“賢く愉しく生きる”Voicyで人気のパーソナリティ尾石晴の自分業のすすめ
40歳を迎えると、自分の人生はこれでいいのかと考える人も増えるのではないでしょうか。そんなときに頭に浮かぶのが「FIRE」かもしれません。FIREとはFinancial Independence,Retire Earlyの略で、経済的自立を達成し早期リタイアを目指す、という考え方です。でも、本当に目指したいのはそこじゃないかもしれない...?というのが今回のテーマです。
40歳前後の多くの人が感じていてもうまく言葉にできない、モヤモヤした気持ちを"40歳の壁"と表現した本があります。『40歳の壁をスルっと越える人生戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)著者であり、「株式会社ポスパム」代表で2児の母でもある尾石晴さんにお話を聞きました。
尾石さんは、外資系メーカーに16年勤務後、2020年4月に退職し、サバティカルタイム(使途用途を決めない学びの休暇)へ。その後、オンライン・スタジオヨガ「ポスパム」、母と子のスキンケアブランド「ソワン」の立ち上げ、2022年春から大学院修士課程在籍、音声メディア「voicy」のトップパーソナリティなど、幅広い分野で活躍しています。その経緯を伺いつつ、尾石さんの考え方について深掘りします。
「40歳の壁」は3つの意味がこめられている
―――著書名にもなっている「40歳の壁」とはどんな壁なのでしょうか?
尾石晴さん(以下、尾石さん)「40歳を迎えて、今まで通りではいかない、と困難を感じることが多くなります。それを壁と表現しているのですが、私は3つあると思っています。
1つ目は、40過ぎの方が会社の中でも中堅どころで、人生も折り返し地点に差し掛かり、これまでのキャリアを振り返り、不安を感じる時期ということ。
2つ目は、ライフイベントとして子どもが小学生になる時期で、保育園に預けることが難しくなり、共働きが増える中で子育てとキャリアの両立に迷いが生じる時期です。世間では"小1の壁"ともいいますね。
3つ目は、発達心理の観点から、40歳前後がミッドライフクライシスとされ、自分の人生に迷いを感じる時期だからです。他者への貢献や人生の振り返りが始まり、不安を抱える時期とされています」
尾石さんがFIREをすすめない理由
―――40歳の壁にぶつかった人が「FIRE」を目指そうと考える人も多いように思いますが、尾石さんはFIREをすすめないと
尾石さん「FIREはアメリカから来た考えで、基本的には資産を作り、4%ルール(その人の生活費25年分に相当する資産を貯めて年利4%で運用すれば資産を減らさずに生活できるという考え方)で取り崩して、毎月の定額で仕事をせずに生活する提案ですよね。でも、社会情勢が不安定である今、円安や紛争、未知のウィルスなどの不確定な要素が増え、資産の価値が変動しやすくなっています。30歳や40歳に決めた決断で、残りの長い人生を生活していくのは個人的にリスクが高いと思うからです。
とはいえ、今の働き方のまま60、70歳まで働いてから、やっと自由に生きるというのはちょっと遅いと感じます。FIREとまでいかなくても、本業を持ちながら副業で収入を得るとか、キャリアチェンジするとか、健康とお金を兼ね備えるような仕事を設けていくことが重要だと思っていて、それが私が提案する"自分業"につながっています。そもそも、FIREで社会的なつながりがなくなってしまって幸せかというのもあります」
40歳の壁を感じたときが「自分業」を育てる合図?
―――本書では「"40歳の壁"を感じたら、FIREを目指すより"自分業"を育てよう」という提案をされています
尾石さん「はい、『自分業』とは、"お金""つながり""健康"の三要素を満たす仕事のことです。この3つを完全に満たすのが理想ですが、必ずしも完全に満たさなくてもよいと思います。
まず、"お金"については、最低生存月額から考えて、本業と副業の配分を工夫することが重要だと思っています。収入のハードルは人によって異なるため、自分に合ったスキルや資格を身につける必要があるかもしれません。
次に"つながり"が生まれるように方向性を考えること。40歳前後で会社員をしていると人間関係が家族と会社の人に限られがちです。これを解消するために、趣味の仲間や協力関係を築いてつながりを広げ、人間関係を分散させることがとても大切だと思います。
3つめは"健康"ですね。仕事を持つと、朝起きて仕事に行き、昼食を食べ、夕方に帰宅するといった生活のリズムができます。それが肉体的な健康につながるので、健康のためにも定期的なリズムでできることを探したいですね。
"つながり"もそうですが、他者と関わることで話したり、理解したりする認知力の向上やメンタルヘルスにもよい影響があります。
『自分業』とは、一つの仕事だけでなく、副業も含めたトータルでこの3つの要素を満たすことと考えています。
40歳前後の時期にこの3つを意識的に作っておくことが、将来的に柔軟な生き方が選択できる基盤を築くことにつながると思います」
―――一方で副業をたくさんやっている方や、忙しさでさまざまなことが犠牲になっている人も多く見受けられます。
尾石さん「『自分業』を続けていくポイントは『やらないことを決めること』です。自分の人生で何を最優先にするかを決めることがとても重要だと思います。
お金、つながり、健康など、それぞれの価値観や年代によって優先度が異なりますが、やらないことを決めることで、優先順位を明確にすると、自分の生活をコントロールしやすくなります。
例えば、今はあまりお金が必要ないけれどつながりが欲しい、という時期だったら、無償でもお仕事を受ける。逆にお金がすごく大事な時期だったら、つながりは減るかもしれないけれど、対価が得られる仕事しか受けない。みたいに、やめることを決めることで、柔軟に対応できるようになります。
特に会社員の場合、言われたことを全部やることが求められるため、自分が選んで優先順位をつけることは難しいですよね。そんな中でも、やらないことを決めることで、自分の人生をコントロールする力がつくと思います。
私の場合も、はじめは発信するために記事や書籍など執筆をがんばっていましたが、今はVoicyなどしゃべることで発信できる音声メディアの方を優先することにしました。より得意なことにシフトする方が、効率がいいのでおすすめです」
―――今後の人生で追求したいものを整理することが重要なステップなのですね
尾石さん「自分が今持っているものと、不足しているもの、または育てたいと思っているものを見極めることで、次にどの方向に進むべきかが見えてきます。自分の人生で何が本当に大事なのか、何を追求していきたいのか、それを整理していくことが、『自分業』を始めるための第一歩だと思います」
尾石さんが会社員を辞める決断ができた理由
―――尾石さん自身が会社員を辞めるときに不安はなかったですか?
尾石さん「私は(会社を)辞める2年前から発信活動を初めていて、フリーランスなど独立して働く人たちと触れ合うようになりました。それまで会社員の方としか接点がなかったのですが、発信を通じて多くの方々の働き方を知り、その中で独立して仕事をする人が増えていることに気づきました。彼らの働き方やお金の稼ぎ方を見て、そのパターンをロールモデルとして学んだことが大きかったです。
例えば、仕事を失っても毎月の固定費を数年分確保しているとか、資産形成の方法とか、仕事だけでなく投資も含めた収入源の多角化などです。自分にあわせた適切なバランスを見つけ、さまざまな要素でお金の準備を整えました。
あとは勤めていた会社を辞める際、再雇用の可能性も残しておきました。転職市場での年収の調査や面談を通じて、もしも再雇用の場合、どの程度の年収で戻れるかを自分の中で把握し、安心して挑戦できる期間を2年ほど確保できたのです。全体的なバランスを考えることで、お金の面だけでなく、自分の挑戦に集中できるようになりました」
―――しっかりと準備をしていたからこそ挑戦できたのですね
尾石さん「本格的に踏ん切りがついたのは、"小1の壁"ですね。小学1年生の子どもを育てながらの共働きが難しくなったことが一つのきっかけでした。
学童やベビーシッターを活用しても限界を感じ、コロナ禍の影響もあって、子どもとの時間を大切にするためにも働き方を変える必要性を実感しました。共働きでしたので、家事育児分担と金銭負担をどうするのかっていうことをパートナーと話し合いました。家庭内の分担について、現状の棚卸しから家庭の方針についてです。(パートナーから)『会社員を辞めないで』とは言われなかったので、そこは信用されているのかなと思いましたね」
40歳の壁を超えてからの方が人生は長い
―――現在取り組んでいること、これから取り組んでいきたいことはありますか?
尾石さん「現在、大学院に通う傍ら、ヨガstudioの運営やECサイトでデリケートゾーンのケア用品の販売などを行なっています。これらはすべて"女性の健康"に焦点をあてていて、女性の健康促進に関わるような事業を展開していくことを考えています。
私のまわりのワーキングマザー、ワーキングファザーの方たちは、時間がない中でも自分のキャリアや資産運用などをすごく真剣に考えてらっしゃいます。その一過程として、40歳の壁を超えることが目標にはなるんですけども、実は超えた後の人生の方が長いんですよね。子どもが手を離れて、年を重ね、会社を定年退職してどのような老い方をするのかということが、自身の人生の幸せに結びつくと思います。
40歳の壁を超えても、ずっと自分と同世代の人たちが健康に年を取って幸せになれるような提案だったり仕事だったりをしていきたい。顧客と一緒に育って年を取るような関係になりたいですね」
尾石晴氏 プロフィール
外資系メーカーに16年勤務。長時間労働が当たり前の中、子持ち管理職経験から「分解思考」で時間を捻出。2020年4月に退職し、サバティカルタイム(使途用途を決めない学びの休暇)に入る。その後、オンライン・スタジオヨガ「ポスパム」、母と子のスキンケアブランド「ソワン」を立ち上げる。2022年春から大学院修士課程在籍中。2児の母。
音声メディア「voicy」(https://voicy.jp/channel/862)では6,000万回再生超えを記録し、トップパーソナリティとして活躍中。その他、X(旧Twitter)、note、Instagramでも発信。SNSの総フォロワー数は20万人。著書は『やめる時間術』(実業之日本社)、『ライフシフト習慣術』(フォレスト出版)など計5冊。
Interview&Words:INCLUSIVE.inc
2024/1/29
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