バランス型投資信託とは?メリットと注意点も解説

【分散投資のコツとは?投資信託で安定的な運用を狙うテクニックを解説】 で述べたようにリスクを抑え資産を安定的に運用するためには「分散投資」が効果的です。分散投資を実現する方法は、いくつかあります。その中でも有力な選択肢となるのが「バランス型投資信託」を保有することです。今回は、以下の内容について解説していきます。

バランス型投資信託とは何か

バランス型投資信託を説明する前にまずは投資信託について簡単に解説しておきましょう。

「投資信託」とは

投資信託は、投資家から集めたお金を一つの大きな資金(ファンド)としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などで運用します。その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される金融商品です。

「バランス型投資信託」とは

「国内株式しか投資をしない」、「海外債券しか投資をしない」など特定の資産に偏ることなく複数の資産(商品)や地域にバランス良く投資をする投資信託のことを指します。

バランス型投資信託の種類

バランス型投資信託の種類は、大別すると「資産配分固定型」、「資産配分変動型」の2つです。それぞれの特徴について解説していきます。

資産配分固定型

資産配分固定型はその名の通り資産配分を固定して運用するバランス型投資信託です。例えば「運用資産を8等分し8つの異なる資産(商品)に分散投資をすることを基本方針とする」といったものが該当します(他にもさまざまな条件の資産配分固定型のバランス型投資信託があります)。ただ基本方針を定めていても金融市場の変動で基本方針の配分割合から徐々にずれてしまうことが一般的です。
そのため【分散投資のコツとは?投資信託で安定的な運用を狙うテクニックを解説】 で紹介した「リバランス」を定期的に実施することで基本方針の配分比率へ戻します。リバランスとは、ポートフォリオを構築した後に資産価格が変動したことによって変化した資産の配分割合を当初の割合に戻す作業のことです。

資産配分変動型

資産配分変動型もその名の通り資産配分を変動させて運用するバランス型投資信託です。資産配分固定型は、事前に基本配分方針を決めて運用しますが資産配分変動型は金融市場の動向によって柔軟に配分割合を変化させます。例えば金融危機などが起こった場合には、株式やREIT(不動産投資信託)などの変動の大きい資産の配分比率を下げることで、基準価額の変動リスクを抑制し安定した運用を目指すことができます。

バランス型投資信託の2つのメリット

バランス型投資信託に投資をする主なメリットは、以下の2つが挙げられます。

・さまざまな資産(商品)へ手軽に分散投資ができる
・資産の配分割合をファンドマネージャーが調整してくれる

1.さまざまな資産(商品)へ手軽に分散投資ができる

冒頭で述べたように、値動きなどのリスクを抑えて資産を安定的に運用するためには「分散投資」が効果的です。【分散投資のコツとは?投資信託で安定的な運用を狙うテクニックを解説】 にもありますように、分散投資には大きく分けると以下の3つがあります。

・資産(商品)の分散
・地域の分散
・時間の分散

一般的なバランス型投資信託であれば、保有することで「資産(商品)の分散」「地域の分散」の2つを満たすことができます。なぜならバランス型投資信託は、特定の資産に偏ることなく複数の資産(商品)や地域にバランス良く投資をする投資信託だからです。例えば以下のように8つの資産を12.5%ずつ8等分投資(以後、8等分投資)すると仮定します。

(画像=ZUU online作成)

これを自分1人で実践しようとすると国内外が入り交じる8つの資産を自分で購入する必要があり資産運用初心者にとっては一苦労でしょう。しかし8等分投資を自動で行ってくれるバランス型投資信託(以後、8等分ファンド)に投資をすればそれだけで目的が達成されます。つまりバランス型投資信託を活用することで「さまざまな資産へ手軽に分散投資ができる」というわけです。
資産運用初心者にとっては、ありがたい金融商品といえるでしょう。ただしバランス型投資信託によって組み込まれている資産の種類や割合は異なります。そのため「購入を検討しているバランス型投資信託が何にどれくらい投資をしているか」についてしっかりと確認することが必要です。

2.資産の配分割合をファンドマネージャーが調整してくれる

資産の配分割合を投資の専門家が調整してくれる点は、バランス型投資信託の大きなメリットです。例えば8等分投資を自分だけで何とか実践できたとします。しかし金融市場の変動によって日が経過するごとに8等分の割合は崩れてしまい、また「どれくらいの頻度でリバランスを行うか」にもよっても配分の崩れ方は異なってくるでしょう。 そのため資産運用初心者が定期的に金融市場の動向と8つの資産の値動きをチェックしたり必要に応じて随時リバランスを実行したりすることは、難しいことが多いです。また売買の都度手数料が発生する場合があることも忘れてはいけません。

バランス型投資信託の2つの注意点

それでは、バランス型投資信託に投資をする際の注意点には何があるのでしょうか。例えば以下の2つの注意点が挙げられます。

・インデックスファンドと比較してコストが高いことが多い
・基準価額が変動した際に、何が要因で変動したのかが分かりづらい

1.インデックスファンドと比較してコストが高いことが多い

まずは、コスト面です。バランス型投資信託は、インデックスファンドに比べてコストが高い傾向にあります。インデックスファンドとは、日経平均株価やダウ平均株価といった株価指数などの指標(インデックス)に連動した運用を目指す投資信託のことです。なお投資信託のコストは、購入手数料や信託報酬などがあり、ファンドによって内容が異なるため注意が必要です。
特にバランス型投資信託の資産配分変動型は、運用管理費用(信託報酬)が高い傾向です。しかしこれはよく考えてみれば理解できることではないでしょうか。前述したようにバランス型投資信託は、運用の専門家が日々金融市場の動向を確認して投資配分比率を変化させます。
特定の指標(インデックス)への連動を目指すインデックスファンドに比べて手厚いサポート体制となるため、手数料が高くなっているのです。たしかに資産運用において「コストをできるだけ抑えること」は重要なポイントとなります。なぜならコストが大きくなるほど投資家にとっては実質的な利益が減るからです。しかしコストが安ければ何でもいいわけではありません。
特に資産運用初心者の場合は、自分で投資判断ができないケースが多いでしょう。そのような場合、専門家の知見を活用できるバランス型投資信託は大きな助けとなります。コストだけに目を向けず「コストとそれによって得られる効用」のバランスをよく考えるようにしましょう。

2.基準価額が変動した際に、何が要因で変動したのかが分かりづらい

バランス型投資信託は、投資信託の値段となる基準価額が変動したときに「何が要因で変動したのか」が分かりづらい傾向にあります。例えば8等分ファンドを保有しているときに基準価額が下落したとしても「8つの資産のどれが下落に寄与したのか」について把握が難しくなります。以下のような変動要因が考えられたとしてもあくまでも推測にすぎません。

・新興国株式が影響した可能性
・先進国債券や国内REITが影響した可能性

リアルタイムの資産配分は、基本的に公開されていません。ただ、月次レポートなどで定期的に情報を確認でき、中には1ヵ月の値動きの理由を解説しているものもあります。 最初は、難しい用語が並んでいて理解しにくいかもしれませんが毎月読んでいくごとに少しずつ慣れてくるはずです。時間に余裕があればレポート内に出てくる分からない単語を都度調べていくことも試してみましょう。

「時間の分散」を実現してくれるバランス型投資信託もある

本稿では、以下の内容について解説してきました。

・バランス型投資信託とは何か
・バランス型投資信託の種類
・バランス型投資信託の2つのメリット
・バランス型投資信託の2つの注意点

一般的なバランス型投資信託であれば、保有することで手軽に「資産(商品)の分散」「地域の分散」の2つを満たすことができ、資産運用初心者にとっては、取り組みやすいありがたい金融商品といえるでしょう。分散投資は、大別すると「資産(商品)の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つがありますが、バランス型投資信託で、「時間の分散」を満たすことができるのでしょうか?
「資産(商品)の分散」「地域の分散」の2つを満たすバランス型投資信託において購入時期を複数回に分けて購入すれば「時間の分散」も達成可能です。そのためまとまった金額をバランス型投資信託に投じる予定であれば複数回に分けて購入することも選択肢の一つといえるでしょう。ただし「自分で複数回に分けて投資するのは、少し手間だな」と感じる人もいるかもしれません。
しかし投資信託の中には、最初にまとまった金額を投資して、その後はファンドマネージャーが世界中の株式や債券への投資比率を変えることで、自動で積立投資するのと同じ効果を得られるものもあるため、そのような投資信託を活用することも方法の一つです。
バランス型投資信託のメリットや注意点を十分把握したうえで上手に活用して資産運用を進めていきましょう。

2022年6月17日

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