「雲ってどんな味？」幼き日の素朴な疑問に、いま改めて相対するかのようです。

雲の形をした遊び心たっぷりのケーキ、その名も「KUMO(R)」。5つ星ホテル「マンダリン オリエンタル ホテル 東京」のスイーツショップのシグネチャーケーキとして強い存在感を放ち、毎日わずか30個前後の販売にも関わらず、手を伸ばす人が後を絶ちません。

今回はそんなカリスマケーキをご紹介します。

真心こめたスイーツが並ぶ「ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ」

「KUMO(R)」を販売しているのは、東京・日本橋の中央通りに面する「ザ マンダリン オリエンタル グルメショップ」。

ガラス貼りの明るい店内には、自慢のシェフたちが作る煌びやかなスイーツやブレッドが並んでおり、平日の昼間も賑わっていました。

パリの街角を彷彿させるオープンテラスも使用でき、一流バリスタによってブレンドされたコーヒーやオリジナルブレンドティーとともに食事を楽しむこともできます。

さて肝心の「KUMO(R)」はと言いますと......まずは朝9時30分頃より配布している整理券を獲得しましょう。
整理券は1人2枚まで、1枚の整理券につき1個の「KUMO(R)」が購入できます。

平日は25個ほど、土日祝日は35個ほどの販売数のため、一部のスイーツラバーたちからは「幻のケーキ」とささやかれることもあるようです。

純白のチョコレートの中に広がる、ムースのやさしい世界

直近で見る「KUMO(R)」はまさに彫刻作品のような完璧なフォルム。360度どこから見ても隙がない美しさにうっとりしてしまいます。

右上にちょこんと佇むチョコレートの蝶に、ときめきます。
「KUMO(R)」を生み出したシェフの「蝶に乗せて幸せを届けたい」という気持ちが込められているそう。

意を決してホワイトチョコレートを開けてみると、一面花畑のような優しいピンクの世界とご対面。今季（取材時）のフレーバー「ピーチ&ラズベリー」です。
柔らかなピーチのムースと、肉厚なラズベリージャム、アーモンドビスキュイの絶妙なマリアージュを楽しめます。

一口すくって口に運ぶと、ピーチムースの淡い甘さが広がり、そこにラズベリージャムのシャープな甘酸っぱさが弾けます。ホワイトチョコレートは甘さ控えめの大人テイストで、硬めの食感が全体を引き締める良いアクセントに。

食べ進めていくと、ムースの奥からごろりと贅沢な大きさの「桃」が姿をあらわしました。
ムース・ジャム・チョコレートだけでも十分満たされていたのにこんな大型の切り札が隠れていたとは......衝撃と嬉しさ。口に含めば果汁の瑞々しさと芳しい香りが押し寄せ、桃という果実に惚れ直す筆者がいました。

最初はボリューミーなサイズのように思えた「KUMO(R)」ですが、全体的に上品な甘さで質量もかろやか。最後まで軽いステップで楽しむことができました。

一流シェフのインスピレーションとこだわりが生み出した

「KUMO(R)」を生み出した「マンダリン オリエンタル ホテル 東京」のエグゼクティブ ペストリーシェフ・ステファン トランシェ氏（写真中央）は、日本の「ピエール・ガニェール・ア・東京」やパリの「ホテル ル バーガンディ」「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュサンク パリ」などで腕を振るい、2017年に現職に就任。「KUMO(R)」の販売がはじまったのもこの年です。

当時「軽いケーキを作りたい」と考え、雲にインスピレーションを得たトランシェ シェフ。試行錯誤の末に、完全オーダーメイドの型を作ることによって理想のフォルムを作り上げることに成功しました。
一方で、そのフォルムを保つ外側のチョコレートは非常に薄く繊細。味もバランスを整えるために緻密に作り込まれており、数量限定が必然と言える一品です。

1年間を通して種類豊富なフレーバーが登場

「KUMO(R)」は、栗、マンゴー、柚子、苺など、季節に応じたフレーバーをはじめ、クリスマス、バレンタイン＆ホワイトデー等のイベント限定フレーバーも展開しています。毎年、進化を続けるフレーバーはサプライズがいっぱいです。

こちらの「2022年バレンタイン＆ホワイトデー」の「KUMO(R)チョコレート」は2022年のバレンタインデーとホワイトデー兼用のもの。蝶のかわりに真っ赤なハートと天使があしらわれています。

これは、2021年のクリスマスバージョン。「2021年クリスマス」の「苺とタヒチバニラのKUMO(R)」です。中身は苺とバニラとビスキュイ、ショートケーキがまるごとインクルードされたイメージです。

今回筆者が食した「ピーチ＆ラズベリー」は9月15日までの販売でした。
次はどんなフレーバーが登場するのかとても楽しみです。

「雲を食べる」という夢のような体験を、5つ星ホテルの味で叶える贅沢。
ぜひピュアな心で堪能してみてください。

Words：Yui Ichihara
Photos：Tsunenori Yamashita
2022/8/9

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