温泉に行きたい、自然に癒やされたい、おいしいものが食べたい、ゆっくり本が読みたい。忙しい日々のなかで、そんな心の声を聞き逃してはいませんか？ 今回は、その思いを都心から約1時間半で満たすことができる「湯河原惣湯 Books and Retreat」について、ご紹介いたします。

湯河原温泉の中心地に2021年にオープン

「湯河原惣湯 Books and Retreat」は、湯河原温泉街の中心部にある万葉公園内に2021年にオープンした、温泉・食・本を楽しめるリトリート施設です。カフェや足湯を気軽に利用できる「玄関テラス」と、源泉かけ流し温泉や食事をゆっくり堪能できる「惣湯テラス」があります。

誰でも気軽に楽しめる「玄関テラス」

万葉公園の入り口に位置する「玄関テラス」。到着すると、すぐに川の流れる音が聴こえてきます。ここからリトリートタイムのはじまりです。開放的な空間で、深呼吸をしてから1Fのカフェへと入っていきましょう。

カフェでは、軽食やドリンクの注文スペースの隣に、絵本や湯河原にゆかりのある小説などがずらりと並んでいます。この本は、貸出もしており、施設内で自由に閲覧可能。好きな本とドリンクを手に、公園内を流れる川のほとりで、ゆっくり読書を楽しむのもおすすめです。

「玄関テラス」は、公園と一体となっており、誰でも気軽に利用できるのもうれしいところ。広いスペースには、至るところにベンチが設置されているので、自分だけのお気に入りスペースがみつかります。空を眺めながら、のんびり足湯につかるのも、贅沢な時間の過ごし方です。

川のせせらぎを聴きながらの散歩コース

「玄関テラス」の余韻にひたりながら、公園内の川沿いをゆっくり進みます。川のせせらぎと鳥のさえずりが聴こえる森のなかをのんびり散策しながら、この先にあるもう１つの施設「惣湯テラス」へと向かいます。道の途中には休憩できるテラスが点在しているので、気に入ったポイントでしばし自然の音色に身をまかせます。

寛ぎと癒やしの予約制温泉施設「惣湯テラス」

森をぬけると、視界が開けた先に「惣湯テラス」が現れました。こちらは、源泉かけ流し温泉、ライブラリー、食事が堪能できる予約制の日帰り温泉施設です。ゆったり過ごせるよう人数制限がされているため、静かな大人の時間が流れています。

ダイニングで過ごす、何もしない贅沢な時間

館内着に着替えたら、その後の時間の過ごし方は自由自在。筆者はまず、ダイニングでひと息。窓から景色を眺めているだけで、身体がリラックスしてきます。

ダイニングは、常設のフリードリンクのほか、アルコール類もオーダー可能（1杯まで無料）。ワインを飲みながら友人と語り合ったり、一人時間を楽しんだり、と思い思いのリラックスタイムを過ごすことができます。

身体を内側から開放する季節の料理

ほっと身体の力がぬけてきたタイミングで、料理が運ばれてきました。旬の野菜をメインにした7種の料理です。野菜は箸がすっと入るのに、しっかりとした食感と風味が楽しめます。自家製の飛竜頭（ひりょうず。がんもどきと同じ。写真右下）は、口に入れた瞬間にじゅわっと旨味が広がり、思わずため息。ご飯も汁物も身体になじむ、やさしいお味です。

料理の最後の一品は、モナカの皮にアイスとあんこをサンドしたデザート。想像していた甘さを裏切るように、ほんのり塩気のきいた大人の味です。どの料理もシンプルながらも豊かな味わいで、まるで日々の疲れた身体を内側からリセットしてくれるようでした。

自分と向き合う、自分を忘れるライブラリー

2階は、すっきりとした空間に約150冊の本が並ぶライブラリーです。ジャンルは、小説、エッセイ、デザイン、料理、哲学など様々。読むことで頭の中をリトリートできるような内容の本が厳選されています。

本のなかに筆者の愛読書も見つけましたが、この空間で読み返すと、日常とは違う、ゆとりや癒やし、気づきが得られる気がしました。また、いつもは手にとらないような本を直感で選ぶことによって、新しい自分に出会えるかもしれません。

木漏れ日と川音に包まれた源泉かけ流し温泉

お待ちかねの温泉は、気持ちのよい廊下をぬけた先の大浴場と森の小道の奥にある貸し切り風呂の2ヵ所あります。お湯は肌ざわりのよい無色透明。古くから傷に効くと言い伝えられる湯河原温泉のお湯は、心と身体を癒やします。

まずは大浴場に行ってみます。浴槽が四角くデザインされているので、大浴場ながらも落ち着いて湯に浸ることができました。1区切りごとに、お湯の温度が少し違うので、好みにあわせた場所で、のんびり満喫できます。

貸し切り風呂は、予約なしで入れるところも魅力。目の前に流れる川の音、天井からあふれる木漏れ日を独り占めしながらの入浴は、まさに至福のひとときでした。

森のなかでのんびり湯に浸り、本を読み、食を楽しむ。そんな贅沢な時間は、思っているより身近で体験できることを知りました。東京、名古屋からいずれも約1時間半、ふらりと気軽にリトリートしてみませんか？

Words: Mami Haga
Photos: 湯河原惣湯 提供

2021/11/8

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