いま食通のあいだで話題の講座をご存知でしょうか？　その名も『魚がしコンシェルジュ認定講座』。東京築地目利き協会が主催する、魚食推進活動の一貫なのですが、これが「プロから本物の技と味が学べる」と評判を呼び、リピーターが続出しています。

知り、体験し、味わいながら身につく認定講座

江戸の台所として、400年以上の歴史をもつ魚河岸（魚市場）。日本橋、築地、豊洲と、時代と共に場所は移り変わってきましたが、そこで働く匠の知識や技は脈々と受け継がれています。

そんな匠＝仲卸のプロたちが講師となり、長年培ってきた知識をわかりやすく伝授しているのが、今回ご紹介する『魚がしコンシェルジュ認定講座』です。

おいしい魚介類の見分け方やおろし方、水産資源について学びながら、実際に見て、さわって、味わえる、貴重な体験の場となっています。

講座は座学と実技の2日間。試験に合格するとコンシェルジュに認定されます。今回はその講座の一コマ、2日目の実技「アジの三枚おろしとお造り(刺身の作り方)」の様子をご紹介します。

仲卸のプロが実演＆サポート！初心者でもできるアジの三枚おろし

この日の講師は、仲卸をしながら高級寿司店や料亭の板前に魚のおろし方や料理を教える"プロの先生"小林朗先生です。

早速、目の前に運ばれてきたのは、つやつや輝く兵庫県淡路島産のアジ。目利きである小林先生が仕入れてきた一級品です。プロがセレクトした新鮮な魚介に出会えるのもこの講座の醍醐味。

講座は包丁の持ち方からスタート。初心者でもわかるように、基本をしっかりおさえてから実技に入ります。まずは、小林先生がお手本を披露。

「アジはぜいごという硬い鱗があるので、しっぽから包丁を上下にいれます」と、アジの特性も説明しながら、おろす手順をゆっくり2度実演します。

2度目はすでにおろした魚も用いながら、包丁がいまアジのどの部分に入っているかを説明。なぜここに包丁を入れるとよいか、納得しながら学べます。お手本の後はいよいよ受講生がチャレンジです。

いざ実践すると、思ったように包丁が動かないことも。そんなときは小林先生がすかさずサポート。アドバイスどおりに実践すると驚くほど簡単にできます。包丁の角度や力の入れ方など、できなかった原因を明確に教えてもらえるので、理解度もぐんと上がります。

プロ直伝、料亭のお造りが自分でもできる

アジを三枚におろしてから、骨をとり、皮を引いたところで、次は刺身の作り方に入ります。細造り、平造り、木の葉造りの３パターンの切り方が課題。難関は葉の形をした木の葉造りです。

料亭のようなお造りも、先生の教えどおりに実践すれば、初心者である筆者でも形にできることに驚き！　小林先生直伝のコツとテクニックのおかげで、刺身のお造りが完成しました。

体験すればするほど、魚にハマってしまう

講座を終えた感想をお伺いしました。鮮魚ビジネスに興味があり参加したという、阿部重郎さんは、「ふだん料理はしないので、ちょっと難しかったですが、新鮮な魚のおいしさに感激しました」と目利きが選んだ魚の味に感動した様子。

また、今回受講は2度目という女性は「もう1度体験したくて参加しました。魚を自分でおろして食べることに憧れているので、今日教えてもらったことを家で実践して、さらに精進したいです！」と今後の意気込みを笑顔で語っていました。

実はこの講座、リピート受講が多いのも特徴で、1度体験すると、さらに知りたい、もっとできるようになりたい、という気持ちを呼ぶとか。それを証拠に講座をサポートするスタッフの方も元受講生が多々。まさに知れば知るほど、体験すればするほどハマってしまうこの講座の魅力を物語っています。

魚の本質を見抜ける舌を身に付け、人生をより豊かに

2017年からスタートしたこの講座も今回で12期となり、ただいま13期を募集中。コンシェルジュに認定されるとレストランで特別メニューを提供してもらえるほか、割引などの特典があります。しかし、得られることはそれだけではありません。

講座を主催する東京築地目利き協会、代表理事の佐藤篤子さんは「魚の目利きたちから直接学ぶことで意識が変わり、知ることで世界が広がり、人生の質も上がっていきます」と語ります。

「例えば、この講座の座学で、産地別のまぐろや、締めた時間の違う魚を食べ比べるのですが、一度覚えるとその味は忘れません。学びながら自然と魚の本質を見極められる舌もできていくのです。すると、寿司屋でも味わい深くなったり、大将と魚の話ができるようになったり、と経験も広がっていきます。この講座を通して、みなさんの食や人生がさらに豊かになったらうれしいです」

新鮮でおいしい魚を食べたい！　魚をおろせるようになりたい！　もっと魚を知りたい！　受講の入り口はもちろん自由。初心者でも気軽に参加できる講座内容となっています。まさに目から鱗が落ちる体験ができることまちがいなし。ぜひ1度受講されてみてはいかがでしょうか？

※東京築地目利き協会では、新型コロナウイルス感染防止対策といたしまして、参加者スタッフともワクチン2回接種済みまたは開催三日前にPCR検査を受けていただける方に限定しております。
また、当日は、朝体調が悪いとわかった時点で連絡いただき、次の期への移行をお願いしております。
最大人数45名ですが昨年からは25名に限定させていただいております。講座会場は座席前後にアクリル板を設置、入場時に体温測定、手指消毒の徹底、常にマスクをお願いしております。座席前には消毒もおいてございます。

Words: Mami　Haga　Photos: Koji　Masmot

魚がしコンシェルジュ認定講座

1日目：座学の講座（計7コマ）、筆記試験
2日目：実技の講義　
※実技終了後合否メール連絡。
2021年9月24日現在、第13期生（11月21日より開講）を募集中。募集定員50名。どなたでもご受講いただけます。

2021/7/31

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