山形県の米どころ庄内地方、出羽三山から雪解け水が流れ込む美しい水田の上に、ぽつんと浮かぶように佇む「スイデンテラス」。坂 茂（ばん　しげる）氏が手掛けたダイナミックな建築、客室からの田園ビュー、豊富な書籍コレクション、豊かな自然を感じる食材、フィンランド式サウナなど、気になるトピックがたくさん。憧れの"晴耕雨読"が叶うホテルとして、県内外で話題を集めています。

ぬくもりを感じる、坂 茂氏デザインの木造建築

「スイデンテラス」の見所のひとつは、建築家・坂 茂氏が手掛けたこだわりの建築にあります。エントランスから入るとまず、目の前に広がる開放的な吹き抜けの空間に圧倒されることでしょう。階段を上がるとフロントが現れます。構想段階で、水田にホテルが浮かんでいるような風景を実現したい、という想いから、フロントは2Fに配置されたそう。迫力のある天井のギザギザ屋根は「折板（せつばん）構造」と呼ばれ、屋根の強度を高めることで柱を使うことなくこの大空間を実現しています。この特徴的な屋根はフロントだけでなくレストランやショップ、ライブラリまで続きます。

客室も、木のぬくもりと自然光をたっぷりと感じられるシンプルで心地いい空間。気ままな1人旅行や出張向きのシングルルームから、カップル、ファミリーで過ごせるツインやトリプル、大人数や友人とのグループ旅行で楽しく使えるメゾネットやコネクティングルームまで、目的や人数に合わせて選べます。おすすめは田園風景を望める田園ビューのお部屋（写真の客室は田園ビュー ハリウッドツインルーム）。泊まる時期によって、四季折々の田んぼの表情を楽しめるのが魅力です。田植えを行う5月初旬〜中旬頃からは、稲の成長とともに青々とした田園風景を。収穫を迎える9月下旬頃には、風に揺れる黄金の稲穂が見られるでしょう。1〜3月頃には水田に雪が積もり、窓の外には一面の雪景色が広がります。

ベッドボードや椅子などに、坂 茂氏の建築のアイコンであり環境にもやさしい「紙管」が多く使われているので、建築ファンの方はぜひチェックしてみてください。

滞在を豊かな体験にする約2,000冊の本

ホテル内にある二つのライブラリで、ブックディレクター幅 允孝（はば よしたか）氏が選書した約2,000冊の本と出会えるのも、"晴耕雨読の時を過ごす、田んぼに浮かぶホテル"と謳う「スイデンテラス」ならでは。大きな本棚が印象的な共用棟ライブラリには、「自然や生き物」「世界を見渡す」「日本と山形」などのテーマで選書された本がずらり。手に取った本は、テラスや客室など館内の好きなところで読むことができます。

こちらは温泉から程近い場所にある宿泊棟のライブラリ。選書テーマは「物思いに耽る夜」「わからないことを考える」「確かな時代を生きるための本」など、じっくり読書に没頭できそうなユニークなものばかり。大きな窓とソファのあるプライベート空間で、湯上りにまったりと過ごせるスペースになっています。

庄内の味にこだわったレストラン、庄内のいいものが見つかるショップ

景色も素晴らしい2Fのレストラン「MOON TERRASSE」では、"Farm to Table"をテーマに、シェフが選んだ新鮮な野菜やこだわりのお米、庄内浜で水揚げされた海の幸、旨みたっぷりの山形牛、庄内豚などを使った料理を楽しめます。

「ホテル開業以前から、私たちは自社農園で体にも環境にもやさしい有機農業に取り組んでいました。レストランで提供するメニューには、ホテルから車で5分ほどの場所にあるビニールハウスで収穫した新鮮な野菜を使用しています。今の時期は、シャキシャキのベビーリーフやカブが美味しい季節ですね。少しでも多くの方に、野菜ってこんなに美味しいのか！と、感動していただきたいです」（広報マネージャー・丹羽さん）

ショップでは、食材の宝庫である庄内の美味しいお土産や、伝統工芸から生まれたクラフト品、ホテルのオリジナルグッズなど、センスのいい庄内土産が豊富に並びます。写真左から、栽培期間中に化学肥料・化学合成農薬を使用していない安心・安全のSUIDEN RICEセット「つや姫／雪若丸」（現在終売）、庄内の名物土産オランダせんべいをスイデンテラスオリジナルパッケージにした「スイデンせんべい（2枚セット全10袋入り）900円」、スイデンテラスオリジナルラベルの地ビール「ミュンヒナー／ピルスナー 各330ml 600円」。

明治時代から養蚕を行ってきた鶴岡市。鶴岡シルク株式会社が立ち上げたブランド「kibiso」の「kibiso草履 11,000円」。製糸工程から産出されるキビソ（蚕が最初に吐き出す糸のこと）を使った草履は、独特の風合いを楽しめます。

酒好きも大満足のラウンジ&バー

米どころである庄内は、もちろん地酒の種類も豊富。ゆっくりとくつろげるSAKE LOUNGEでは、地酒と県産ワインがセルフで楽しめます。お部屋に戻る前に、本棚から気になる本を手に取って、お酒を嗜みながらの読書はいかがでしょう。

上の写真は入浴後、館内着のまま楽しめるSAKE BAR。風呂上がりの一杯は最高です。

リニューアルしたスパ棟にはフィンランド式サウナを新設

ドーム型の屋根が目印のスパ棟は、2021年4月29日にスパ環境の充実を目的にリニューアルしたばかり。源泉掛け流しの天然温泉とフィットネスジムに加え、新たにフィンランド式のサウナが仲間入りしました。

温泉は、タイル張りで美しいデザインの内湯2種（天色の湯、朱鷺色の湯）と、開放感たっぷりの露天風呂があり、毎日男女入れ替え制です。（写真上=天色（あまいろ）の湯の内湯、写真下=月白（げっぱく）の湯の露天風呂）

今回新設されたフィンランド式サウナも、坂 茂氏による設計。六角状の椅子や紙管を用いたベンチが特徴的で、大きな窓からは移り変わる景色を眺めることができ、非日常空間で心地よく汗をかけます。「セルフロウリュ（お客さん自身でサウナストーンに水をかけられるサービス）」体験もできる本格的なサウナなので、サウナーの皆さんも楽しくリフレッシュできるはず。

宿泊ついでに、庄内の大自然へ足を伸ばす

レンタサイクルのサービスもあるので、晴れていたら近くの田んぼまで自転車を走らせて、美しい庄内平野の自然を味わうのも気持ちいいでしょう。そのほか、ホテル周辺には鶴ヶ岡城跡地にある荘内神社や、水鳥たちのバードウォッチングを楽しめる大山上池・下池、世界中のクラゲを見ることができる鶴岡市立加茂水族館など観光名所もたくさん。

豊かな自然の恵みを五感で感じながら、庄内平野の魅力を余すことなく知ることができるSHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE。忙しくてなかなか読書の時間をとれていないという方も、ここなら最高の環境で心ゆくまで本を読みふけることができます。ご家族や友人と、ゆっくり羽を伸ばしに訪れてみては？

Words: Satoko Muroga　Photos: Nobuo Suzuki, SUIDEN TERASSE

2021/4/5
2023/6/16編集

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