、岩見沢市の美流渡(みると)という人口400人ほどの小さな集落です。最初はここから都内などに出張して、仕事をしていましたが、いく先々の人々がその働き方や、暮らし方に興味を持ってくれました。過疎地だからこそ人を引き付けるものがあるのだと思い、最初はエコビレッジ(住民の相互扶助と低環境負荷の工夫により持続可能な暮らし方を目指すコミュニティ)をつくり、人が集う場所を生み出せたらいいなあというのが出発点でした」。しかし持続可能な生活を営むビレッジをつくるには、大きな土地が必要。そうなると北海道でも価格などの制約から、中々手が出るものではありません。そこで、周囲の助言などもあり「山」に目をつけたようです。
「途中からエコビレッジというより、山を買えることの面白さに目覚めてしまいました。経験したことのないようなことを沢山知ることができて、勉強になって、興味とワクワク感が先行して、まずは購入してみようという気になりました」。

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山はどうやって購入するの?

來嶋さんの場合、最初に地元の森林組合、そして次に知り合いの伝から「山」を所有する地主さんを紹介してもらいこの「山」に行き着いたそうです。気になる購入のお値段について、來嶋さんの「山」は「中古車一台分くらい」、年間の維持費となる固定資産税も5000円ほどと言います。
その値段でそんな広大な土地が自分のものになるとは、コスト面だけみれば「すぐに山を買ってみたい!」とも思えますが、いくつかの注意点があると來嶋さんが教えてくれました。「まず道路に面しているかは大きなポイントです。他の人の土地を通らないと行けない場所や、傾斜がキツすぎるところだとアクセス自体が難しくなります」。何かを運ぶにしても、自分たちがその場所に行くにしても、接道していなければ行くのが億劫になるのは目に見えています。來嶋さんが所有する「山」は道路と繋がっており、さらに比較的なだらか、そして木を伐採した後だったことから、伐採時にブルドーザーがならした道が続いていて、奥までのアクセスは良好です。手付かずの林と薮が密集するような「山」も沢山あると思いますが、それらを購入した場合、道をつけて行くのは気の遠くなる作業になります。何と言っても相手は自然の一部ですし、個人の力が及ぶ範囲を超えています。

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山からの恵みは想像以上

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山との付き合い方は人それぞれありますが、來嶋さんの場合は植物を観察したり、たまに遊びに行ったりするくらいで、年がら年中行っているわけではないそうです。それでも春には草花が芽吹き、山菜などの恵みもあります。「ほかにも子どもたちと落ちている木の枝やツタで東屋を建てたり、粘土質の土を見つけたことで土器を作ったりしたこともありました」。そして山を持つことの喜びは、そういった具体的なメリット以上のものがあると來嶋さんは続けます。
「山は自宅の庭とは違います。圧倒的な自然の営みや、人間の時間軸だけでは計れないものを感じます」。その一つの例として植林を挙げてくれました。

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100年・1000年の時を考える

植林をして木を育てるというのも、「山」を買って活用することの代表的なものの一つです。來嶋さんの「山」にも、森林組合との協業で、新たに「ヤチダモ」「ミズナラ」「カラマツ」が植えられています。

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「木の成長は楽しみですよね。でも庭木のように日々、水をあげられるわけでもなく、基本は自然の力で育ってもらいます。ここが立派な森になるのには、100年や1000年の時を考えなければなりません」。木や山と付き合うことで感じられるのは、現在の経済活動のスパンから外れるスケール、気候変動をはじめとする環境、不法投棄の問題などさまざまなことだと語ります。

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來嶋さんの本は「山を買って愛してみませんか?」で締めくくられますが、「山」を持てば、自ずと自分の土地も含めた周囲の環境や開発に対して敏感になります。そして豊かな森や自然の存続を考えるようになります。そんな人間の営みを超えた、大きなテーマも含んでいるのが「山を買う」ことなのだと、つくづく感じさせてくれました。

Photos: Michiko Kurushima、Hiroyuki Joraku(書影) 
Words: Tomohiro Tsuchiya @ Yellowjam

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來嶋路子
1994年に美術出版社で働きはじめ2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長に。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務という形で仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う「ミチクル編集工房」を設立、『山を買う』などを上梓。この春、自身が企画編集を手がけ、ハタチの学生たちとともにインタビューをした『いなかのほんね』を中西出版より刊行、北海道の過疎地に住む人々の本音に迫っている。

ミチクル編集工房
https://www.facebook.com/michikuru

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2021/02/08
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