玄界灘に浮かぶ壱岐島は、3世紀中国の歴史書『魏志倭人伝』にも登場し、古代から大陸との交易の盛んな土地として知られた島。東西15km、南北17kmの面積に1,000以上の神社や祠が祀られ、"神々の島"とも呼ばれています。
近年では、福岡港から高速船で1時間とアクセスしやすいのに、美しい海が広がる絶景の島として人気を集めています。
そんな壱岐島の恵みを満喫できる「壱岐リトリート海里村上」へ向かいます。

日本最古の歴史書『古事記』で、天と地をつなぐ「アメノヒトツバシラ」と称された壱岐島は、神々との距離が近いためか、現在でも数多くの神社が祀られています。

創建から約1,500年という「月讀神社」は巨木の森に佇み神秘的なパワーが満ちる古刹で、参拝者が後を絶ちません。数多ある南国リゾートとは一線を画す神聖な気分にさせてくれます。神様にご挨拶して、いよいよ「壱岐リトリート 海里村上」へチェックイン。

部屋付き露天風呂で湯本湾を眺めて

「壱岐リトリート 海里村上」は、壱岐島西部の湯本温泉に立地しています。壱岐ならではの唯一無二のおもてなしを大切にして、「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019特別版」で５パビリオン（５つ星）の高い評価を受けている宿です。

館内に入ってまず目を引くのが、エントランスの窓の外に広がる景色。どこまでも続く青い空と海、点在する島影が絵のようです。
もちろん客室はオーシャンビュー。すべての客室に源泉かけ流しの露天風呂が付いています。69℃と高温の自噴源泉を直接引いているので、ゲストが好みの湯量と温度を調節して入れるようになっているのもユニーク。アメニティには壱岐産オリーブを使ったスキンケアコスメが備わっています。

シンプルでどこか懐かしさを感じる佇まいの客室でくつろぎ、好きな時間に湯浴みしながら、刻々と変わる湯本湾の景色を眺望。テラスで波音を聞きながら読書する。そんな贅沢な時間が過ごせそうです。

海幸山幸に富んだ壱岐の食材を溢れんばかりに

お楽しみの夕食は「ダイニング玄」で、会席料理または鉄板料理が食べられます。アワビ、サザエ、クエ、剣先イカなど、魚介が豊富なのはさすが。アワビに山盛りのウニをのせて炭火で焼く"海里焼き"も名物メニューです。

「6月頃からお出しする赤ウニは、壱岐でも限られた場所でしか獲れない貴重なもの。石垣鯛は海藻や貝を食べて育つ魚なので味が濃く、身が締まっています」。そう話してくれたのは総支配人兼料理長の大田誠一さん。9月までは赤ウニを食べ尽くす特別プランが味わえます。

年間で900頭しか出荷されないという壱岐牛が味わえるのもこの宿ならでは。
「ミネラルたっぷりの島の草を食べて育った壱岐牛は脂っこくなく、和牛の甘味が感じられます。会席料理ではすき焼きかしゃぶしゃぶで、鉄板焼きではステーキでお出しします」。話を聞いているだけでお腹が鳴りそうです。

実は隠れた人気なのが壱岐産の鶏だそう。お客様がそのおいしさに驚くのがランチメニュー「壱岐味鶏うどん」。島育ちの鶏は肉の味がしっかりしていて歯ごたえがあり、濃厚なお出汁がうどんに絡む逸品。ランチでは鶏の魅力がたっぷり詰まった親子丼も定番メニューです。

野菜や果物の恵みも豊かです。実は壱岐は知る人ぞ知るアスパラガスの名産地で、全国の品評会で１位をとったこともあるそう。ナスやピーマンなどの露地野菜から、パプリカ、ズッキーニ、チコリといった西洋野菜も作られています。メロン、イチゴ、キウイなどのフルーツも豊富で、夕食のデザートや朝食のフレッシュジュースで味わえます。米・麦・大豆などの穀物や、二ホンミツバチの蜂蜜も採れて、コーヒー豆やバナナを作る計画も進んでいるというのだから、食材の豊富さに驚くばかり。壱岐出身で島を知り尽くした大田さんが厳選した食材を旬のベストメニューで提供してもらえるのです。

壱岐は麦焼酎発祥の地ともいわれ、７つの蔵があります。宿では料理に合わせたラインナップを取り揃えているとのことで、さすがお酒好きへのサービスもぬかりありません。

「壱岐リトリート 海里村上」では、酒蔵と協力して最近新しい取り組みを進めています。壱岐のフードロス削減を目的に、通常は廃棄されてしまう食材を活用したオンリーワンのクラフトジンを造っているというのです。その食材が、アスパラ、イチゴ、木の芽、ユズ、ダイダイ、ウニの殻、温泉成分の結晶などというから面白いですね。これらを絶妙な配分で調合して、壱岐の焼酎をベースに仕込んだボタニカルなジンが、今後はお酒のラインナップに加わる予定だそうです。

海を眺めながらの温泉とスパ三昧で「おこもり」もよし

すべての客室に露天風呂が付いていますが、別に大浴場もあり、広々とした露天風呂で金色の湯に浸かってリラックスタイムを満喫できます。

スパには貸し切り温泉やフィットネスジムを併設。壱岐の塩やハーブなど自然由来の素材を使ったハンドトリートメントも備えます。気持ちよく体をほぐして温まったら、潮風にあたりながら涼む。至福の時間です。

アクティビティやドライブで壱岐島の郷土と触れ合う

提供しているアクティビティが多彩なのも宿の特徴の一つです。人気なのはフィッシングやシーカヤックなど、やはり海関連のものだとか。ほかに壱岐島一周クルーズ、サンライズクルーズ/サンセットクルーズ、星空ウォッチング、湯の華陶芸体験、朝ヨガリトリートなどもあります。

数あるアクティビティのなかでもおすすめなのが、勝本せり見学。壱岐島でもっとも賑わう勝本漁港のせりを見学して、仲買人の資格をもつ大田総支配人兼料理長が買い付けた鮮魚を、ツアー後の朝食で食べられるというから貴重な体験です。希望すれば、競り落とした魚を購入して、自宅まで配送してもらうこともできるそう。

壱岐島には海水浴場のほか、ファミリーで訪れても楽しい壱岐イルカパーク＆リゾート、巨大な奇岩・猿岩など、見どころがたくさんあります。

壱岐の奥深い歴史を知るスポットも点在。壱岐市立一支国博物館や原の辻遺跡は弥生時代の国際都市「一支国」の歴史ロマンにふれる施設です。

「壱岐リトリート海里村上」では、島めぐりに便利なレンタカーサービスも提供しています。SDGsの取り組みの一環として、レンタカーには電気自動車を採用しています。

空も海も星も迫るように近く感じる壱岐。神々を感じる古刹めぐりでパワーをもらうのもよし、部屋でのんびりと温泉に浸かって過ごすのもよし。温かなおもてなしとともに、全身で島の恵みを楽しみ尽くせるこの宿、何度でも訪れたくなりそうです。

画像提供／壱岐リトリート 海里村上
words : Yuki Asakura

壱岐リトリート海里村上では、新型コロナウイルス感染防止のため、以下の対策を実施しています。
・スタッフの健康と衛生面の管理徹底（出社前の検温と記録確認）
・通常の客室清掃に加え、ホテル館内(客室・パブリックスペース)のアルコールおよびアルカリ電解水による清掃と拭き上げ
特に、手が触れる部分(エレベータースイッチ、引き出しや冷蔵庫の取っ手類、ドアノブ、リモコン、スイッチ類など)を除菌清掃しています。
・館内各所での除菌用スプレーの設置・食器類（お皿、グラス）やカトラリーの高温洗浄（80度以上）、食事用トレイの除菌洗浄
・入館時に検温の実施
・宿泊者全員のご本人確認

2021/5/21

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