ようやく気兼ねなく外出できる世の中になりました。リモートワークから通勤に切り替わったことで心身ともに疲れがたまっている方も意外と多いのではないでしょうか。 　
そんなときは、近年注目を集めている「睡眠」にフォーカスしたヘッドスパに癒やされてみてはいかがでしょう。

約8割のゲストが「寝落ち」する渋谷のヘッドスパへ

なかなか寝付けない、眠っても途中で目が覚めてしまう、いくら寝ても疲れがとれない......。そんな「不眠にまつわる悩み」は、ストレスフルな現代人病といっても過言ではないほど、いまや身近な存在です。

渋谷駅B5出口から徒歩約5分の場所にある「QUIRON（キロン）」は、まさに現代人の課題「睡眠」に特化したヘッドスパサロン。
「眠りに悩みを抱えるお客様の大半は、頭皮がガチガチになっている印象です。不眠に悩んでいる方でも、固くなった頭皮を揉みほぐす間に眠ってしまうことが多いんです」と話すのは白石雅彦店長です。
聞けば、約8割のゲストが施術中に"寝落ち"してしまうのだとか。想像以上の高確率に驚きました。
「『みなさんに眠っていただく』をテーマにつくりあげた、オリジナルのヘッドスパです。後頭部や側頭部にある眠りのツボを、オールハンドでゆっくりと刺激するなど工夫を散りばめています。『どういう風に眠らせてくれるんだろう』と楽しみにいらっしゃるお客様も多いですよ」とのこと。俄然期待が高まります。

プラネタリウムの瞬きが睡眠へといざなう

モデルさん（上の写真・右）と筆者、それぞれ体験させてもらいました。画像はモデルさんでお届けします。まずはセラピストによるカウンセリングからスタート。アンケート用紙につらい体の部位や来店の目的などを記入します。
モデルさんは、デスクワークもある仕事柄、首肩のコリと眼精疲労がつらく、深くリラックスしたいと回答していました。

今回体験するのは施術時間60分間の「キロンコース」。つらい部位を長めにほぐすなど、効率的な施術を行ってくれます。

カウンセリング中にいただくウェルカムドリンクは、眠りやすくなるといわれるノンカフェインのルイボスティ。
施術が行われるのは、周囲の目が気にならない完全個室です。

照明を暗く落とした部屋に鎮静効果の高いといわれるラベンダーとゼラニウムのアロマが優しく香り、寝心地のよいリクライニングベッドがしっかりと身体を受け止めてくれます。
なにより天井を見上げると、そこには輝く星空のプラネタリウムが。
天井だけでなく正面の壁にも星の運河が広がり、ヘッドスパとは思えない幻想的な空間です。ギネス認定プラネタリウムクリエイターである大平貴之氏とセガトイズが共同開発した「ホームスタークラシック」によって星を投影しています。

「最初は、『渋谷でプラネタリウムが見られたら面白いよね？』という発想からスタートしたんです。調べてみると、星の瞬きを眺めることは睡眠を促すのにとても有効ともいわれ、医療現場においても精神的なケアに活用される場合があることを知りました」と白石店長。

静かなBGMも流れています。耳をすませると、寄せては返す波の音も聞こえます。人間に癒やし効果を与えてくれるといわれる「1/fのゆらぎ」が発生するヒーリングサウンドなのだとか。
「『1/fのゆらぎ』を含むサウンドを聴くと生体リズムと共鳴し、自律神経が整えられ、心が安定すると考えられているそうです」（白石店長）

頭皮をつかみやすいドライヘッドスパ

※撮影のため通常より部屋を明るくしています（以下同じ）

施術着に着替えたらいよいよマッサージ開始。
水やオイルなどを使用しないドライヘッドスパで、セラピストにとっては頭皮をよりつかみやすいというメリットがあります。ゲストにとっては髪が汚れないので施術後にすぐ帰宅できるのもありがたいポイント。
頭、首、肩、背中の肩甲骨まわり、デコルテ、耳元、目元、腕の順に、セラピストのゴッドハンドで身体を柔らかくほぐし、脳をリラックスさせることで、ゲストを心地のよい睡眠へといざないます。
頭だけでなく上半身も一緒に施術するのは、そちらの方がより癒やし効果を得やすいから。

「指の力だけで頭を押すというよりも、私の体重を使いながら圧力をかけたり、頭皮を引き上げたりしています」と担当セラピストのSakanoさん。

力の強弱の希望を伝えると対応してくれます。全体的には強度のあるパワフルな施術というより、後頭部や側頭部にある眠りのツボをゆっくり刺激していくイメージ。オールハンドの温もりも手伝って、早くも意識がふわふわと薄らいでいきます。

頭皮のあとは、首、肩、デコルテを施術。両手を使い、丁寧にリンパを流してくれます。

背中は主に、指の腹を使って肩甲骨を回すマッサージ。
「かなり背中がゴリゴリしていますね、お疲れなのでしょう。首肩が凝っている方や、猫背など姿勢の悪い方は、背中から凝っている場合が多いので、しっかりほぐしていきます」とセラピストのSakanoさん。

耳元と腕が終わったら最後に目元にタオルをあて、目の周りのツボや、おでこをじんわりと指圧。眼精疲労を訴えていたモデルさんはとても気持ちよさそう。

宇宙空間をふわふわ漂うような極上の寝落ち体験

残りの時間で、再び頭皮や、つらい部分を重点的に施術。
「気持ちよさを長く感じたいので眠りたくない」「でもいっそ熟睡できたらどんなに心地よいだろう」、そんなことを考えつつ、覚醒と眠りの狭間を行ったり来たり。まるで宇宙空間をふわふわと漂う"不思議な浮遊体験"のようでもあり、瞑想のようであり......。

そして筆者は、自分のかくイビキに驚いて目を覚ましました。
一瞬なのか数分なのかは分かりませんが、ストンと眠りに落ちてしまったみたいで、まだ施術は続いていました。なんだか宇宙のブラックホールにスコーンと吸い込まれたような驚きと、見事に睡眠に導かれた喜びが湧いてきて、心の中で思わず拍手。
最後に頭皮用トリートメントの炭酸スプレーをふってもらい、髪の毛も頭皮もスッキリ爽快。癒やしがつまった60分でした。

考えてみれば、夜眠りにつく直前に感じるあの「まどろみ」の快感を、オールハンドで再現してしまうのはすごいことなのでは......？施術中はセラピストもリラックス状態にあるとのことで、2人のリズムのシンクロが、眠りを誘う要因の一つなのかもしれないと筆者は感じました。

施術後には、リラックスとデトックス効果が期待できるハーブティをいただき、しっかり目覚めてから日常へと戻ります。一瞬でも眠ったことによる脳の回復、リフレッシュ効果を少なからず感じました（筆者の個人的な感想です）。

今回体験した「キロンコース60分」以外にも、短い時間でリラックスできる「パワーナップコース40分」（6,500円）、より深い睡眠が期待できる「プレミアムコース90分」（12,000円）などもあります。
もちろん100％の眠りが確約されているわけではありませんが、たとえ眠れなくても癒しを得られるのは確かでしょう。お疲れ気味の人は、"渋谷のプラネタリウム"の扉を叩いてみるとよいかもしれません。

Words : Riyua Joe（mogShore）
Photos: Jin Saito

2023/8/28

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