福岡県大川市は人口約4万人の小さな地方都市。でありながら、家具の生産量は日本一を誇っており、市内及び近郊には家具工房やショップが多数あります。

そんな大川に、家具・インテリアの総合卸や通販などを手がける家具商社『関家具』はあります。使い手のさまざまなニーズに応える多種多様なブランドを展開し、幅広い世代から支持を集める『関家具』のStoryを2話に渡りお届けします。

今回は同社が手掛けるブランド『アトリエ木馬』をご紹介します。『アトリエ木馬』は、丸太の仕入れから製造、販売、アフターサポートまでをすべて自社管理で行なう一枚板の専門店として、国内屈指の品揃えを誇っています。全国各地から訪れるファンも少なくないそう。

買い付けから仕上げまでの全工程を自社で行なう

『関家具』が「ぬくもりで、世界を変えよう」をコンセプトに一枚板の専門ブランド「アトリエ木馬」を立ち上げたのは2011年8月のこと。
国内外よりバイヤーが丸太の買い付けから仕上げまでのすべての工程を自社管理で行ない、唯一無二の一枚板を作り出しています。
一枚板とは丸太から製材したつなぎのない一枚モノの板のこと。テーブルとして使える幅になるまでには100年以上かかることもあり、希少価値が高く一生モノの家具として人気を集めています。

今回は多種多様な素材やサイズの一枚板がズラリと並ぶ「アトリエ木馬 大川ギャラリー」を訪ね、ブランドのコンセプトや一枚板の魅力などについてお話を伺ってきました。

最初にご案内いただいたのは、大川ギャラリーから車で数分のところにある工場です。国内外から買い付けられた丸太は製材をした後、2〜10年をかけてゆっくりと乾燥させます。乾燥が終わると、完成形をイメージしてカットされ、ここから細かな加工を行なっていくそうです。

木に含まれる水分量を調整したり、マシンを使って反っている板を平らにしたり。熟練の職人によって、1枚1枚、丁寧に仕上げていくのです。すべての工程を1カ所で行なっているため、サイズの調整やメンテナンスなども柔軟に対応しています。

どんなシチュエーションにもぴったりの1枚が見つかる

「一枚板は同じ丸太から取ったものでも木目が異なりますので、まったく同じというものがありません。オンラインショップもありますが、1枚1枚表情や手触りが異なるので、できればギャラリーにお越しいただいてお選びいただきたいですね」と話すのは、大川ギャラリーの上村大輔店長です。

大川ギャラリーには約150枚、倉庫には2000枚以上の一枚板がありますが、お客様の多くは、ビビビッときて最良の一枚板と出会うのだそうです。

いま人気上昇中の樹種はモンキーポッド。ハワイに生育する、CMでもお馴染みになった樹木です。「木目が美しいモンキーポッドは色馴染みもよく、どんなテイストのお部屋にも合わせやすいので人気なんですよ」と上村店長は言います。
心材（木目が見える切り口部分）と辺材（木の皮部分）のコントラストがはっきりしているのが特徴で、圧倒的な存在感があります。

とはいえ、同じ樹種であっても1枚1枚、表情が異なるのが一枚板の面白いところ。サイズや色目などを考慮しながら、お気に入りの1枚に出会うまでのプロセスも、一枚板が人気を集める理由の一つとなっています。

「以前は40代以上のお客様が中心でしたが、最近はSNSで一枚板のことを知り、20代、30代のお客様も増えてきました。樹種もサイズも豊富のため、さまざまなテイストに馴染みますし、脚の部分の素材が選べますので、どんなシチュエーションにも合うように演出できます。新築で家を建てられるお客様は、まず一枚板を選んで、そこから間取りや壁材、床材などを決めていく方も少なくありません」と、上村店長。

存在感のあるダイニングテーブルは空間の主役。そのテーブルを囲み一家団欒している様子は、とても微笑ましいものです。

「使えば使うほど、部屋に馴染んでいくと言っていただいています。日々のお手入れは水拭きで。油汚れが気になったら、アルコール除菌をして水拭き、乾拭きをすれば問題ありません。私たちは「1000年家具」をうたっています。磨き直しなども行なっていますので、お子さん、お孫さんへと受け継いで使っていただくことができます」

欧米では大切な家具をメンテナンスしながら、世代を超えて長く使い続ける文化が息づいていますが、一枚板の家具は、まさに親から子へと受け継いでいくことのできる特別なもの。唯一無二の一枚板との出会いによって、日々の暮らしがより豊かになるきっかけになるかもしれません。

※アトリエ木馬では、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言にともない、一部店舗で休業・営業時間を短縮しています。最新の営業時間はアトリエ木馬HPにてご確認ください。
なお営業中は、マスクの着用・換気・消毒・ソーシャルディスタンスの確保等、コロナ対策を入念に行い営業しております。

Words: Ayuko Terawaki（Cadette）　Photos: Yukino Nakanishi（moonlit）

2021/4/21取材
2021/8/27編集

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