緑豊かな愛知県豊橋市の郊外、まさに大地の上にポツンと置かれたような円柱状の建物が1965年に建設された名建築「コルゲートハウス」です。不時着した宇宙船のようにも見えます。コルゲートとは、暗渠（あんきょ）に用いられる土木用鋼鈑を指し、それが住宅に転用されていることから、「コルゲートハウス」と名づけられました。この家を自邸としてセルフビルドしたのは、著名な建築家・丹下健三のお抱え設計士だった川合健二氏です。その旧川合邸が、2023年に一般向けのホテルとして生まれ変わりました。建物の多くは川合氏が生活していた当時のものを引き継ぎ、彼の思想や暮らしぶりを伝えてくれます。特別な時間を享受できる「コルゲートハウス」の滞在をご紹介します。

まるで宇宙船の空間のよう

予約時に教えてもらった住所をたよりに向かうと、丘の上に突如として現れる「コルゲートハウス」。筒状の鋼鈑とハニカム構造で覆われた建物はなんともユニークで、しばし佇んで見惚れてしまいます。

建物の周囲には草原や林が広がり、奥手には山並みが望めるロケーション、さらに虫の音や鳥のさえずりが聞こえ、とてものどかな感じがします。

エントランスを入ると現代芸術家・小川貴一郎氏の作品が出迎えてくれます。続く大きなリビングにはミッドセンチュリーの巨匠達が手がけた家具が目に入ります。この家具たちは川合氏が実際の生活用にコレクションしたものとのことです。

淡い光で満ちている室内は柔らかな陰影を生み出し、北欧にある住居のイメージを彷彿させてくれます。

「南側にはあえて窓を設けないなど、普通の家とは真逆の発想で作られた住まいです」と案内いただいたのは、このホテルをプロデュースした冨田円さんです。

川合氏の思想を体感する

リビングの書棚には川合氏の蔵書が残っており、テーブルの上には「コルゲートハウス」で暮らしていた川合氏や家族写真などがファイルにまとめてありました。

「川合健二さんはこの豊橋で生まれ育ちました。そして丹下健三設計の旧東京都庁舎で設備設計家としてデビューして以来、幾多の国内外のプロジェクトに関わりました。科学者やプラントエンジニアとしての顔も持ち、多方面で活躍されました。その川合さんが自分の家族と自給自足生活を目指して、セルフビルドで完成させたのがこのコルゲートハウスです」（富田さん）

「コルゲートハウス」には一般住宅にある基礎部がありません。砂利の上に楕円状の筒がのっかっているだけです。「基礎がないのである意味、"地球と縁が切れている"と表現できます。しかも倒壊する心配がないのは、天災が多いこの国の住居に対する川合さんなりの答えの一つなのだと思います。窓枠がハニカム構造なのも一番強度が保てるためです。技術者としての必然性がこの家の意匠を生んでいるのです」（冨田さん）

宿泊に野の遊びを取り入れる

さらに自給自足の観点から、この家とそれを取り巻く環境を考えてみます。川合氏の家族は1,500坪ほどのこの敷地に、畑を作り、ミカンなどの果樹を植え、それを市場に卸すなどして自給の糧としていました。

その生活様式を受け継ぎ、冨田さんたちは温室を建て、その中でバナナを栽培しています。宿泊ゲストはオプションで、収穫体験をすることができます。他にも周囲の野草を摘んでハーブティー作りを行う体験など、建物に泊まるだけではないアクテビティが用意されています。

それらのアクテビティには「コルゲートハウス」の敷地に移築した築100年の古民家が活用されます。

「私の父が古民家の保存や移築の仕事をしており、その縁で川合さんの一族とも繋がりが生まれました。こちらの古民家は宿泊も可能で、コルゲートハウスに収まりきらない人数のゲストも対応できます。時代的にこのような日本家屋で育った人がコルゲートハウスを生み出したわけですから、その比較の意味もあり興味深いですよね」

地元三河の産物が滞在を彩る

「コルゲートハウス」にはキッチンがついています。この地方の食材を購入して自炊し、この空間で過ごす時間を楽しむゲストが多いそうです。

他にも地元に根ざしたプロダクトがさりげなく採用されています。

愛知県の伝統工芸、有松絞りの染めを用いた「suzusan（スズサン）」のベッドカバー、東三河の薬草を用いた「Waphyto（ワフィト）」のスキンケアグッズ。

冨田さんの実家が手掛ける「TOYONE TEA」は、豊根村の茶畑にて無農薬で栽培されたもの。地元こだわりの品が滞在を快適にします。

宇宙船のような空間で日常生活の常識から解き放たれて過ごす時間は、記憶に深く残るでしょう。そして、何かしらの気づきを与えてくれるはずです。実際に取材した筆者の頭には「住まいとは」、「暮らすとは」、「人と自然との関わりとは」などさまざまな疑問が浮かんできて、今一度それらを見つめ直す機会となりました。それこそ「コルゲートハウス」で過ごす魅力なのでしょう。ぜひあなただけの特別な滞在体験をしてみてください。

Words: Tomohiro Tsuchiya
Photos: fujico

2024/4/15

＜ストーリーに関するご留意事項＞

ストーリーは、BANKアプリ限定貯蓄預金（The Savings） の目標設定を具体的にイメージするための情報提供を目的として委託先が作成した記事に、あおぞら銀行がVisaデビットの利用促進のためのサービス紹介などを追加したものであり、掲載の商品・サービスの誘引が目的ではありません。また、掲載内容は、作成時点における委託先における意見・見解が含まれるもので、個社・個別の商品・サービスを推奨・保証するものではありません。ストーリー内記載のコストは参考値であり、その他諸費用がかかる場合があります。特段の記載のない限り、ストーリー内記載のコストは税込価格とし、税率は10％（軽減税率適用商品は8％）とします。ただし、イートイン・テイクアウトで税率が変わる商品もありますので、詳しくは直接商品・サービスの取扱業者にお問い合わせください。各種割引、キャッシュバックなどは含まれていません。

情報の正確性、完全性、信頼性、適切性等に加え、配信時点で当該商品・サービスが存在すること、お客さまの購入・利用の可能性、価格および掲載企業（人）の内容に関し、あおぞら銀行は一切保証するものでありません。併せてご紹介するVisaデビットに係る優待サービスやキャッシュバックについては、予告なく変更または終了する場合があります。詳細については必ずリンク先のあおぞら銀行HPをご確認ください。また、投資勧誘や特定銘柄の推奨を目的とするものではありません。掲載情報に基づき行ったお客さまの行為および結果等について、あおぞら銀行は一切の責任を負いません。

掲載画像はイメージであり、実物の商品やサービスなどと異なる場合があります。

掲載の商品・サービスに関するお問い合わせは、あおぞら銀行窓口・コールセンターではお受けできません。直接商品・サービスの取扱業者にお問い合わせください。

BANKアプリ限定貯蓄預金（The Savings）はBANKアプリのみで提供されるサービスです。

BANKアプリ限定貯蓄預金（The Savings）およびBANKアプリ、および併せてご紹介するVisaデビットに係る優待サービスやキャッシュバックについては、あおぞらホームコール(0120-250-399)にお問い合わせください。