人材戦略
1. あおぞら銀行グループの人材戦略
当行グループは、「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、約2,500名とコンパクトな規模ながら、高い専門性と提案力を武器に質の高い金融サービスを提供しています。それを担う、困難に挑戦する「人財」こそが当行グループの企業価値向上の源泉であると考えます。そのため、少数精鋭のプロフェッショナル集団としての人的資本の価値向上を人材戦略の目標とするとともに、経営戦略の根幹に据えています。
中期経営計画「AOZORA2027」では、人材戦略が目指す姿を「従業員一人ひとりが『付加価値を創造』する人材へと『育ち』『変わる』ことで、全てのステークホルダーが『豊かになる』とともに、従業員自身が誇りと働きがいを持てる会社となること」と定めました。この目指す姿の実現には、「お客さまの視点で困難な課題に挑み、解決できる人材」とその人材がいきいきと働ける「経営理念実現に向けて一体感を持ち、迅速に意思決定する組織」の存在が不可欠です。経営理念・戦略と連動した人材戦略の実践を通じ、こうした人材・組織作りを進め、中長期的な企業価値向上を実現します。
当行グループでは、「人的資本」が企業価値向上の源泉であるとの考えのもと、外的報酬にとどまらず内的報酬に着目した人的資本投資を強化しています。
これまでの人的資本投資の結果、人材流動性が高まるビジネス環境下においても従業員の定着率は高く、2024年度以降の業績回復に繋げています。
- 外的報酬:競争力のある報酬制度の維持(5年連続ベア実施)、株式報酬制度(従業員対象)
- 内的報酬:従業員エンゲージメント、ウェルビーイング向上(働きがいがあり、安心して働ける環境整備)
人材戦略の目指す姿と現状のギャップを解消していくため、中期経営計画では人的資本投資の4つの基本方針を策定しました。付加価値創造に繋がる人的資本投資として、「“付加価値を創造する人材”の拡充」を通じ全体を底上げしつつ、「投資銀行ビジネス等“注力分野への人員シフト”」を実践し、「組織としての一体感」で注力ビジネスを支え、「“付加価値を創造する”人材へのメリハリある報酬配分」で報いていくことを基本方針としています。2025年度はこの基本方針に沿って各種施策を実施し、着実な進捗がみられました(下図「主要KPI等」参照)。
引き続きこれら4つの基本方針に沿った人的資本投資を、経済環境の変化にかかわらず継続していきます。
人材戦略の目指す姿~付加価値創造に繋がる人的資本投資
- 従業員アンケート
- 連結ベース・ビジネス本部除く
人材育成
経営戦略の実現には「お客さまの視点に立ち、困難な課題に挑み解決できる人材」が欠かせないため、2025年度から人材育成プログラムを見直し、年次別・画一的なものではなく、一人ひとりの主体性とチャレンジを後押しする内容へ改めています。更に、タレントマネジメントシステムを新たに導入し、従業員のスキルや経験の可視化を進めていきます。活躍できる従業員を増やすために、より効果的な人材育成を進める方針です。
投資銀行ビジネス人材の育成
現下の最大の課題は、注力分野である投資銀行ビジネスを担う人材の育成です。2025年度から「投資銀行ゼミナール」を立ち上げ、投資銀行業務の経験が豊富な役職員を講師として、少人数かつ集中的な研修を行っています。2026年度からゼミナール長はCEOの大見が務め、約30年にわたるストラクチャード・ファイナンスの経験を次世代に体系的に伝承する取り組みを進めています。知識の習得だけではなく、実務の対応力を身に付けることが目的です。
同様の目的で、外部機関を活用した投資銀行ビジネス人材育成プログラムも複数展開しています。特にあすかコーポレイトアドバイザリー(株)で「武者修行※1」として1年間エンゲージメント投資実務の最前線で経験を積んだ若手人材は、即戦力としてビジネスの第一線で活躍しています。
人材育成プログラム
当行では研修プログラムの大半を内製化しています。
- 事業会社/グループ会社等へ1~2年間勤務する出向制度
- マネジメント力強化のため、組織開発力・人材育成力をより重視した内容に変更
- 従来の各部門独自の研修を体系化
付加価値を創造する人材の採用
人的資本の増強・定着による人材のサステナビリティと多様性確保が課題と認識し、採用戦略を強化しています。
当行は長年キャリア採用に力を入れており、多様な経験・価値観を持つ人材が即戦力として活躍しています。近年はファイナンス分野の専門人材を中心にポテンシャルの高い人材の獲得に注力しています。2025年度は「アルムナイ採用(退職者の再雇用)」や「リファラル採用(従業員紹介)」を強化し、ダイレクトスカウトも導入しました。この結果、キャリア採用比率は39%に達しています。
新卒採用でも、外国籍の学生や海外大学出身者等へ採用ルートを拡大し、多様なバックグラウンドを持つ人材を採用しています。
また、専門人材の定着に向け、リテンション面談や退職者アンケート等による情報収集・分析、評価・報酬のメリハリ強化等に取り組み、選ばれる組織を目指します。
採用比率や平均年収については、統合報告書資料編 「非財務情報インデックス」をご参照ください。
注力分野である投資銀行ビジネスの成長には人員シフトと専門人材の増強が欠かせません。この課題解決のために、以下の施策を実施しています。
投資銀行ビジネス人員割合目標値 2028年3月末 24%
<投資銀行ビジネスへの人員シフトに向けた施策>
- ストラクチャード・ファイナンス経験を持つベテラン人材の活用
- 高いポテンシャルを持つ若手に早期から現場経験を積む機会を提供
- タレントマネジメントシステム活用等による人材配置の最適化を推進
- ビジネスグループを3部門に再編し、社内の人材流動性向上
<強化施策>
- 人材のフロントシフト、ローテーション強化、ジョブ·ポスティング活性化
- 専門人材の採用強化
- 専門人材のリテンション・採用に向けた報酬メリハリ強化
当行グループが必要とする「お客さまの視点に立ち、困難な課題に挑み解決できる人材」から選ばれ続けるため、競争力のある処遇水準を確保するとともに、付加価値創造への貢献を適切に評価し、公正に報いることを基本方針として定めています。この方針のもと、中期経営計画では、「公正な評価・報酬配分」を掲げ、人的資本への投資を継続し、従業員エンゲージメントの向上と企業価値向上の好循環実現を目指しています。
従業員給与等の決定方針
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報酬構成 |
基本給、賞与、退職給付(退職金・確定給付型年金)、福利厚生 |
|---|---|
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報酬水準 |
競争力のある報酬水準の維持 |
公正な報酬配分
従業員エンゲージメントの向上
企業価値向上のためには、従業員一人ひとりの働きがいやエンゲージメントを高め、人的資本の質を向上させることが不可欠です。当行グループでは、エンゲージメント向上のための課題を把握し、具体的な施策へ反映することを目的として、毎年従業員アンケートを実施しています。これまでの取り組みの結果、アンケートから得られたエンゲージメントスコアは着実に上昇する一方、今後の成長に向けた2つの重要な示唆も得られました。
一点目は、既に高い水準にある「働きやすさ」を保ちながら「働きがい」を高め、従業員が一体感を持って働ける環境を築くことです。二点目は、従業員一人ひとりが変化を恐れず困難な課題に挑戦し、それを組織として称賛する文化を更に浸透させていくことです。
また、以下の3つの課題も明らかになりました。
- 経営理念の主体的な実践(日常業務レベル)
- 次世代を担う若手・中堅層の成長支援、意見の反映
- 世代や部門、職種を超えた一体感・連帯感の醸成
これらの課題に対しては、下記のような取り組みを進めています。こうした施策を通じて、従業員エンゲージメントを更に高め、「従業員一人ひとりが誇りを持ち、働きがいのある、困難に挑戦する人材が集まる会社」を目指します。
従業員エンゲージメント向上に向けた施策
- 従業員アンケート(年1回):
アンケート結果は役員間で議論、人事制度や中計・業務施策に反映 - エンゲージメント測定ツールWevox(月1回):
可視化・分析を行い、現場主導で組織開発・マネジメント力を向上
組織の一体感向上に向けた施策
- タウンホールミーティング(年1回)継続実施:
経営理念の浸透に向け、経営陣と従業員が直接対話 -
ブランディングプロジェクト開始:
「可能性をつくる」を軸に社内外向けコーポレートブランディング強化、まずは社内向けにブランディングを展開
従業員の働きがい・一体感向上のきっかけとする
従業員のウェルビーイング向上
当行グループの経営理念「新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する」を実現するためには、その担い手である従業員が安心して長く働ける環境を整えることが重要であると考えています。従業員のウェルビーイング※1はその土台であり、企業価値向上のために不可欠な要素です。ウェルビーイング向上の観点から、従業員の健康維持・増進に向けた健康経営※2とファイナンシャル・ウェルネス向上の推進に努めています。
健康経営への取り組み
健康経営の推進により、定期健康診断や人間ドック受診率は高水準を維持し、従業員のプレゼンティーイズム※3は平均値を下回る等、相対的に健康との結果が示されています。また、6年連続「健康経営優良法人※4」に認定されています。
従業員のファイナンシャル・ウェルネス向上
従業員一人ひとりの将来にわたる経済的な安定の実現を重要なテーマと捉え、そのための制度整備を推進しています。これからも制度の拡充を通じて従業員と家族の生活を支えるだけではなく、エンゲージメントを高めることで、当行グループの持続的な成長、ひいては全てのステークホルダーが豊かになることを目指します。
ファイナンシャル・ウェルネス向上制度・施策一覧
- 従業員一人ひとりの心身の健康に加え、社会的にも安定し満たされた状態にあること。
- 「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
- 出勤はしているものの健康上の問題によって業務パフォーマンスが出せない状態で、企業のコスト損失が大きい要因とされる。従業員アンケート調査結果。当行では「東大1項目版(SPQ)」を使用、平均値は同版におけるもの。
- 経済産業省による健康経営に係る顕彰制度。
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)
当行グループは、DEI(多様性・公正性・包摂性)の推進を持続的な成長と企業価値向上を実現するための重要な経営戦略と位置付けています。変化の激しい時代に多様な視点や価値観を経営の意思決定に取り込むことは、新たな価値創造に加え組織のリスク耐性と適応力を高め、組織を強くすることに繋がります。多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境を整備することで、従業員エンゲージメントを高め、当行グループの企業価値向上を支える原動力になると考えます。そのために、女性活躍推進や外国人を含む多様なバックグラウンドを持つキャリア採用の推進、障がいのある従業員が安心して働ける環境整備に注力しています。
人材育成・環境整備方針
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方針 |
取り組み内容 |
|---|---|
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能力のみならず多様性を |
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女性従業員の |
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全ての従業員が |
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女性従業員の活躍推進に向けた取り組み
当行グループの強みは、性別にかかわらず全ての従業員が長期的なキャリアを築ける環境が整備されている点にあります。その結果として女性従業員の平均勤続年数が男性を上回っており、多くの女性が様々な職場で活躍しています。
また、これまでの女性活躍推進の取り組みにより、経営層における多様性の確保は着実に進展しています。女性業務執行役員比率は25%に達し、経営の中核を担う女性が増加しています。更に、2023年度から本格化した次世代リーダー育成施策の結果、女性管理職比率は15%を超える水準となりました。意思決定層における多様性の確保は、組織のリスク耐性を高め、人的資本の機会損失を減らす、企業価値向上に不可欠な要素です。次なる挑戦は、このポジティブな変化を持続的な流れとして確立することです。次世代の女性管理職とその候補者を育成するタレントマネジメントの取り組みを加速させ、経営層を含む全ての意思決定層への継続的な女性登用を推進し、女性管理職比率の一層の向上を目指していきます。
男女間の賃金格差は67.9%です。この格差の最大の要因は、管理職層に占める女性の比率が低いことにあります。加えて、注力分野である投資銀行ビジネス等で活躍する女性がまだ少ないことや、勤続年数の長い女性従業員がバックオフィス業務等特定の職務領域や等級に留まる傾向があることも要因です。なお、2020年度に実施したキャリアコースの統合により、同一等級・同一職務においては性別による評価・賃金の差はありません。
これらの課題を解決するため、当行は女性従業員の能力を最大限活用するための公正な機会提供を継続し、戦略的な人材育成や人材配置、組織全体の意識改革を推進することで、女性管理職および上位等級への昇格者を中長期的に増やしていきます。こうした施策の結果として、男女間の賃金格差は着実に縮小していくものと考えています。
目標と進捗状況
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項目 |
現状 |
|---|---|
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女性 |
15.2% |
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女性調査役 |
44.1% |
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外国人 |
2.6% |
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キャリア採用者 |
60.5% |
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男性育児休業 |
102% |
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目標 |
|---|
|
20% |
|
40% |
|
3% |
|
40% |
|
100% |
女性活躍推進に向けた施策例
- 2020年度キャリアコース統合(一般職を廃止し総合職に一本化)
- 2021年度女性調査役(係長級)比率目標設定
- 2023年度女性リーダー育成プログラム(社内)開始
- 2024年度女性管理職異業種交流会(社外)開始
- 2025年度新たな女性異業種交流会(社外)開始
多様な人材が活躍できる環境作り
当行グループでは、お客さまだけではなく株主の皆さまや従業員を含む全てのステークホルダーから選ばれる組織となることを目指しています。そのために、多様性を尊重し全員に公正に機会を提供することで、全従業員が活躍できる環境を整備しています。男女を問わず育児と仕事の両立を支援する取り組みを継続しており、育児休業取得率は男性も100%に達しています。
当行グループは、DEIが組織文化として定着することを目指し、2022年には「あおぞらアライ」を立ち上げ、障がいやLGBTQ+等多様なバックグラウンドを持つ従業員に寄り添う活動を継続しています。2025年度には、慶弔休暇等の休暇制度の対象に同性パートナーを含める人事規則改訂を実施する等、誰もが働きやすい制度を整備し、多様性を認めあう職場風土の醸成を推進しています。
育児と仕事の両立を支援する施策例
- 2022年度「産後パパ育休」制度導入
⇒2024年度制度改定、年5日の育休取得義務化 - 夏休みキッズデー、ファミリーデー開催