気候変動への対応
あおぞらカーボンニュートラルイニシアティブ
カーボンニュートラルに向けた動きが世界中で加速する中、当行グループにおける気候変動への対応に向けた取り組みを、新たに「あおぞらカーボンニュートラルイニシアティブ」として結実させ、脱炭素社会の実現に向けて果たすべき役割を明確化しています。
本イニシアティブのもと、事業者としての脱炭素化に向けた取り組みを推進するとともに、エンゲージメントを通じてお客さまの気候変動対応や脱炭素化への移行(トランジション)を積極的に支援し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指していきます。
カーボンニュートラルに向けたロードマップ
パリ協定の合意事項を踏まえたカーボンニュートラルの実現に向けたロードマップおよび具体的な行動計画を策定しています。
「あおぞらサステナビリティ目標」において、①サステナブルファイナンス実行/組成額として2027年度までに1兆円(うち、環境ファイナンス7,000億円)、②自社のCO₂排出量(Scope1,Scope2)削減として2030年度までにネットゼロ、更に、③投融資ポートフォリオのCO₂排出量(Scope3:カテゴリ15)削減として2050年度までにネットゼロの目標を掲げています。
行動計画は随時アップデートし、また、その進捗につきましては、適切な開示によりステークホルダーとのコミュニケーションを促進していきます。
カーボンニュートラルに向けたロードマップ
サステナブルファイナンスによる環境課題への取り組み
企業のカーボンニュートラルに向けた取り組み、グリーンエネルギーの普及、脱炭素化に向けた技術革新などへのファイナンスを通じ、金融仲介機能を適切に発揮していくことは、金融機関が果たすべき重要な役割であると認識しています。
当行グループは、「あおぞらサステナビリティ目標」として、2027年度までに(7年間)サステナブルファイナンス実行/組成額1兆円(うち、環境ファイナンス7,000億円)の目標を掲げています。
従来から積極的に取り組んでいる再生可能エネルギーを中心とした環境関連プロジェクト・ファイナンス、グリーンビルディング向けファイナンスに加え、グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローンをはじめとするコーポレートファイナンスへの取り組みにも注力し、目標達成に向けた取り組みを進めています。
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再生可能エネルギーを中心とした環境プロジェクトファイナンス
- 国内と海外の知見・ノウハウを集約し、国内外におけるグリーンエネルギーファイナンスの更なる拡大、既存発電設備のトランジション、脱炭素化に向けたイノベーション領域の開拓を推進
グリーンビルディング向けファイナンス
- 国内外におけるグリーン認証のある不動産を対象としたデット・エクイティ両面でのファイナンスへの取り組みを積極的に推進
コーポレートファイナンス
- 当行アレンジによるグリーンローン、ソーシャルローン、サステナビリティ・リンク・ローンの組成
- 「あおぞらESG支援フレームワーク」に基づき、脱炭素コンサルティングを含めたトータルソリューションを提供
国内外における環境関連プロジェクト・ファイナンス
太陽光・風力を中心とした国内の再生可能エネルギープロジェクトへのファイナンスなどのグリーンエネルギー・ファイナンスに積極的に取り組み、シンジケート・ローンなどによる地域金融機関との協働を通じ、グリーンエネルギーの普及と域内経済の発展に貢献しています。
プロジェクト・ファイナンスの組成においては、国内・海外におけるストラクチャード・ファイナンスの豊富な実績を通じて培った専門性や知見・ネットワークを強みとし、小型太陽光発電プロジェクトを束ねたポートフォリオ案件、セカンダリー案件のトランザクションなど、新しいニーズにも機動的に対応しています。
このような国内・海外における知見・ノウハウを集約し、国内外における環境ビジネスを一層推進するため、多様なプロフェッショナルで構成される環境ファイナンス部を設置しています。
国内における洋上風力、地熱などへの事業領域の拡大を図るとともに、欧米などの環境ファイナンス先進国におけるインフラプロジェクトへの参加、知見の蓄積を通じて、国内外におけるトランジション・ファイナンスの拡大や、技術革新を支援する脱炭素イノベーションファイナンスなどの新たな領域にも挑戦しています。
グリーンビルディング向けファイナンス
国内では、主に建築物の環境性能や環境負荷削減などを総合的に評価する認証制度であるCASBEE※1認証のAランクを取得している建物向けのファイナンスに取り組んでいます。また、建物内外で働く人々の労働環境改善に向けたサービスを提供する先進的な物流施設などへのファイナンスにも取り組んでいます。
海外においても、米国発祥の総合的な環境性能評価認証制度であるLEED※2認証でプラチナやゴールドを取得している優良な物件などへのファイナンスに取り組んでいます。
引き続き国内外を問わずデット・エクイティ両面で不動産の観点から社会経済の持続的な成長・発展に貢献する取り組みを進めていきます。
コーポレートファイナンス
「あおぞらサステナビリティ目標」の設定・公表時より取り組みを本格化させたコーポレート向けサステナブルファイナンス(第三者認証取得型のコーポレートファイナンス)については、国内において、グリーンローン、ソーシャルローン、サステナビリティ・リンク・ローンのアレンジを行うなど、取り組みの裾野が着実に広がっています。
また、海外においても、特に北米でのサステナビリティ・リンク・ローンへの取り組みが増加しています。
2023年6月には、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、当行のポジティブインパクトファイナンス実施体制について、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が制定したポジティブインパクト金融原則(PIF原則)に適合的であることを評価したセカンドオピニオンを取得し、新たなメニューとして「あおぞらポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り扱いを開始しました。
あおぞらESG支援フレームワーク
お客さまの環境・社会・ガバナンスに関する取り組みをより一層支援するため、「あおぞらESG支援フレームワーク」を策定しています。
「あおぞらESG支援フレームワーク」の構成は、サステナブルファイナンスとしての整合性評価を付した「あおぞらESGフレームワークローン」と、お客さまの環境・社会・ガバナンスに関する課題解決のために各種外部専門家と協業したコンサルティングサービス等により構成されています。
本フレームワークのもと、当行グループは、主に中堅・中小企業のお客さまの課題解決支援を通じて、わが国のサステナブルな発展の裾野を拡大するために積極的に貢献しています。
あおぞらESG支援フレームワーク
あおぞらESGフレームワークローン
「あおぞらESGフレームワークローン」においては、グリーンローン、ソーシャルローン、サステナビリティ・リンク・ローンについて、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、国際的な原則※1や国内のガイドライン※2に整合的であることを評価したセカンドオピニオンを取得しています。
本フレームワークローン実施のために、営業部店から独立したサステナビリティ推進部サステナブルビジネス室に専門性ある人材を配置し、案件の適切性について評価しています。当行が主要プレイヤーの一角としてのポジションを確立しているLBOファイナンスの分野においても、国内の組成事例が少ないなかで、フレームワークローンとして案件を組成し、サステナビリティ・リンク・ローン評価を行いました。
本年6月には、R&Iより、当行のポジティブインパクトファイナンス実施体制について、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が制定したポジティブ・インパクト金融原則(PIF原則)に適合的であることを評価したセカンドオピニオンを取得し、新たなメニューとして「あおぞらポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取り扱いを開始しました。
また、サステナブルファイナンスに精通した人材の育成は金融業界にとっての重要課題であるため、積極的に研修や勉強会を開催し、人材育成にも注力しています。
お客さまの脱炭素化に向けた取り組み支援
外部専門家との協業によるコンサルティングサービスについては、気候変動課題への対応策としてお客さまの脱炭素化に向けた取り組みの支援に注力しています。
2022年、アスエネ株式会社と業務提携を行い、同社が提供するCO₂排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「アスゼロ」の紹介などを通じて、お客さまに対する脱炭素コンサルティングサービスの展開を開始しました。
2023年4月には、各種環境クレジットの創出・購入支援サービスを行う株式会社バイウィルと業務提携を行いました。これにより、潜在的に環境価値のある資産や事業を有するお客さまへのJ-クレジット創出のご支援と、CO₂排出量削減ニーズのあるお客さまへの環境クレジットによるカーボンオフセットを含む脱炭素化のご支援を一気通貫で提供する体制が整いました。
グリーンボンドの発行
環境課題へ取り組む国内外の企業に対するファイナンスを通じた財務面でのサポートや、投資家のニーズへの対応は、金融機関としての社会的責任の一環であると考えており、太陽光・風力発電をはじめとする再生可能エネルギー、グリーンビルディングなど、環境改善に資する事業への投融資に資金使途を限定したグリーンボンドを2021年3月、2023年3月、2023年9月に発行しました。
当行が発行したグリーンボンドは、国際資本市場協会(ICMA)の「グリーンボンド原則2018」※1、及び環境省の「グリーンボンドガイドライン2020年版」※2に沿って策定した「グリーンボンド・フレームワーク」に基づき管理されており、同フレームワークは、第三者認証機関であるSustainalytics社によるセカンドパーティ・オピニオンを取得しています。
グリーンボンド・フレームワークについて
資金使途
グリーンボンドの発行により調達した資金は、一定の基準を満たす再生可能エネルギープロジェクト及びグリーンビルディングに対する投融資(適格グリーンプロジェクト)に充当します。
適格グリーンプロジェクト |
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再生可能エネルギー |
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発電施設の事業検討段階において環境影響評価法や同条例等を遵守する再生可能エネルギープロジェクト(太陽光発電施設、風力発電施設、バイオマス発電施設※1)の建設、取得、改修、運営に係る投融資 |
グリーン |
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グリーンビルディング認証の上位2ランク※2を取得する環境不動産の建設、取得、改修費用に係る投融資 |
プロジェクトの評価及び選定プロセス
適格グリーンプロジェクトは、定められた基準への充足状況について各種資料等を用いて適合性を評価し、選定されます。この評価、選定に対しては、妥当性評価プロセスを設けており、選定プロセスにおける所定の基準への適合性が確保される体制としています。さらに、適格グリーンプロジェクト選定後には、年に1度、これらの選定プロセスが基準に適合していることを確認することとしています。
資金管理
グリーンボンドにより調達した資金の適格グリーンプロジェクトへの充当状況及び未充当資金の額等についてのモニタリングを定期的に実施します。また、未充当資金が生じた場合は、現金又は現金同等物で管理します。
レポーティング
グリーンボンドが償還されるまでの間、充当対象となった再生可能エネルギープロジェクトの件数やグリーンビルディングの取得認証の種類・ランク別の物件数及び各々の充当額等を記載した資金充当状況、並びに二酸化炭素排出削減量等の環境改善効果について記載したレポーティング資料を、年に1回、当行ホームページに掲載します。
グリーンボンド・フレームワークの詳細は下記をご覧ください。
(レポーティング)
グリーンボンドにより調達した資金の充当状況及び環境改善効果については、下記をご覧下さい。
事業者としての環境課題への取り組み
CO₂排出量の削減、使用電力の削減
当行本店が入居している上智学院ソフィアタワーでは、2020年6月より再生可能エネルギー由来の電力を100%使用しています。また、断熱性の高いガラス・自然換気システム・屋上緑化などの導入、オフィス部分での自動調光制御システムおよびLED照明の採用などにより、従来型機器使用に比して消費電力を抑制した、環境に配慮した建物となっています。
各支店においても順次使用電力のグリーン化を進めており、名古屋支店に続き、日本橋支店についても2023年4月よりグリーン化しました。
データセンターを兼ねる府中別館においても、引き続きCO₂排出量の削減に努めています。2022年度は同館で使用する冷温水について、J-クレジット※によるカーボンオフセットを実施しました。また、2024年度をめどに、使用電力について、創エネルギー事業によるグリーン化も視野に入れた検討を開始しています。
また、本社および各拠点で使用している社用車のエコカーへの置き換えを進めており、2023年5月現在エコカー比率は93%となっています。
今後も、あおぞらサステナビリティ目標に掲げる「2030年度までにScope1,Scope2ネットゼロ達成」に向けて、省エネルギー設備/機器への更新および自社調達やサプライヤーへの対応を進め、事業者としての環境負荷低減の取り組みを推進していきます。
環境に配慮した購買
オフィスにおける紙の使用量削減に取り組むとともに、使用する紙のグリーン化も進めています。
お取引先である大王製紙株式会社とのコラボレーションにより、全行で使用するOA用紙や名刺をFSC認証(Forest Stewardship Council)※用紙に切り替え、森林保護および持続可能な社会に向けて事業者として貢献しています。
昨年度は、当行内で多く使用される定型封筒について、同じくFSC認証用紙への切り替えを実施しました。
廃棄物の再資源化/脱プラスチック化
本店の廃棄物は、可燃ごみを除き、全て100%リサイクルするなど、廃棄物の再資源化を積極的に進めています。
2022年度は、新たに各支店へ機密文書の専用回収ボックスを設置し、破砕処理によるリサイクルを実施することで、紙の廃棄量の更なる削減を実現しました。
更に、当行本店および府中別館の社員食堂では、「環境配慮型プラスチックカップ」「生分解性ストロー」などの環境に配慮したカフェ資材導入、「レインフォレスト・アライアンス認証※コーヒー豆」の導入などを行い、環境負荷低減への取り組みを積極的に進めています。