with Blue : SDGs取り組み企業インタビュー vol.4
「日本の外食を、ひっくり返せ。 ~GO BEYOND EXPECTATION~

(株式会社CRISP)

2026年4月

「with Blue」では、社会のサステナブルな発展に貢献する企業の応援記事を投稿します。
毎回の記事を通してサステナブルな社会について話すきっかけをつくること、そして、サステナブルな社会の実現について考えたり話したりすることが日常として根付くことを目指しています。

第4回目は、テクノロジーの力で外食をプラットフォーム化し、日本の外食産業の進化と都市型日常食ブランドの新しい可能性づくりに挑戦している株式会社CRISPの取り組みを紹介させていただきます。
つかの間のお昼休みでランチを取ろうと思ったとき、あなたは何を一番重視しますか?「スピード」「価格」「美味しさ」「健康」「接客の品質」、願わくはそのすべて…一方で、外食産業サイドから私たち消費者を見た時、その気まぐれなニーズの把握は至難の業であり、すべてに応えようにも慢性的な労働力不足に悩まされています。こうした複雑な“課題”に対して、テクノロジーと人の力で新しい解決モデルを提示しているのが、飲食的経営DXに挑む株式会社CRISPです。

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目次

出典元:(株)CRISPに関する画像 出典元:(株)CRISPに関する画像
出典元:(株)CRISP

CRISPが解決するお客様の本質的な課題

インタビュアー:
CRISPは、飲食的経営DXを通じて、お客様の課題を解決していると伺っております。まずは、CRISPのお客様について教えて頂けますか?
(株)CRISP宮野社長:
私たちのメインのお客様は、東京都心5区を中心としたオフィスワーカーの方々です。私自身がアメリカと日本でずっと飲食業界にいる中で、強く感じてきたのが、都心で働く人たちの「平日の食事」という課題の大きさです。毎日忙しく働く中で、「ちゃんとしたものを食べたい」「でも時間はかけたくない」という方が非常に多くいます。
それに対し、私たちは、「クリスプサラダワークス」というカスタムサラダ専門店を通じて、1食1,000円から1,500円前後の、新鮮で栄養価の高い、自分のためにカスタマイズされた手作りのサラダを提供しています。年間で約200万食。東京・神奈川・大阪の都心部オフィス街を中心に、現在56店舗(2026年4月末時点)を展開しており、国内のカスタムサラダ専門店としては店舗数No.1です。
クリスプサラダワークスに関する画像 クリスプサラダワークスに関する画像
オフィス街を中心に展開するクリスプサラダワークス
インタビュアー:
CRISPは、お客様のどのような課題を解決しているのでしょうか?
(株)CRISP宮野社長:
大きく2つあります。1つ目は「タイパ」、つまり時間効率です。都心のオフィスワーカーにとって、ランチタイムは限られています。私たちの売上の99%がデジタル経由—アプリでの事前注文やセルフレジ—なので、店舗で待つことなく受け取れる。実際、お客様の平均待ち時間は以前の7分から3.5分と半分にまで短縮しました。この体験が日常のリズムに組み込まれているお客様が非常に多いです。
2つ目は「健康の習慣化」です。健康的な食事をたまに摂るのではなく、週に何度も気軽に続けられること。私たちは「サラダは特別な日のものじゃなくて、日常食なんだ」という考え方を大切にしています。
CRISP APPに関する画像 CRISP APPに関する画像
CRISP APPはランクアップで特別なプレゼントをもらえたり、ファンにはたまらないスペシャルな情報もゲット可能

独自DXモデル「クリスプメソッド」の進化

インタビュアー:
「自分のための一食」がタイパと健康にコミットされているというのは、多忙なオフィスワーカーの心強い味方ですね。お客様の課題解決を支えているCRISP独自のDXモデルである「クリスプメソッド」について、お伺いできますか?
(株)CRISP宮野社長:
クリスプメソッドは、私たちが独自に構築してきたDX基盤です。私たちの強みは、テクノロジーとレストラン運営力の融合にあります。自社で運営する店舗に、自社で開発したテクノロジーを入れて、お客様とスタッフの1st Partyデータを統合的に集める。つまり、「テクノロジー」「データ」「オペレーション」の3点に完全にコミットしているのが特徴です。
具体的には6つの領域にまたがっています。まず「注文のDX」。モバイルオーダーとセルフレジを自社開発し、売上の99%がデジタル経由です。次に「働き方のDX」。自社開発の勤怠アプリと独自の人事制度で、スタッフのシフト管理や評価をデータで可視化し、一人ひとりの働きがいにつなげています。「店舗運営のDX」では、裏側のオペレーションまで全てDX化し店舗の生産性を最大化しています。
「販促のDX」は、お客様一人ひとりの購買データに基づいた個別化された提案です。CRMも自社開発しているので、お客様毎の完全な購買履歴を持っています。「商品開発のDX」では、どのメニューがどのお客様に支持されているかをデータで把握し、新商品開発に活かしています。そして「出店のDX」。物件選定から収益予測までデータを活用し、再現性の高い出店判断を行っています。これら全てを自社エンジニアが内製しているのが、私たちの強みです。
当社独自のDX手法「クリスプメソッド」に関する画像 当社独自のDX手法「クリスプメソッド」に関する画像
6つの領域にまたがる「クリスプメソッド」がテクノロジーとレストラン運営力を融合する
インタビュアー:
人手不足が深刻な外食産業では、働き方のDXが効果を生みそうですね。
(株)CRISP宮野社長:
おっしゃる通りです。外食産業全体で人手不足は深刻ですが、私たちはその課題にテクノロジーで正面から向き合っています。具体的には、まずシフトの問題。現在約600人の店舗スタッフが56店舗の好きなシフトにいつでも予約できる仕組みを、自社開発の勤怠アプリで実現しています。さらに、人が集まりにくいシフトには時給を一時的に上げる「ダイナミック時給」を導入しています。その結果、シフト充足率は98%超を維持しています。
それから、接客の質の可視化も重要なポイントです。スタッフ一人ひとりの接客がお客様の満足度やリピート率にどう影響しているかをデータで可視化しています。年間20万件の顧客フィードバックをスタッフ個人に紐付けてスコア化し、上位のスタッフには追加の報酬を支給しています。「良い接客とは何か」が感覚ではなく数字で見えるようになったことで、優れた接客をする人が正当に評価される。また、注文の99%がデジタル化されているため、スタッフはレジ対応ではなく、お客様とのコミュニケーションや調理に集中できる。これが従業員の満足度にもつながっています。
サービスパフォーマンスに関する画像 サービスパフォーマンスに関する画像
お客様の満足度がスタッフの満足度につながる
インタビュアー:
従業員体験の向上が顧客体験の向上をもたらし、結果として売上が伸びる―ビジネスにおける一般的な概念を、デジタル化によってシステムとして昇華されているのですね。クリスプメソッドの今後の進化が、ますます期待されますね。
(株)CRISP宮野社長:
ありがとうございます。クリスプメソッドの最大の強みは、特定のブランドに依存しない汎用的な仕組みであることです。実際、昨年秋に「トーキョーアジフライ」という人気の定食屋の事業を譲受しました。共通基盤であるモバイルオーダーやセルフレジ、オペレーションのDXを導入した結果、売上が前年比で30%以上伸びています。これこそが、クリスプメソッドの横展開の証明だと思っています。
今後は、「クリスプサラダワークス」で培ったこのDX基盤を複数のブランドに横展開していきます。異なるブランド間でもお客様のデータや購買履歴を横断的に活用できれば、お客様との接点が増え、お一人あたりの生涯価値も高まる。同時に、共通の基盤があるからこそ新しいブランドの立ち上げコストも抑えられ、収益性を維持したまま成長できる。これが私たちの目指す「外食プラットフォーム企業」としての姿です。

CRISPが作るエコシステム

インタビュアー:
CRISPは、クリスプメソッドを通じて、企業・お客様・従業員の利益が最大化されるエコシステムを構築していると伺いましたが、具体的な内容を教えて頂けますか?
(株)CRISP宮野社長:
私たちが掲げているのは「接客のマネタイズ」という考え方です。従来の外食業界では、接客の質が売上にどう影響しているかを定量的に把握することが難しかった。それは、現金での決済が主流で、お客様一人ひとりの購買行動を追跡できなかったからです。
しかし、私たちは、創業当初から「お客様のデータをきちんと持つ」ことに徹底的にこだわってきました。売上の99%がデジタル経由という環境だからこそ、「どのスタッフが関わったお客様が、その後どれだけリピートしてくれたか」を数値で把握できるようになりました。独自の顧客管理システムを構築し、店頭端末でお客様の利用履歴や評価をリアルタイムで確認できる接客支援ツールも作りました。これによって、企業はより効果的な投資判断ができ、お客様はより良い体験を得られ、スタッフは自分の貢献が正当に評価される。この三方よしのエコシステムが回り始めています。
インタビュアー:
「接客のマネタイズ」がもたらしている効果について、教えて頂けますか?
(株)CRISP宮野社長:
大きく3つの効果があります。
まず、スタッフへのインセンティブです。年間20万件の顧客フィードバックをスタッフ個人に紐付けてスコア化し、優れた接客を行うスタッフには追加の報酬を支給しています。これが具体的な動機づけになっています。
次に、接客品質全体の底上げです。「何がお客様に喜ばれるか」が数字で見えることで、スタッフ自身が改善のサイクルを回せるようになりました。店頭接客のPDCAが可能になり、カスタマー熱狂度は79.9%から85.8%(2025年末時点)まで継続的に向上しています。
そして3つ目が、お客様一人あたりの購買単価、いわゆるARPPUの向上です。良い接客を受けたお客様は、再来店の頻度が上がり、トッピングの追加や新商品の利用も増える。まだこれからの部分もありますが、こういった効果が再現性をもって構築されることに挑戦しています。
クリスプメソッドに関する画像 クリスプメソッドに関する画像
自社開発のDXツールが優れたレストラン運営力を支える
インタビュアー:
接客のマネタイズを実現させているのが、クリスプメソッドということですね?
(株)CRISP宮野社長:
まさにその通りです。クリスプメソッドが支えている価値は、お客様と従業員の両面にあります。
お客様の視点では、まずアプリ注文による時間効率の良さ。待ち時間が半分になったことで、忙しいランチタイムでもストレスなく健康的な食事が取れます。次に、健康的な食事を無理なく習慣にできること。そして、購買データに基づいたお一人お一人に合わせた提案が受けられること、です。
一方、従業員の視点では、デジタル化によってレジ業務から解放され、その人ならではの接客に集中できる環境を作れること。接客の成果が可視化されることで時給が変動する仕組みもあり、頑張りが報われる実感を持てること。さらに、デジタル基盤があるからこそ柔軟なシフト設計も可能になっています。これらすべてを裏側で支えているのが、クリスプメソッドという統合的なDX基盤なのです。

クリスプサラダワークスを100店舗体制へ

インタビュアー:
国内のサラダ市場規模をどのように見込んでおられますか?
(株)CRISP宮野社長:
日本のサラダ専門店市場は、健康志向の高まりとライフスタイルの変化を受けて大きく成長すると見込んでいます。その中で私たちはカスタムサラダ専門店として国内最多の店舗数を展開しています。
グローバルに見ても、健康的なファストカジュアル市場は非常に大きな成長を見せています。米国ではファストカジュアル市場が2025年時点で約485億ドル(約7兆円)規模に達し、年率約6%以上のペースで拡大を続けている。特に地中海料理を中心に展開するCAVAは、年間売上10億ドルを突破し2032年までに1,000店舗体制を目指す等、健康的なファストカジュアル・ファストファイン領域は世界的に非常に大きな成長トレンドにあります。
日本でもこの流れは確実に来ていると感じています。私たちはその先頭に立つポジションを、データとDXの力で確保していきたいと考えています。
インタビュアー:
今後の「クリスプサラダワークス」の出店計画について、教えて頂けますか?
(株)CRISP宮野社長:
東京都心を中心とした大規模オフィスビル・都市型商業施設への出店を集中的に進めています。大手デベロッパーとの関係性を活かし、新しいオフィスビルの開業に合わせた出店を重ねてきました。
この戦略の狙いは明確で、私たちのメインのお客様であるオフィスワーカーが最も集中するエリアに、密度高く店舗を配置することです。店舗が近くにあるからこそ日常的に使っていただけるし、密度が上がればスタッフの需給はシフトマッチングとダイナミック時給で調整でき、運営品質はオペレーションのDXと接客のスコア化で再現できます。
現在56店舗を展開し、「クリスプサラダワークス」としては100店舗体制を早期に実現していきます。
インタビュアー:
いつもの職場だけではなく、出先でもCRISPのサラダが食べられるようになるのは楽しみですね!
最後に、「クリスプサラダワークス」以外の新業態開発にも取り組んでいくと伺っております。
(株)CRISP宮野社長:
はい。私たちは「クリスプサラダワークス」という1つのブランドだけで成長を追求するのではなく、都心オフィスワーカーの平日の食事を全て取りに行く「マルチブランド戦略」を推進しています。つまり、月曜日から金曜日まで、お客様の平日5回のランチを全部埋める。そのために、サラダ以外のブランドカテゴリーを増やしていきます。
先ほど申し上げたように、昨年秋にトーキョーアジフライという人気の定食屋の事業を譲受し、クリスプメソッドを導入した結果、売上が前年比で30%近く伸びています。これは単純な多角化ではなく、同一顧客の深掘りです。共通DX基盤があるので、ブランドを増やすほど効率が上がり、同ビル内で複数のブランドを展開し、同じお客様に曜日毎に異なるブランドを体験していただくことを狙いとしています。
今年の夏には新ブランドもローンチする予定です。サラダに限らず、日常的に食べたいもの、健康的に続けたいものを、テクノロジーの力でお届けしていく。その積み上げの先に、私たちは2040年に売上3,000億円を見据えています。それが「日本の外食を、ひっくり返せ。」という私たちのパーパスの実現に向けた具体的な道筋です。
宮野社長に関する画像 宮野社長に関する画像
インタビューにお答えいただいた宮野社長

結びに

今回は、飲食的経営DXを通じて「外食プラットフォーム企業」を目指す(株)CRISP様のお取組みをご紹介いたしました。
私たち消費者が満足するだけでなく、その満足がスタッフの方々のやりがいにつながり、次の街にCRISPの輪が拡がっていく―まさに、日本の外食業界がクリスプメソッドでひっくり返っていく未来を感じることができたインタビューでした。
インタビュー外で教えていただいたところによると、リピートする顧客数として最も層が厚いのは20~30代の女性ですが、頻度が最も高いのは40代の男性だそうです。40歳になったばかりの私も実食してみたのですが、「ランチがサラダだけでは物足りないのではないか」という先入観を吹き飛ばしてくれる、味もボリュームも大満足の逸品でした(人気No.2のクラシック・チキンコブをいただきました)。
「タイパ」は大前提だがそろそろ「健康」にも気を使っていきたいという方、ぜひ一度ご賞味ください!

  • 写真提供元:株式会社CRISP