平日の夜、早めの時間から飲む。そんな贅沢にぴったりな店「Bar werk」が、昨秋神宮前にオープンした。1970年代から2000年代初頭まで「RADIO」という伝説的なバー（現在は南青山で営業）があった場所なのだが、ひとつ前にあったお寿司屋さんを居抜きから少し手を入れて、素敵なカウンターバーの装いになっている。

新年が明け、仕事も詰まりきっていないこの日は18時過ぎに訪問したのだが、店内はすでにほぼ満席。アペリティフで訪れた人から食事までする人まで皆それぞれの使い方がある。この時間からのこの賑わいには心が躍る。カウンターに立つのは成田玄太さん。ナチュラルワインとオリジナルのカクテルがそれぞれ7〜８種用意されている。

いつもワインを飲んでいるお客さんも多いのだけれど、僕としては一杯目には俄然カクテルがおすすめ。スタンダードなものにほんの少しエッセンスが加わった成田さんのセンスのいいカクテルは夜の始まりの合図にもぴったりなのである。この日の一杯目はジンベースの「ウィンターハーバルトニック」を。

お酒に合わせる飲み物は料理研究家の長尾智子さんが監修。雑誌などではよく目にする長尾さんのお料理が実際に食べられる。上質な素材が絶妙な組み合わせでお皿になっていて、イメージどおりというかなんというか、ああ美味しい。僕のこの夜のつまみは「4種のキノコとゆり根のクリーム煮」と「ゴルゴンゾーラ＆マスカルポーネ 伊産オレンジはちみつ りんご」を注文。お酒にもよくあう、実に長尾さんらしいメニューだと思う。

前述のお二人に加えて元ランドスケープの中原慎一郎さんと写真家の高橋ヨーコさんも共同オーナーでお店をやっていらして、端々にセンスの良さがキラリと光っている。24時までオープンしているので、2軒めにももちろんオススメです。一人でさくっとだと5000円弱、1万円あればひとりで酩酊コースか、ふたりでさくっとでも。


山本憲資　プロフィール
大学卒業後、広告代理店を経て、雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。食、テクノロジー、カルチャーなど幅広い企画を手がける。その後、起業し2011年ソーシャルメディア「Sumally（サマリー）」をローンチ、続いて2015年にスマホ収納サービス「サマリーポケット」のサービスを開始。休日は、趣味の食べ歩きを全国津津浦浦と気ままに楽しんでいる。

2020/1/8取材
2021/6/24編集

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