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2020.04.03
2大郷土玩具の融合で生まれたもの ──野沢民芸(福島県西会津町)の「赤べこ」と「起き上がり小法師」 3,080円

BEAMS JAPANディレクター 鈴木修司さんが語る[知られざる日本の銘品] その4【野沢民芸(西会津町)の赤べこと起き上がり小法師】

豊臣秀吉に仕えていた蒲生氏郷が会津の領主として国替を命じられた際、下級武士たちの糧になるようにと京都から人形師を招き、殖産復興を図ったのが由来といわれる「会津張り子」は、東北最古の人形として400年もの歴史を誇ります。会津地方では牛のことを「ベコ」と呼び、福満虚空蔵尊圓蔵寺の建立の際に最後まで働き通したといわれるのが赤色の牛。この伝説にちなんで、古くから疫病除として親しまれている玩具が「赤べこ」です。「起き上がり小法師」も、会津では毎年の初市「十日市」で家族の人数分+1個を求め、神棚に飾ることで1年の家内安全を祈願する伝統がある縁起物です。

日本文化の発信拠点として、サブカルチャー、アート、クラフト、ファッションなど、あらゆるジャンルで日本の魅力を紹介している「BEAMS JAPAN」。そのバイヤー兼ディレクターを務める鈴木修司さんは、1年を通してほぼ毎週日本中を飛び回り、各地の名物、工芸品の数々を再評価するべく独自の切り口で紹介しています。「プロダクトとともにその産地やつくり手、素材、歴史、文化といった、"背景"すべてをお客様に届けたい」という鈴木さんがおすすめする、知られざる日本の銘品を紹介する連載を、全6回にわたってお届けします。

第4回で取り上げていただいたのは、野沢民芸の「赤べこ」と「起き上がり小法師」です。ともに会津福島を代表する伝統的な郷土玩具。この極めて日本的で古典的な置物を、鈴木さんはどのように現代的にアレンジし、若い世代にも支持される製品へと生まれ変わらせたのでしょうか?

「BEAMS JAPANでは福島県とタッグを組んで、さまざまな郷土の名産品を独自の切り口で紹介する取り組みを行っています。赤べこは、そのままだと非常に郷土玩具感が強く、真っ赤で存在感たっぷりなので、現代的な部屋に置くには相性を見極めねばなりません。どうにかモダンにアレンジすることができないかな、と考えているときに目にしたのが、福島県の総合情報誌『ふくしままっぷ』に登場する"ベコ太郎"というキャラクターでした。
ベコ太郎は、赤べこをモチーフにした県のオリジナルキャラクターで、イラストレーター・寄藤文平さんの作品。牛なのに立ち上がって福島弁をしゃべり、県の魅力を発信している可愛いキャラクターです。そこで、赤べこの生産者である野沢民芸さんを訪ねたときに、ベコ太郎のように立った姿勢の赤べこをつくれないかと相談してみました。すると先方からは逆に、県のもうひとつの郷土玩具である起き上がり小法師に赤べこの首を付けてみてはどうかというご提案をいただき、試しにやってみていただいたら、これが思いのほか上手くいってしまいました(笑)。BEAMS JAPANの別注 ベコ太郎 赤べこ3号(税込¥3,080)は、福島の代表的郷土玩具がふたつ合体して生まれた、新時代の名産品だといえます。福島県知事も大変気に入ってくれて、お土産が必要な際には県庁の方がわざわざ店舗で購入してくださっているそう。海外に行かれる際などの、県の正式なお土産として採用していただいているようです。
赤べこは、病除けとして親しまれてきた歴史があり、ちょっと"重い"存在感があります。そこで色をオレンジにして、顔つきも可愛らしくポップにしました。また、寄藤さんのリクエストもあって、あえてニスを塗らずマットなままの仕上げにしています。その分、水濡れには弱いですが、どんな部屋にもなじみやすい新たな郷土玩具を生み出せたと思いますし、個人的にもとても気に入っているんです」(鈴木さん)

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鈴木修司 プロフィール
1976年生まれ。1998年「株式会社 BEAMS」入社。「BEAMS MODERN LIVING」の店舗スタッフ、「fennica」のMD、「B:MING LIFE STORE」の生活雑貨担当バイヤーを経て、2016年にオープンした日本文化の発信拠点『BEAMS JAPAN』のバイヤーとして1階「銘品」フロアのディレクションを担当。現在はバイヤー兼ディレクターとして、国内の銘品や工芸を紹介するフロア全体のディレクションを手がけている。

2020/1/6取材
2021/3/12編集

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野沢民芸
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福島県耶麻郡西会津町野沢上原下乙2704-2
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tel. 0241-45-3129
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8:00~17:00
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土曜、日曜休
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参考コスト
赤べこ3号
(トップ画像左)
2,090円
小法師6.8cm
(トップ画像右)
990円
参考コスト合計金額
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