余裕のある大人だけが持つ優雅で知的な魅力。それを端的に表現するなら「ダンディズム」という言葉が相応しいかもしれません。

恵比寿にあるショコラトリー「ジョンカナヤ」 の「ボンボンショコラ」は、そんなダンディズムに満ちた世界の入り口。一度その世界観と魅惑の味を知れば、手土産選びのプロの秘書も、舌の肥えた社長も、「次もジョンカナヤで」と指名するのです。

日本を代表する名ホテルマン"金谷鮮治"が息づくブティック

「ジョンカナヤ」を求めて恵比寿駅から歩くこと5分、鮮やかなロイヤルブルーが目に飛び込んできました。
ディスプレイには百合の花、葉巻、ダイスやトランプ、アンティーク時計、双眼鏡......古き良きヨーロピアンの佇まい。
しかし「ショコラトリー」の気配は感じられません。

扉を開けて店内に入ると、ジャズの優雅な歌声に包まれて並ぶショコラやお菓子たちとご対面。
ようやく「ショコラトリー」だと確信できます。

「ジョンカナヤ」を代表するのは、シーリングワックスがついた「ボンボンショコラ」。
カカオ本来の味を楽しむスタンダードなアソートから、酒や果実、和テイストなど種類豊富で、個数も3個入りから最大25個入りまで10種類以上のラインナップ。
パーティーの手土産に、自分へのご褒美に、幅広いシーンに対応しています。

「私たちのルーツは、"金谷鮮治（かなやせんじ）"という男性にあります。高級スーツを身に纏い、白いリンカーンコンチネンタルを大胆に乗りこなして街の視線を集めるなど、絵に描いたようなダンディズムで数々の伝説を残した人でした」

「ジョンカナヤ」の背景を教えてくれたのは、クリエイティブディレクターの松崎さん。

金谷鮮治氏は、高度成長期の日本のホテル業界において革命をもたらした名ホテルマン。それと同時に、世界中を旅して身につけた知性と教養、ユーモアで人々を魅了していました。

そんな彼が1971年にオープンしたレストラン「西洋膳所JOHN KANAYA麻布」は伝説とまで称され、その派生として生まれたのがショコラトリー「ジョンカナヤ」です。

金谷鮮治氏は海外へ出かけるとよく手土産にチョコレートを買い、関係者という名の"家族"たちにプレゼントしていたのだとか。

「ディスプレイにあるものは、彼が実際に使用していたグラスや"きっとこんな遊びをしていただろう"というイメージで集めたものです。
私をはじめ、ほとんどの人は金谷鮮治に会ったことがありません。残されたわずかな情報と、そこにちょっとの妄想を加えたものこそが"金谷鮮治"。謎めいた一面も、色気と捉えていただければ」（松崎さん）

こだわりの素材と味わいのバランス。そして一粒に込められたダンディズムストーリー

ロマンたっぷりの紳士に私淑したショコラ、どんな味わいなのでしょうか。

人気のラインナップ2種が味わえる「ボンボンショコラ　スタンダード＋酒」（4,860円）と、金谷鮮治の世界観を最も色濃く体感できる「ボンボンショコラ　アニヴェルセル」（1,890円）を今回ご紹介します。

こちらは「ボンボンショコラ　スタンダード＋酒」。

そして「ボンボンショコラ　アニヴェルセル」。

直近で見ると、シーリングワックスを模ったショコラの精巧さに改めて感動します。
シーリングワックスはヨーロッパの貴族達の間で手紙や文書の未開封を証明するものとして普及しましたが、対する「ジョンカナヤ」は「美味しさ」と「品質」をショコラに封じ込めたことを証明しています。

一粒一粒味が異なるアソート。「食べ比べ」の贅沢さと楽しさを提供するのもジョンカナヤスタイルです。
赤い封蝋のボンボンショコラは、カカオ本来の味をシンプルに味わえる「スタンダート」のラインナップ。楽しむ人の年齢を問いません。

左上から、
「ジョンカナヤ・アメール」
フローラルな香りが特徴のエクアドル産カカオ豆「アメール」を使用したビターチョコレート。ほどよい苦味とコク深い味わい。

「ジョンカナヤ・ノアール」
ジャワ島産の稀少な豆「ノアール」を使用した甘さ控えめのチョコレート。見え隠れするフルーティーな酸味が味わいのポイント。

「ジョンカナヤ・ミルク」
品のある甘さのミルクチョコレート。シャリっとした食感のテクスチャーが個性的。

「アールグレイ」
香り高いアールグレイとミルクのエレガントな味わい。「スタンダード」の中でも特に人気の一粒。

「キャラメル」
軽やかなキャラメル風味のチョコレート。贅沢な3種のカカオのマリアージュを堪能できます。

ネイビーの封蝋のボンボンショコラは、大人の嗜みを知る「酒」のラインナップ。全体的にまろやかな仕上がりで、お酒初心者の方にもぴったりです。

左下から、
「ノチェロ」
イタリア・トスキ社のくるみのリキュール「ノチェロ」を使用したコクのある味わい。くるみとミルクチョコレートの濃厚さがやみつきに。

「アブサン」
薬草系リキュール「アブサン」を使用した爽快感のあるチョコレート。アブサンは「魔性のお酒」として一時期発売禁止にもなった歴史もあり、画家のゴッホやロートレックも虜になりました。

「ポワール」
フランス・フォンボンヌ社の洋梨のリキュールを使用した芳醇なチョコレート。アソートの中でひときわ"酒感"が強く、お酒好きの心を躍らせる一粒。

「アルマニャック」
白ぶどうからとれたフランスの高級ブランデー「アルマニャック」を使用したチョコレート。ブランデーのアロマ、そして時間差で訪れるチョコレートの甘い余韻にうっとり。

「赤ワイン」
ミディアムボディの赤ワインと甘さ控えめのチョコレートによるコンビネーション。赤ワインは金谷鮮治氏が最も愛したお酒であり、ほのかに感じる苦味はダンディズムの味わい。

続いて、見目麗しい「ボンボンショコラ アニヴェルセル」。
「ジョンカナヤ」の母体である「金谷ホテル観光グループ」の創業90周年を記念して発売され、一粒一粒に金谷鮮治氏のエレメントが濃く刻まれています。

左から、
「カサブランカ」
金谷鮮治氏が愛した白百合「カサブランカ」と同じ名のコーヒー豆を使用したチョコレート。朝の目覚めの一粒になる、ロマンチックで香ばしい味わい。

「ナポレオン」
金谷鮮治氏が愛でたシャンパーニュ「ナポレオン」を使用したチョコレート。甘みの中にほんのり漂うフルーティーさが上品。

「ローズ」
八ヶ岳山麓で育ったバラから抽出したローズウォーターとホワイトチョコレートのマリアージュ。瑞々しいフレグランスが広がります。

素材や品質に妥協がなく、一粒一粒が趣深い「ジョンカナヤ」の「ボンボンショコラ」。
大切な人への贈り物として胸を張って差し出せるのも納得です。

一流ショコラティエによって具現化される「バランス」と「世界観」

「ジョンカナヤ」のショコラティエを務めるのは、野口和男さん。彼もまた、金谷鮮治イズムに憧れた一人です。
野口さんは元々お菓子の製造機械の職人でしたが、43歳でなんとショコラティエに転身。老舗名門菓子店、星付きレストラン、有名ファッションブランドなどのチョコレートの開発やプロデュースを手掛けています。

「ジョンカナヤ」のショコラは、主となる2つの味の「バランス」が重要。そのさじ加減は、ショコラティエ・野口和男さんに委ねられています。
例えば力強いリキュールを使用したチョコレートでは、南米のカカオ豆を使用したクーベルチュール（カカオバターを多く含むチョコレート）を使用。両方の魅力を最大限に引き出します。

また「ジョンカナヤ」の提唱する「ダンディズム」という言葉は、時に「男臭い」と勘違いされがち。正しいブランドイメージを表現するのも、重要な使命と捉えているといいます。

お気に入りのショコラとともに、心からリラックスできる時間を

金谷鮮治氏は常におおらかで、余裕がありました。
それは自分とゆっくり向き合う時間を大切にしていたからではないかと言われています。

仕事で疲れた時や、大切なあの人に贈るリラックスタイムに。「ジョンカナヤ」のショコラの箱を開ければ、癒しとダンディズムをお裾分けしてくれるはずです。

Words：Yui Ichihara
Photos：Tsunenori Yamashita

2022/11/10
2024/2/1編集

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