まだまだ家のなかで過ごす時間が多いけれど、天気が良ければお散歩に出て、カフェでまったり。そんな暮らしのなかで、シルク専業ランジェリーブランド「バサラ」と、そのアパレルラインである「ヌー」のコレクションは、美しく、快適で、美容効果まで期待できる、ポストコロナ時代の新生活様式を華やかに彩るアイテムとなりそうです。

「カラダに触れる服は、シルク製を選びなさい」

スタイリストや編集者として、エコで心地良い暮らしや装いを提案してきた村上由祐さん。ものづくりを通してもっとファッション界や社会全体に貢献したいと考えたとき、脳裏に浮かんだのはシルクという天然繊維でした。シルクは村上さんが幼少のころからずっと、お母さんからすすめられてきた素材。「カラダに触れる服は、シルク製を選びなさい」、そう聞かされて育ったといいます。

蚕の繭から糸を紡いでつくられるシルクは、環境負荷の極めて小さいエコ素材。きれいでしなやかだけれど、ケアが難しく高価──そんな一般的なイメージのあるシルクも、村上さんにとっては「心とカラダのバランスを整えてくれる素材」なんだとか。だからこそ、シルクのランジェリーは、最も身体に近しい贅沢であり、最も"自分"を幸せにしてくれるお洒落だと言います。上品な光沢、とろけるような肌触り、そして優れた吸湿性や保湿力などの機能性。それらはすべて、女性のカラダを美しく魅せる要素だと考えているのです。

良質なシルクの生産地として有名な仏リヨンを代表するペラン社の最高級素材、日本のランジェリーを変えたいという志を共有するデザイナー、欧州水準の高級ランジェリーづくりに精通した縫製チームなどとの"奇跡的"な出会いによって、村上さんの想いは「Basara（バサラ）」というシルク製ランジェリー専業ブランドとして2016年に結実。さらに20年春には、旅行や外出時にも活躍するガウン（税込￥108,000）やシャツ（税込￥44,000）などを展開する派生ブランド「Nu（ヌー）」が誕生するに至りました。

シルクという素材にこだわる理由

村上さんがシルクにこだわるのは、何も盲目的に家族の教えに従っているわけではありません。長年の経験と専門家によるさまざまな研究の結果から、シルクがエコで美しく、肌触りが良いだけでなく、機能的にも数々の優れたメリットを備えているという確信があるからです。

「シルクの吸汗性、放湿するスピードは、コットンのおよそ1.5倍といわれています。だから夏ならサラッとした肌触りで涼しく感じますし、糸の内部に細かな隙間がたくさんある中空糸のような構造のおかげで、冬は逆に暖かい。天然繊維のなかで飛び抜けて機能的な素材といえると思います」

シルク製品を身につけるメリットについては、大学や化粧品メーカーなど各種専門機関の研究による科学的な検証も進んでいます。

「シルクの原料である生糸の約75％を占める主成分『フィブリル』は、その微細なブラシのような構造で優しく肌を撫でながら、余分な皮脂や毛穴の汚れなどを吸着してくれます。さらに、その『フィブリル』を覆っているタンパク質『セリシン』は、まさしく天然の保湿成分。人間の皮膚の組成（アミノ酸）と似通っているため、肌への吸着性が高く、乾燥から守り最適な状態を保ってくれるのです」（村上さん）。

また、「セリシン」には紫外線を遮断して繭のなかの蚕を守るという機能があり、シルク製の衣服も人の肌を有害な紫外線からガードしてくれるそう。静電気が発生しづらいため、チリやホコリ、花粉などが付着しにくく、喘息やアレルギーの予防効果もあるとされ、そのうえ菌が付着したとしても増殖させない、「静菌作用」も確認されているのだとか。

「だから嫌なニオイも発生しづらい。シルクの生体親和性の高さは、医療用の縫合糸（サージカルシルク）として広く使われていることからも明らか。皮膚の敏感な方でも安心して使える素材なのです」（村上さん）。

そんなシルクを素肌に最も近い衣類であるランジェリーに使えば、心身のリラックス効果は言わずもがな。「バサラ」は素肌をストレスから開放し、健やかに保ち、美容効果まで期待できる──そんな精神的にも肉体的にもラグジュアリーな、ランジェリーブランドといえるかもしれません。

上質な素材と上質なデザイン

「バサラ／ヌー」は、某有名メゾンの傘下で、シルク産業の中心地として名高い仏リヨンを代表するペラン社製の最高級シルクサテンを使用しています。光沢も発色も際立つ厚手の生地でつくられたランジェリーやラウンジウェアは、まるでドレスのようなエレガントさ。

この美しいプロダクトを手がけているのが、ニューヨークを拠点に活動するデザイナー、KIMIKO NAKAYAMAさんです。日本人ながら、ランジェリーの本場であるフランスやベルギーでの実績も十分な実力派。その特徴は、何といっても"レス・イズ・モア（少ないほうが豊かである）"的な精神が溢れる、シンプルで洗練されたデザイン性。そして裏も表もないくらい、どこから見ても美しい"ダブルフェイス"なつくりにあります。

村上さんいわく、「ブラにはワイヤーを使用せず、全面にシルクを使用して極力縫製部分が表に出ないように袋縫いを採用しているため、品質表示タグを切ってしまえばブラもショーツもリバーシブルで使うことができるくらい。また表裏で異なる配色となっているため、上下でセットアップしなくても成立するようにしています」とのこと。ワイヤーを使わないのは、女性のカラダを締め付け、肌に痕まで残すのがどうしても許せないからなのだとか。

「ランジェリーは見る人を魅了する美しいものであると同時に、身に着ける人をも心地よく魅了するものであるべき。だから『バサラ』には、裏も表もないんです。ファッションのようにコーディネイトが楽しめて、脱いで置いてある状態まで美しいものであってほしい」という、村上さんの哲学が見事に反映されています。

95％シルク、5％ポリウレタン（伸縮性のあるスパンデックス）という混紡素材により、シルクならではの艶や美しさと伸縮性や強度、肌なじみの良さを融合。「おそらく日本では唯一」という、村上さんが納得できるシルクの縫製技術をもった卓抜の職人が、一つひとつ丁寧に仕立てています。

フランス語で「裸」を意味するヌーの半袖シャツ（税込 ¥44,000）やイージースラックス（税込 ¥51,700）は、セットアップすることでパジャマとして心地よいリラックスタイムをもたらしてくれるのはもちろん、それぞれを単独のおしゃれ着として活用できるという優れもの。シルク製品特有の"つっぱり感"も、ウレタン混紡の最高級ストレッチシルクによって見事に解消しています。

日常のケアは水か、ぬるま湯で手洗いするのが理想ですが、ネットに入れれば洗濯機洗いも可能という気兼ねのなさがうれしいポイント。それでも、その素晴らしさを末永く楽しみたいと、自然と手洗いの手間を惜しまないようになってしまう愛用者も多いようです。魅力的な製品は、そのケアの時間までも幸せにしてくれるパワーがあります。

寝ているだけで美容の"お手入れ"ができそうなアイマスク（税込￥6,820）やピローケース（税込￥13,200）、男女兼用で使えるトランクス（税込￥16,200）、そして立体的なパターンにこだわり、夏でも快適に使えるマスク（税込￥6,600）など、ランジェリーのほかにも魅力的な選択肢が増えてきている「バサラ」と「ヌー」。自分自身と向き合う時間をつくりやすい今だからこそ、ココロとカラダが本当に求めるものが何かを、考えるきっかけとなってくれそうです。

Words: Junya Hasegawa

Basara/Nu

ランジェリー先進国のフランスやベルギー、日本でキャリアを積んだNY在住デザイナーのKIMIKO NAKAYAMA がデザインを手がけ、スタイリストとしてヨガやサーフィンといった日本のライフスタイルシーンを牽引する村上由祐がプロデュースする、シルク製ランジェリーブランド「バサラ」とラウンジウェアブランド「ヌー」。肌触りがよく快適で、佇まいまで美しいドレスのようなプロダクトは、主に仏リヨンの老舗シルク専業メーカー・ペラン社による最高級シルクサテン生地を使用。国内の卓越した縫製職人が一つひとつ丁寧に仕上げている。

2020/8/5取材
2021/6/24編集

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