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漆芸中島の江戸八角箸/幻の青黒檀(公式オンラインショップにて購入可)

日々使うものこそ贅沢に──そんな目も口も肥えた人におすすめしたいのが江戸八角箸です。東京は佃に暖簾を掲げる漆芸中島の十一代目当主・中島泰英さん手がけるその箸は近ごろではめったに手に入らない銘木が贅沢に使われています。自宅で食事することが増えたいまなら、いっそうありがたみが実感できるでしょう。
大名も愛した漆器の名門老舗
仕掛かりの箸を小気味よく、くるくるまわしながら、ヤスリをかけていく。聞こえてくるのは、ヤスリが木を削るかすかな音ばかり。気持ち前傾姿勢になり、手元に集中する無駄のない動きに見惚れていると、あっという間に時間は過ぎます。塗料をなみなみと注いだ桶にちゃぷんと浸す音で我にかえれば、1膳仕上げるのにゆうに30分は経っていました。
「コツはありますか」とたずねると、「これはもう、体に染みついたものだから説明のしようがない」。「では、力はいりますか」。「いらないね。いやむしろ、力は入れないね」
徳川吉宗の時代から続く漆芸中島は漆塗りの調度品で名を馳せた工房です。大名屋敷に出入りしていたそうですから、その腕や推して知るべし、でしょう。
漆器の需要が減って、50〜60年前から本格的につくるようになったのが、八角形の箸。江戸でつくる八角形の箸だから、江戸八角箸というわけです。初めのころはさっぱり売れず、デパートの職人展などで知名度を上げていったといいます。
「気がつけば寿司屋の飯台も寿司桶もスクリーンプリントのベイクライト(世界初の人工プラスチック)に取って代わられていた。まだ親父も健在のころでね、どちらからともなく箸をつくろうとなった。材料となる木はごまんとあるからな。八角形は象牙の箸をヒントにした。象牙はつるつる滑るだろ。だから角を立てたんだな。そのアイデアは木箸にも使えるだろうと踏んだんだが、読みどおりだったね。こんにゃくやイカの刺身がこんなにもかんたんにつまめる箸はそうはない」
初代から数えて十一代目にあたる中島泰英さんは一級漆器製造技能士の資格を有する、漆器業界を代表する職人です。中学卒業と同時に築地の山形屋で丁稚奉公をはじめ、18歳で家業に入りました。山形屋は輪島や会津を渡り歩いてきた職人が立ち上げた漆器問屋です。
「おれはほとんど最後の小僧じゃねぇかな」と当時を懐かしむ中島さんの修業時代は、順風満帆そのものだったそうです。
「おれは労せずして技を身につけていった。技は見て盗めといわれた時代に親方は1から10まで丁寧に教えてくれたんだ。しかもおれは親父の血を引いているときている。うちの親父は婿養子だ。なんでも漆芸中島の弟子のなかで最も腕のいい職人がうちの親父だったんだ。3〜4人はいた兄弟子を押しのけて婿養子の座を射止めたんだからなかなかなのものだろ。かくいうおれも一級漆器製造技能士の試験で満点をとった。おれが知るかぎり、満点をとったのはおれひとりだったよ」
銘木の数々と職人技の共演
漆芸中島の江戸八角箸の魅力のひとつは、唐木三大銘木といわれる黒檀や紫檀が揃うことにあります。それら銘木に共通するのは成長の歩みがとっても遅く、木目が交錯し、堅く重いところ。堅木といわれる所以です。かつては仏壇や家具に使われてきましたが、その多くはワシントン条約で取引が禁止されています。漆芸中島が銘木の商いを続けてこられたのは、ひとえに先祖代々こつこつと買い溜めてきたから。といってもものによっては残りわずかとなっている木材もあるそうです。
そして、箸の先まで八角形に削り上げたシルエット。堅木だからできる芸当ですが、もちろんそれは老練の職人技があってこそです。
工程はざっと次のとおり──木材をある程度の大きさに製材し、薄い斜め板にカットする。次に箸の幅にカットし、削り台に乗せて立ち鉋(かんな)で面取りする。最後に粗目、中目、細目の順にヤスリをかけ、塗料をつけて完成です。
立ち鉋とは堅木削りでおなじみの鉋です。硬度の高い木に通常の鉋を当てると、刃が食い込んでしまうそうです。立ち鉋はその名のとおり刃が屹立しており、引っ掻くように削るのが勘どころです。
塗料はひまわり油やだいず油、あざみ油といった植物油と植物性のワックスでできた自然由来のもの。木本来の調節機能が損なわれることなく、その美しさを保ってくれます。
漆芸中島は弟の昇一さんとともに営まれていますが、ふたりがフル回転で働いても1日15膳がせいぜいといいますから、いかに手間暇をかけているかがわかろうというものです。
歩留まりの悪さも特筆に値します。丸太の状態から計算すれば、なんと、7割方は処分されます。はたからみればなんとももったいない話ですが、一生物の箸をつくろうと思えばそこは妥協できないと間を置かず答えました。
この商いはいまある木を使い終わったら、しまいだな
今年77歳を迎える中島さんは、漆芸中島は自分の代で暖簾を下ろすつもりだと清々とした顔つきでいいます。
「弟子をとるお考えはないのでしょうか」と水を向けると、「弟子は育っても木は育っていないからね。稀に流通することもあるが、乾燥の手間を省いたそれは箸にしたところですぐに反りや歪みが出るので売り物にはならない。木は最低でも30年は乾燥させなければならないんだ。そんな悠長なことはいまの時代、やっていられない。つまり、手元にある在庫が捌けたら、この商いはおしまいなんです」
解体した家から出た材木で箸をつくってくれないかというオファーが持ち込まれることもあったそうですが、中島さんは断りました。理由は、「使うに足る木じゃなかったから。安請け合いをしたら、巡り巡って自分の首を絞めることになるからな」
メインテナンス・フリーを謳う漆芸中島にはいまも月に10膳は使い込まれた箸が送られてきます。なかには10年、20年選手の箸も。こんな長閑なやりとりも、あとわずかでしょうか。
「おれが生きているかぎりは対応するよ」と笑って、中島さんは続けました。「おかげさまで(健康診断の)数値で悪いところはひとっつもない。まだまだ現役でいられそうだね」
職人の世界では、当の職人よりも道具をつくる職人の減少が深刻な問題になっています。それはこの業界も例に漏れません。聞けば、ヤスリの職人はもはや東京にはいないかも知れないとのこと。「だからいまのうちに買っておいたんだよ」。中島さんがしゃくった顎の先には何十本もの新品のヤスリがありました。「これはさすがに使い切れないかも知れない(笑)」
箸としての完成度の高さもさることながら、そのような歴史、そのような想いから生まれていることを知れば愛着もひとしお。いつもの料理もずいぶんと美味しく感じられるに違いありません。
最後に江戸八角箸との付き合い方をたずねました。
「長持ちさせようと思えば乾燥機や洗剤、スポンジを使わないこと。水かぬるま湯で汚れを落とし、洗い終わったら水分をしっかり拭き取ること。たまに食用油で磨いてやれば完璧だ。それさえできれば何年だって持つよ」
中島泰英
1943年東京・佃生まれ。漆芸中島十一代目当主。中学卒業後、漆器問屋の山形屋に弟子入り。18歳で家業に。1981年に一級漆器製造技能士取得。86年に東京都知事賞を、96年に優秀技能章を受賞した。
Photos: Taku Kasuya
Words: Kei Takegawa
2020/5/14取材
2021/6/24編集
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漆芸中島
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東京都中央区佃1-4-12
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tel.03-3531-6868
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営業時間:10:00〜18:00
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定休日:不定休
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https://www.urusigei-nakajima.com
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江戸八角箸 幻の青黒檀 24.0cm | 19,800円 |
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参考コスト合計金額 |
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