東京都文京区、神田川のほとり。かつて椿が自生する景勝地として「つばきやま」と呼ばれていたこのあたりに、明治時代、軍人・政治家であった山縣有朋が私財を投じ、園庭と邸宅を造り上げました。それを「椿山荘」と名付けたのがこちら「ホテル椿山荘東京」のはじまりです。山縣有朋の故郷である山口・萩の風景を再現したといわれている庭園は、台地であるこのエリアの自然のままの地形を生かした起伏のある回遊式庭園で、東京の喧騒の中にあるとは思えない、まるで野山を歩いているような自然のままの風景が楽しめます。

日本最大級の霧の庭園演出とは？

明治時代の建物は昭和20年の空襲でほとんどが失われ、現在の庭園や建物は、昭和時代に１万本もの植木を移植し、復興したものです。そんな長い歴史を持つ「ホテル椿山荘東京」が新しい試みとして、2020年秋にはじめたのが日本最大級の霧の庭園演出「東京雲海」です。萩に流れる阿武川にかかる雲海を、現代の技術を用いて再現できないだろうか、そんな思いでこのプロジェクトがすすめられたそうです。

雲海とは、盆地などで高台や山頂に登ると眼下に海のように広がる層状の雲を見ることができる自然現象。その美しさに、一度は見てみたいと思う人は多いのですが、気象条件などタイミングが揃わないとなかなか出現せず、そう簡単にはお目にかかることはできません。それを、ここ「ホテル椿山荘東京」では人工の雲海を生み出し、春夏秋冬、どの季節、どんな天候だとしても雲海をみることを可能にしました。

本物の雲や霧と同じ細かな水を大量に発生させ、園内に雲の海を広げてみせる「東京雲海」は、日本の高い技術で作られたノズルを用い、約10〜20ミクロンの細かい水の粒を均一に発生させています。庭園の各所には竹で美装された装置が配置してあり、庭園の真ん中にある「幽翠池（ゆうすいち）」などを中心として、約10分におよぶ雲海演出「大雲海」時には庭園全体の約4分の3を覆うエリアに霧が現れます。

365日、どんな天候でも楽しむことができる雲海。

人工とはいえ、発生しているのは大量の水から生まれた雲。雲や霧は、自然のままに、その時の天気や風向きによって変化し、見るたびに景色はさまざまに移ろいます。1日の中でも朝、昼、夜と印象がまったく変わりますし、夕暮れからの空の移り変わりと、ライトアップされた庭園と雲海の流れを追う幻想的な景色は１枚の絵を眺めているかのようです。

もちろん、雲海発生中に庭園を散策することも可能です。雲海の中を歩くとはどんな気分？　手で触れることはできるのでしょうか？　雲の中を歩くとびしょ濡れになるのでは？　子どもはもちろん、大人でもたくさんの疑問がわくはずです。ぜひ、実際に歩いてみて、自分でどんな感触か、確かめてみてください。ときには、まさに真っ白な雲の中を歩くような状況になることもあるのだとか。足元に十分注意しながら、雲の中の不思議な散歩を楽しんでみたいですね。

沢で自然に羽化させたほたるたちの競演

今の季節には、雲海とともにほたるの観賞を楽しむこともできます。1954年（昭和29年）、「東京の子どもにほたるを見せたい」という創業者・小川栄一の思いにより「ほたる鑑賞の夕べ」がスタートしました。

「ホテル椿山荘東京」では、ほたるの専門家の指導を受け、自然界から採取しない人工飼育を実現しています。春に約10,000匹のゲンジボタルの幼虫を庭園の沢に放流し、庭園の豊かな自然環境の中で羽化させ、成虫になったほたるが5月下旬から6月の終わり頃まで優しい光を放ちながら、庭園に季節の訪れを教えてくれます。

遠くへ旅することが難しい今だからこそ、雲海やほたるなど、ここだけでできる特別な体験をぜひ味わってみたいところ。ステイして楽しむことができるのはもちろん、「ホテル椿山荘東京」では、この季節だけのディナープランも用意しています。

「ほたるの夕べ　ディナービュッフェ」のサーロインローストビーフ、ひつまぶし、握り寿司など「ホテル椿山荘東京」が誇る美食を自由に楽しんだあとは、庭園を歩いてほたるの光をみつけたり、ダイナミックな雲海を堪能したり。気軽に出かけられるのがうれしいプランです。
雲海とほたる、というのは遠出をしてもなかなかお目にかかれない組み合わせ。それを東京のど真ん中で観賞できるとは、なんという贅沢でしょう。期間限定の開催なので、ぜひ早めにチェックしてみてください。

Photos：Gakuji Masuda　　Words：Kana Umehara

ホテル椿山荘東京では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当面の間、庭園を含む施設ご入館は、営業施設ご利用のお客様に限らせていただきます。
また、従業員のマスク着用・健康管理・衛生管理の徹底するとともに、お客様にも健康チェックシートのご記入、手指等の消毒のご協力をお願いしております。
感染拡大防止対策について詳しくはHPにてご確認ください。
https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/news/notice_covid19/

ほたるの夕べ　ディナービュッフェ
期間：5月19日（金）～ 7月2日（日）（開催日はホテル椿山荘東京ウェブサイトをご覧ください）
※「ほたるの夕べ」終了後も「東京雲海」は一年を通じてお楽しみいただけます。

料金：
■WEB予約
大人　（月～木）13,000円
大人　（金～日）15,000円
小学生　5,700円
幼児（3歳～）3,300円

■電話予約
大人　（月～木）14,000円
大人　（金～日）16,000円　
小学生　6,000円　　
幼児（3歳～）3,500円

※上記は全て一般料金です。会員料金とは異なります。
最新の料金やその他の情報はHPにてご確認ください。
https://hotel-chinzanso-tokyo.jp/

2021/5/18取材
2023/5/12編集

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