分散投資の種類には何がある? 「資産(商品)」、「地域」、「時間」の3つの分散投資を解説

資産運用においては「分散投資が重要」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし一口に「分散投資」といっても実は複数の方法があります。それぞれの方法を理解すればより良い分散投資ができるようになるでしょう。そこで今回は、分散投資の概要や「資産(商品)の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つについて解説します

分散投資とは?

分散投資とは、投資対象や購入時期を分散することでリスクを抑え安定した運用成績を目指す運用方法です。リスクと聞くと損失であったり危険であったり、マイナスのイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし金融商品におけるリスクとは、運用成績がマイナスになること(損失)ではありません。
例えば「リスクが大きい」とは、「大きく収益が得られたり大きく損失が出たりする可能性がある」という意味です。つまりリスクとは、リターン(収益)の振れ幅のこと。投資初心者や以前運用で失敗して投資を休止していた人は、「リスクを抑えて安定的に運用したい」という気持ちが強いでしょう。そんな人にとって分散投資は、おすすめの運用方法です。ただ、投資初心者の方にとっては、分散投資のポートフォリオを自分で組み立てることは難しいでしょう。そこで、分散投資でリスクを抑えて安定的な運用を目指すうえで、「投資信託」を活用することもおすすめです。
なお分散投資によってリスクを抑えることが期待できますが、ゼロになるわけではありません。元本保証されていない金融商品を保有する以上、分散投資を実行しても元本割れの可能性があることはしっかりと押さえておきましょう。

  • リスクとは、運用成績がマイナスになること(損失)ではない
  • リスクとは、リターン(収益)の振れ幅のこと
  • 投資初心者などには、分散投資がおすすめ
  • 分散投資をするには、「投資信託」の活用がおすすめ

分散投資の種類(方法)には何がある?

分散投資には、どのような種類(方法)があるのでしょうか。主に以下のようなものが挙げられます。

  1. 資産(商品)の分散:特性が異なる複数の資産を組み合わせる
  2. 地域の分散:複数の国・地域への投資を組み合わせる
  3. 時間の分散:投資タイミングを複数に分ける

ここからは、それぞれの詳細を見ていきましょう。

「資産(商品)の分散」とは

資産(商品)の分散とは、特性が異なる複数の資産を組み合わせることです。同じようなリターンや値動き、リスク特性を持つ投資対象群のことを「アセットクラス」と呼びます。例えば株式や債券、不動産などです。「資産(商品)の分散」は、これら「アセットクラスの分散」を指すことが一般的です。同じ投資家が株式にも投資するし、債券にも投資しているといった場合、「違うアセットクラスに分散投資をしている」、つまり「アセットクラスの分散」をおこなっていることになります。

同じアセットクラスであっても分散効果は期待できる

同じアセットクラスであっても特徴が異なれば分散効果を発揮できる場合があります。例えば代表的なアセットクラスである「株式」で考えてみましょう。株式と一口にいっても銘柄の種類はさまざまです。例えば、「大型株」、「中型株」、「小型株」が挙げられます。
東京証券取引所、市場第一部に上場している銘柄の中でも、時価総額と流動性が高い上位100位までの銘柄を「大型株」、400位までの銘柄を「中型株」、それ以外の銘柄を「小型株」と分類することができます(2021年7月時点)。時価総額とは、企業の規模を示すもので、「株価」×「発行済株式数」で計算されます。流動性とは、売買が成立しやすい状態にあるかどうかを判断する指標です。一般的に取引量が多ければ売買が成立しやすく、流動性が高いと言えます。逆に取引量が少なければ、流動性は低くなります。
「大型株」は、経営状態が安定した企業が多く、発行済株式数が多いため、売買が活発で、株価の値動きは比較的穏やかな傾向があります。一方、「中型株」や「小型株」は、「大型株」に比べて発行済株式数が少なく、流動性が低いため、ひとたび注目が集まると株価が大きく変動しやすい傾向にあります。そのため、短期間で大きなリターンを得ることができる可能性はありますが、その反面、大きな損失を被る可能性も大きくなります。 このように同じ株式というアセットクラスでも「大型株」、「中型株」、「小型株」に分散することで一定の分散効果が期待できるでしょう。もちろん同じアセットクラスのため、アセットクラスを分ける場合に比べると「資産の分散の効果が薄くなりやすい」ところがあります。(東京証券取引所は、2022年4月4日、市場区分を「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの新しい市場区分へと再編いたしました。)

「地域の分散」とは

地域の分散とは、複数の国・地域への投資を組み合わせることです。例えば投資先を「米国」、「日本」、「欧州」など地域別に分散させることが挙げられます。他にも「先進国」、「新興国」といった分け方で分散することも選択肢の一つです。
一般的に国や地域によって経済状況や景気動向は異なるものでしょう。例えば「米国経済が好調でも欧州経済は低迷している」ということがあるかもしれません。地域の分散は、経済状況や景気動向が異なる複数の国・地域に分散することでリスクを低減する考え方です。
世界では、中国やインドなどのように、経済発展が急速に進み、高い経済成長率を誇っている国や地域が少なくありません。そのためそのような国や地域に資産の一部を分散させることによって経済成長の恩恵を受けることも期待できます。
複数の地域の株式や債券を保有することで「地域の分散」を実践できるため、世界の株式や債券が組み込まれている投資信託への投資は、「地域の分散」の一つの方法であると言えるでしょう。

その国の通貨に投資をしている

一般的に、「地域の分散」を実践することは、為替変動リスクをヘッジ(為替変動の影響を抑えること)していない限りその国の通貨に投資をしていることになります。例えば米国株式を購入する場合は、日本円を米ドルに交換して米ドルで米国株式を購入するのが一般的です。つまり「地域の分散」を実践すると購入した資産の変動だけでなく為替レートの影響も受けることになります。 そのため、「為替変動リスク」がある点は、しっかりと押さえておきましょう。

「時間の分散」とは

時間の分散とは、投資タイミングを複数に分けることです。上記の「資産(商品)の分散」と「地域の分散」は、「どのような金融商品を買うか」という視点の話でした。しかし「時間の分散」は「いつ買うか」という視点になります。「時間の分散」の代表例は、「積立投資」です。「積立投資」の詳細ついては、『積立投資の魅力とは? 時間を味方につける資産形成 』をご覧ください。
積立投資には、主に以下の3つのメリットがあります。

  • 高値づかみを避けることができる
  • 手元にまとまった資金がない人でも投資を開始できる
  • マーケットの動きに一喜一憂しなくて済む

一方で以下の2点には注意が必要です。

  • 一貫して値上がりした場合は一括投資に比べて利益が少なくなる
  • 短期投資には向かない

積立投資でなくても「時間の分散」は実践できます。例えば100万円の余裕資金を日本株式に投資する予定としましょう。一度に100万円を投資しても良いのですが、25万円ずつ4回に分けたり10万円を10回に分けたりして投資することも、「時間の分散」を実践していると言えるでしょう。

3つの分散投資を組み合わせるとなお効果的

ここまで3つの分散投資について解説しました。3つの分散投資を上手に組み合わせることでさらに分散効果が高まります。そこで活用したいのが少額から分散投資できる「投資信託」です。投資信託を活用すれば一つの投資信託で多岐にわたる資産や地域へ分散することができます。
例えば2021年7月1日時点で東京証券取引所、市場第一部に上場している日本の会社は2,000社以上です。(東京証券取引所は、2022年4月4日に市場区分を再編しております。)米国にも欧州にもたくさんの上場銘柄があり、債券・不動産にも様々な投資候補があります。それらに分散すればするほど「資産(商品)の分散」や「地域の分散」の効果が高まるというわけです。ただし個別の株式や債券、不動産などをたくさん保有するには、たくさんのお金が必要になります。そのため、例えばどれも少額から購入できる以下の3つを同時に保有したらどうでしょうか。

・世界中の株式に投資する投資信託
・世界中の債券に投資する投資信託
・世界中の不動産に投資する投資信託

世界中に投資するため、当然「地域の分散」は達成することができます。また株式や債券、不動産という異なるアセットクラスの投資信託を同時に保有することになるため「資産(商品)の分散」も達成できるでしょう。さらに3つの投資信託を積立投資すれば「時間の分散」も達成可能です。投資信託は、ファンドマネージャーが自分に代わって運用してくれます。
そのため深い金融知識がなかったとしても分散投資を行うことができます。投資信託を活用すれば投資初心者でも手軽に「資産(商品)の分散」、「地域の分散」、「時間の分散」を実現することができるのです。

世界中の資産に自動で積立投資できる投資信託も

「時間の分散」を実現する積立投資は、自分で定期的に積み立てをしても良いでしょう。しかし投資信託の中には、最初にまとまった金額を投資して、その後はファンドマネージャーが世界中の株式や債券への投資比率を変えることで、自動で積立投資するのと同じ効果を得られるものもあるため、そのような投資信託を活用することも方法の一つです。
今回は、分散投資について解説しました。投資初心者や以前運用で失敗してしばらく投資を休止していた人にとって、分散投資はおすすめの運用方法です。また分散投資を実践する場合は、投資信託を活用することも方法の一つでしょう。投資信託を活用しながら「資産(商品)の分散」、「地域の分散」、「時間の分散」の3つを実現してみてはいかがでしょうか。

2022年6月17日

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