人材戦略

1. あおぞら銀行グループの人材戦略

当行グループは従業員数約2,400名のコンパクトな規模で、高い専門性と優れた機動力・柔軟性を武器として質の高い金融サービスを提供してきました。価値創造の源泉となるこうした「人財」こそが当行グループの「人的資本」であると考えています。サステナビリティ重点項目(マテリアリティ)に「人的資本の持続可能性向上」を掲げるとともに、以下の人材戦略の基本方針を定めています。
新中期経営計画「AOZORA2025」では、「あおぞら型投資銀行ビジネス」に注力しお客さまや地域社会が抱える課題を解決していくとともに、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を通じて当行グループ自身のビジネスや企業文化を変革していくことを目指しています。注力分野への人的リソースシフトを進めるとともに、多様で優秀な人材の採用・育成ならびに従業員への還元など人的資本への投資を継続していき、従業員の能力を最大限に引き出すことで、グループ全体の持続的な成長につなげていきます。

人的資本投資の目指す姿

人的資本のサステナビリティ確保に向けてに関する画像 人的資本のサステナビリティ確保に向けてに関する画像

当行グループでは、2020年度から「チームワークでチャレンジ」をキーワードに人事制度改革に取り組み、キャリアコースや世代間の壁をなくし年齢・性別などに関わらず優秀な人材の登用を可能にしたほか、2021年度には少子高齢化の進展を見据え、55歳以上を対象とした制度を見直し、自ら活躍しつつ経験や知見を次世代に継承することを重要な役割と位置づけ、処遇形態や働き方を選択できる制度へ変更しました。併せて、挑戦する人・成果をあげて活躍する人により報いるため処遇の見直しを行い、人的資本の持続可能性の向上に努めています。
当行では働き方改革を端緒に、従業員が働く環境の整備や後述のウェルビーイング向上に取り組んできたことを受け、従業員の定着率は高く、多様な知見や専門性を持つキャリア採用者の積極的な受入れや定着とも相俟って人的資本のサステナビリティは維持されており、過去の難局を乗り越え成長する原動力になってきました。実際に成長分野への人員シフトや世代交代を見据えた計画的な採用を通じ、過去10年間の従業員数はほぼ一貫して増加し、当行グループの成長を支えてきました。
こうした注力分野を中心とした人員増強に加え、従業員のモチベーション維持に向け2022年度以降2年連続でベアを実施するなど人的資本への投資に努めてきました。
新中期計営計画では、3年間で外部専門人材を含む注力分野の増員や従業員に対する成果の還元、研修など人材育成投資を中心に総額20億円の人的資本への投資を計画しています。これからも中長期的な視点で地道に人的資本への投資を行うとともに、優秀な人材に「選ばれる」働きやすく働きがいのある職場を提供し、人的資本の持続可能性の確保につなげていきます。

持続可能性向上に向けた人的資本への投資に関する画像 持続可能性向上に向けた人的資本への投資に関する画像

当行グループでは、ビジネス環境の変化に対応でき、チームワークでチャレンジできる人材やあおぞら型投資銀行ビジネスおよびDXなど注力分野に必要なスキルセットを持つ人材の確保に努めており、ポテンシャルの高い新卒採用と専門性の高いキャリア採用を両輪とする採用戦略をとっています。
新卒採用については、優秀な人材を惹きつけるために業界最高水準の初任給を設定し、毎年約50人を継続して採用しているほか、各部門のニーズに応じ即戦力となるキャリア採用にも長年注力しています。
2020年度の人事制度改革では、いわゆる一般職を廃止し業務やキャリアコースの垣根をなくすとともにIT競争力を強化する目的で、キャリアコースを全国総合職、地域総合職、IT職の3職種に集約しました。人事評価制度の見直しや最適な人材配置と併せて、全ての採用者を将来の基幹職候補あるいは高度なプロフェッショナル候補として育成・登用を行っています。
採用後の育成基本方針として、若手層は入行3年目までを「義務教育期間」と位置づけ、階層別研修や後述の専門育成プログラムと職場でのOJTを組み合わせ独り立ちを支援しているほか、新卒8年目までに原則3つの部署で多様な業務経験を積ませ、将来の経営幹部候補としての幅広い視野と多様なキャリアの可能性を拡げる機会を提供しています。30代~40代の中堅層・管理職層は、マネジメント力の強化に加え中長期スパンで専門性を磨くための人材配置を行い、新たな付加価値を提供する価値創造の推進者へと育成することを目指しています。
人材登用においては、多様性に配慮しつつ能力や実績を重視する人物本位を徹底しています。新卒採用やキャリア採用に関係なく、多様なバックグラウンドを持つ人材が真に活躍できることが当行の特長であり、価値創造を支える優秀な人材を社外から惹きつける採用戦略上の強みでもあります。
なお、人材戦略を実現する採用や人材配置に向け、2022年度から当行全体のスキルポートフォリオの分析を始めました。強化したい分野の人材の充足度を把握することにより内部人材の育成による補充あるいは外部採用の適否を検討し、ビジネス戦略に沿った人材育成施策の検討、採用、人員シフトに役立てています。

価値創造を支える人材の採用・育成に関する画像 価値創造を支える人材の採用・育成に関する画像

当行の人材育成の特長は、従業員の多様なキャリアプランと主体性を尊重し、様々な育成プログラムを提供することで、従業員一人ひとりのチャレンジを後押しする点にあります。誰でも自由に学べる学びの場として、10年以上継続している「あおぞらユニバーシティ」や、2021年度に創設した各部門の専門分野が動画などで学べる「研修プラットフォーム」、会社負担の自己啓発支援メニューなどはその一例です。従業員が自らの課題やありたい姿と向き合い、主体的に成長を目指すことを狙いとしています。
研修プログラムは、人事部主催の新人からシニア層までの役割・経験に応じた階層別研修と、法人営業部門や個人営業部門等に配置する専門育成チームなどによる高度な業務研修を織り交ぜて、講義の大半を内製化している点が特長です。コーチング等の専門資格を有する人材や専門性の高い業務に精通した人材を育成チームに配置しているほか、エンゲージメント投資やDX人材育成については、高度な専門知識や豊富なビジネス経験を持つ外部講師やセミナーも併せて活用し、実践的で質の高い研修の提供に絶えず取り組んでいます。

“あおぞら”らしい人材の育成に関する画像 “あおぞら”らしい人材の育成に関する画像

従業員一人ひとりの働きがい向上を目指して

“求められる職場・職員” を意識し、全ての行員が意欲的に仕事に取り組むためのプログラムの提供
一人ひとりが“キャリア自律”を意識し、キャリア形成を具現化するための、人事と現場が一体となったサポートの実施

あおぞら銀行グループのキャリア構築支援プログラムに関する画像 あおぞら銀行グループのキャリア構築支援プログラムに関する画像

専門性の高いチームによる人材の育成

専門性の高いチームによる人材の育成に関する画像 専門性の高いチームによる人材の育成に関する画像

当行グループのビジネス戦略の実現を通じた持続的成長には、新中期経営計画で注力するあおぞら型投資銀行ビジネス分野での人材育成が特に重要となります。2022年下期には、ビジネススクールと共同でエンゲージメント投資人材集中育成プログラムを開講しました。総勢60名弱が、ビジネスの一線で活躍している外部講師陣による全15回に及ぶ講義やグループワークに取り組み、エンゲージメント投資ビジネスに必要な知識の習得を目指しています。本プログラムや各ビジネス部門での実践を通じて、あおぞら型投資銀行ビジネスの中核人材を育成していきます。

当行では2021年度より、全行員を対象とする「デジタル人材育成プログラム」をスタートしました。
全行員が主体的にDXに取り組むために、全行員向けの研修メニューの拡充、より高いレベルのコースの提供などを行い、すでに多くの行員が取り組んでいます。
2023年度は、体系的なDX人材育成が3年目を迎え、育成方針を基本的な知識、スキルの習得からビジネス現場での実践に軸足を移行します。

DX人材の育成に関する画像 DX人材の育成に関する画像

従業員一人ひとりの能力を伸ばしつつ最大限活かしていくためには、各種研修プログラムなどによる能力開発に加え、将来を見据えた最適な人材配置と個々のキャリアプランに沿った各職場での人材育成が求められます。
当行は従業員一人ひとりの顔と名前がわかるコンパクトな規模を活かし、全従業員が毎年作成するキャリアプランシートを通じて、人事部と現場の部門長が丁寧に本人の希望や能力・適性を確認することで、キャリア支援と経営戦略に沿った機動的な人材配置を実現しています。
多様なキャリアプランを支援する施策として、海外派遣トレーニーや国内他部署での短期トレーニーなどの研修プログラム、ジョブポスティング(社内公募制度)、ジョブサポート(社内副業制度)、地域総合職向けキャリア研修など手挙げ制の様々な制度を用意し、研修と実務経験を組み合わせることで個々のキャリアプランの実現を支援しています。ジョブサポートでは、地方支店に勤務しながら本店業務に従事する事例や繁忙部署のサポートに積極的に応じることで自身のマルチスキル化につなげる事例が見られるなど、当行の強みである働きやすい環境とインフラを活かし、キャリア開発を実践する新たな可能性も生まれています。従業員のキャリアに対する考え方の多様化を受けて、2023年度から人事部内にキャリアコンサルタントを配置し、従業員のキャリア相談に常時対応できる体制を整備しました。こうした取り組みを通じて従業員のキャリア形成支援と最適な人材配置の実現に努めています。
これからも従業員の能力開発・キャリア構築に向けた環境整備を続け、能力を高めた従業員にも選ばれる職場でありたいと考えています。

人的資本の持続可能性を確保し企業価値の向上につなげるためには、従業員の意見や考えを把握したうえで安心して働ける環境を整え、従業員一人ひとりの多様な価値観やライフスタイル、キャリアプランを尊重し、個人の働きがいを高めることが重要と考えています。
当行では、柔軟な働き方ができる各種制度の整備を通じ多くの従業員がフレックスタイム制度や在宅勤務・モバイル勤務制度を活用しており、在宅勤務と出社を組み合わせたハイブリッド型勤務がアフターコロナの新しい働き方として定着しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大前から制度とインフラの両面で多様な働き方に対応可能な環境を整備してきたことが功を奏し、年1回実施している従業員アンケートでも、2022年度は前回と同様に回答者の80%が当行グループは働きやすい職場であると回答しています。
他方、働きがいを感じると回答した割合は60%未満で推移しているほかチャレンジへの称賛は37%に留まっており、従業員の働きがいの向上やチャレンジが称賛される組織づくりが重要な課題であることが明らかになりました。
そこで従業員の働きがいなど従業員エンゲージメントを職場単位で可視化するシステムツールとして、2023年2月より株式会社アトラエのWevoxを全行に導入しました。月1回、簡易なアンケートに従業員が回答し、管理職が自チームの状態をリアルタイムで定量的に把握することで、従業員の声をマネジメントに活かす現場主導のPDCAを自走できる仕組みを整備しました。
これからも企業価値の持続的向上という長期目標に向け、人的資本への投資などの外発的動機を高める施策に加え、様々なエンゲージメント向上施策など内発的動機を高めることで従業員の働きがいを高めていくとともに、守るべきものと変えるべきものを見極めながら、全ての従業員が活躍できる組織へと企業文化を変革していきます。

2022年度従業員アンケート結果に関する画像 2022年度従業員アンケート結果に関する画像
従業員エンゲージメントサーベイ結果(2023年3月)に関する画像 従業員エンゲージメントサーベイ結果(2023年3月)に関する画像

従業員が「人財」として組織の中で十分に能力を発揮するためには、従業員一人ひとりのウェルビーイング、すなわち心身の健康に留まらず社会的にも安定し満たされた状態にあることがきわめて重要だと考えています。当行グループでは長年従業員が安心して働ける環境を整備し、従業員のウェルビーイング向上に取り組んでいます。

健康経営への取り組み

当行グループでは従業員が安心し長く働ける環境を整備するため、単一健保を設置しデータヘルス推進計画を策定しており、健保組合と一体で従業員の心と身体の健康維持・増進に努めています。従業員とその家族の人間ドック・がん健診受診補助制度などを整備のうえ、職場での定期健康診断やストレスチェックの診断結果に応じ産業医・専門医療スタッフがきめ細かなアフターフォローを実施し、メンタルヘルスや生活習慣病の予防などに取り組んでいます。従業員のヘルスリテラシー向上のため、2023年度からは新人研修で産業医が講師を務め、心身の健康管理の重要性を学ぶ健康管理研修を新たに始めました。こうした取り組みが功を奏し毎年「健康経営優良法人」に選定されています。
新型コロナウイルス感染症の拡大期には、従業員とその家族の健康を守るため新型コロナワクチンの職域接種体制をいち早く整え、在宅勤務環境などの環境整備も相俟って、金融インフラとして必要なサービスを提供し続けることができました。
従業員の労働時間管理については、各職場へのきめ細かな指導など適正な勤怠管理に努めた結果、法定時間外労働時間が月45時間を超過した対象者数は前年度比約3割減少しました。

本店健康管理室の診療風景 <内科・歯科>

常駐の専門医療スタッフが診療や健康、医療、メンタルヘルスなどの相談に対応しています。

診療や健康、医療、メンタルヘルスなどの相談に関する画像 診療や健康、医療、メンタルヘルスなどの相談に関する画像

健保組合員における生活習慣病リスク保有者の割合

健保組合員における生活習慣病リスク保有者の割合に関する画像 健保組合員における生活習慣病リスク保有者の割合に関する画像

従業員の健康課題への取り組み

当行グループでは男性と女性が様々な世代で直面する健康経営課題への取り組みを強化しています。2022年度は更年期症状など女性特有の健康課題をテーマに、外部の専門講師によるセミナー『皆に知ってほしい女性の健康課題~職場の同僚や部下に、こんな悩みを抱えている人はいませんか?~』を開催しました。健康課題を抱える様々な年代の当事者はもちろんのこと、健康課題を抱える同僚や部下と接する際のコミュニケーション方法など、医学的観点から課題を抱えている当事者に対してすぐに実践できるアプローチ方法などを取り上げたところ、多くの従業員が参加し好評を博しました。男性・女性それぞれ年代によって心と身体は変化し時には不調をきたすことがあること、その結果仕事のパフォーマンスにも影響することをお互いに理解しあうことで従業員が活躍しやすい職場環境づくりにつながるよう心がけています。

従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けて

従業員の健康に加え、経済的にも安定し将来の生活不安がない状態で働けることも大切と考え、従業員のファイナンシャルウェルネスの実現に向けた制度を整備しています。
まず、人的資本への投資の観点から2年連続でベアを実施し従業員の貢献に報いるとともに、「選ばれる」職場を目指し魅力的な報酬体系を用意し、従業員自身の生活の安定を支えています。また退職後の生活への備えとして、企業年金制度の整備はもちろんのこと、福利厚生の一環で、若年層には奨学金返済支援手当や家賃補助など手厚い経済的支援を実施しており、シニア層には新たにグループ外でのセカンドキャリアに向けたチャレンジを経済的に支援する制度を導入しました。従業員の能力開発や経験領域拡大を目的として副業も解禁しており、収入源の多様化・拡充によるファイナンシャルウェルネスの向上にもつながっています。当行ではこうした各種制度の拡充を通じて、従業員自身および家族の経済的安定性に配慮しています。

ファイナンシャルウェルネス向上制度・施策一覧に関する画像 ファイナンシャルウェルネス向上制度・施策一覧に関する画像

経営戦略を遂行し持続的な成長につなげていくためには、人的資本への投資に加え、経営にも多様な視点を持ち込み既成概念にとらわれない多様な視点でビジネスを推進していくことが必要です。当行グループにおいても価値観の多様化の進展を背景に、全従業員へのアンコンシャスバイアス研修などを通じてこれまで以上に多様性を認め合いグループとしての一体感を醸成しています。従業員一人ひとりの価値観、ライフスタイルやキャリアプランを尊重し柔軟な働き方を支援することで、多種多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整備し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(多様性・公平性・包摂性)の向上を目指しています。

中核人材の登用等における多様性の確保について

当行では2021年度より人材育成・環境方針を整備するとともに女性・外国人・キャリア採用者の管理職比率に目標を設定し、中核人材の登用などにおける多様性確保に向けた取り組み強化を進めています。すでにキャリア採用者の管理職比率は約5割となっており、経営の意思決定層における多様性の確保につなげています。

1. 人材育成・環境整備方針

方針

取組内容

能力のみならず
多様性を
重視した
採用と人材登用

  • 新卒、キャリア採用を両輪とする採用活動の継続
  • 女性向け採用セミナー開催などを通じた女性基幹職の採用強化
  • 意思決定層における多様性に配慮した人材登用の推進

女性従業員の
キャリア形成支援

  • キャリア構築支援プログラムや人事異動などを通じた未経験業務へのチャレンジ促進
  • 女性向けキャリア研修やキャリアコンサルタント活用などによる多様なキャリア形成支援

全ての従業員が
活躍できる
環境の整備

  • 従業員の貢献に報いる報酬やキャリアアップ機会の提供など人的資本への投資に注力
  • 「働きやすい」職場環境の維持と「働きがい」の向上に向けた取り組みの継続
  • 男性育児休業取得率の向上
  • 障がいのある従業員が安心して働ける環境づくり

2. 目標と進捗状況

項目

現状(2023年3月末)

女性管理職比率

13.3%

女性調査役(係長級)比率

37.3%

外国人管理職比率

2.8%

キャリア採用者管理職比率

49.6%

【新設】男性育児休業取得率

91%

目標(2028年3月末)

20%以上

40%以上

3%以上維持

40%以上維持

100%以上

  1. 管理職は部長相当クラス、課長相当クラスの合計
  2. 調査役は管理職の一つ手前の職階
  3. 外国人管理職比率はGMOあおぞらネット銀行を除く国内・海外グループ会社を含めた数値にて算出
  4. 男性の育児休業取得率=2022年度中に育児休業を取得した男性従業員の数(a)÷2022年度中に子が生まれた男性従業員の数(b)。なお、上記(a)には2021年度以前に子が生まれたものの2022年度に新たに育児休業を取得した従業員が含まれるため、取得率が100%を超えることがあります。

女性従業員の活躍推進に向けた取り組み

当行では女性活躍推進に向け、女性管理職比率に加え、独自に女性管理職候補となる調査役(係長級)比率に目標を定め中核人材プールの拡充に努めています。役員を含めあらゆる意思決定層に継続的に女性人材を輩出し、現状約13%の女性管理職比率を5年後に20%以上、長期的には25%以上に引き上げていくことを目指していきます。
すでに2020年度に人事制度改革を行い、一般職を廃止しキャリアコースによる役割や業務範囲の制限を完全に撤廃したことで誰もがキャリアアップを目指せる人事制度となった結果、旧一般職の女性従業員の中から管理職に昇格する例も複数出ています。
女性従業員の採用においては、ポテンシャルの高い人材や社外で活躍する専門性の高い人材の発掘に努めています。育成面では新たに旧一般職から総合職へ転換した従業員を対象に、経験領域の拡充をマインドやスキルの観点から後押しするキャリア研修や行内短期トレーニーを実施し、女性従業員のチャレンジを支援しています。また、女性の幹部候補育成の一環で、選抜者を外部のキャリア構築支援研修に派遣するプログラムを開始するなどエクイティ(公平性)面での配慮にも取り組んでいます。

女性従業員の活躍推進に向けた取り組みについてに関する画像 女性従業員の活躍推進に向けた取り組みについてに関する画像

人材活用面では、上司・同僚のサポートを受けながら営業補助からフロントの営業へと職種を変更する事例や他部署のジョブサポートに積極的に応じ自身のマルチタスク化を進める事例が出てきています。こうした一人ひとりのチャレンジをきめ細やかに評価し、活躍フィールドを拡げる人材配置を積み重ねています。
加えて、女性従業員の育児・介護などによる退職リスクを避けるために長年様々な施策に取り組んできた結果、女性の勤続年数は16年超と2014年以降男性を上回る水準で推移しています。最長2年の育児休業や、子供が小学3年生に達するまで利用できる短時間勤務制度、配偶者の転勤や不妊治療などで最大3年間休職できる制度を整備しています。
なお、男女別の賃金格差については66.6%と改善の余地がある状況です。2020年度のキャリアコース統合の結果、同じキャリアコース、等級・号俸内では男女の評価に差はなく同一賃金を実現していますが、女性の管理職がまだ少ないことや投資銀行ビジネスやインターナショナルビジネスなど注力分野で活躍する女性従業員が相対的に少ないこと、勤続年数の長い女性従業員の中にはバックオフィス業務などサポート部門に在籍するケースが多いことなどが男女の賃金格差が生じる一因となっていると思われます。キャリアコース統合の効果が出るには時間を要しますが、旧職種に関わらず管理職となる女性の増加に伴い男女間の年間給与格差は縮小していく見込みです。
今後も女性従業員が活躍できる機会と環境を地道に整備していくことで全ての従業員が働きやすさと働きがいを感じる企業となり、労働人口の減少が見込まれる中においても優秀な人材の確保と定着につなげていきたいと考えています。

男性育休取得促進に向けて〜産後パパ育休制度の導入

当行では女性の育児休業取得率は100%で推移しています。男性の取得率は、2021年度の58%から91%へと大幅に上昇しました。これは、2022年10月の改正育児・介護休業法施行に伴い、法令をベースに独自の育児休業制度を定め、制度の周知や取得事例の公表など従業員への働きかけを通じて男性の育休利用促進を図ったことによるものです。当行独自の「産後パパ育休」制度は、休暇取得のハードルを下げるため4週間まで有給で取得できるほか、分割取得や出生時育休中の一部就業も可能としたことが特長です。この結果、利用日数も増え、初めて1年間育児休業を取得する男性従業員の事例も出てきました。男性の育児休業の利用促進に向け、新中期経営計画では男性育休取得率100%をKPI/目標として掲げています。

男性育休取得促進に向けて〜産後パパ育休制度の導入についてに関する画像 男性育休取得促進に向けて〜産後パパ育休制度の導入についてに関する画像

あおぞらアライの設立

当行グループでは、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの定着に向け、2022年9月に障がい者、LGBTQ当事者など多様なバックグラウンドを持つ従業員に寄り添う「あおぞらアライ」を立ち上げました。あおぞらアライへの賛同者も増え、様々な意見・提案も寄せられており地道な改善活動を続けています。これからもサポートメンバーを中心とした活動を通じ、全ての従業員が活き活きと気持ちよく働ける環境を整備していきたいと考えています。

当行では様々な障がいのある従業員がそれぞれの適性を活かし、預金・融資・為替、文書管理、情報システムなどの部門で活躍しています。経営理念として定めた「あおぞらアクション(行動指針)」の一つである「仲間の多様な生き方、考え方、働き方を尊重し、仲間の成長を支援する」ことを実践し、障がいのある従業員の声を大事にしていることが評価され、2021年度に東京都の顕彰制度である「障害者雇用エクセレントカンパニー賞 東京都知事賞」を受賞しました。

相談しやすい環境づくり

個々に異なる障がいに配慮するため、産業医、看護師、保健師をはじめ、精神保健福祉士、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)が都度連携をしながら対応をしています。視覚障がいのある従業員が入行する際は、入行前に本人と綿密に相談し、音声読み上げや画面拡大ソフト、拡大読書器を導入しました。身体障がいだけでなく、精神障がいのある従業員に対しても、個々の希望に応じて定期的な面談を実施するなど柔軟に対応し、いつでも相談しやすい環境を整備しています。

障がいのある従業員の声に耳を傾ける取り組み

社長をはじめとする業務執行役員と障がいのある従業員が直接対話を行う「スモールミーティング」を実施し、働きやすい環境づくりに向けた意見交換や交流をはかっています。「障がいをあまりオープンにしたくない」という意見も大事な声として受けとめ、個別に配慮をしています。また、障がいのある従業員が取り組んでいるプロジェクトや普段抱えている想いについて全行に発信、新たな気づきや困りごとを共有しています。新卒採用においても、こうした取り組みに好感を持ち当行を志望する障がいのある学生が増えています。

障がいのある従業員のアイディアによる取り組み

当行グループ従業員参加のタウンホールミーティングでは、障がいのある従業員の発案により災害時に使える手話を皆で学びました。各部門でも障がいのある従業員を講師に手話講座を開催、当行オリジナルの「聴覚障がいの疑似体験(聴こえない状況を体験する)プログラム」も展開しています。
また業務全体の流れや作業手順を標準化・可視化するフローチャート作成にも障がいのある従業員が積極的に参加しています。他部門と連携し誰もがわかりやすく安心して行える仕組みづくりに取り組んでいます。
当事者だからこそ気がつく視点を活かしていきたいと考えており、本ページも障がいのある従業員より意見を募り、作成をしています。

就労支援の取り組み

当行における障がいがある従業員の働き方を広く社会に向けて紹介するため、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構主催の「職業リハビリテーション研究・実践発表会」で取り組みを発表しています。また、東京都福祉保健局「就労支援機関連携スキル向上事業」研修にトレーナーを派遣しました。このほかにも、精神科デイケアや就労移行支援事業所で、就労を目指す障がいのある方への就労支援の一助として安定就労への心構えに関するプログラムも実施しています。
外部機関との連携の中で、他社における障がいのサポートについて学ぶことも多く、今後も障がいのある従業員がより安心して働ける職場環境づくりに努めていきます。

タウンホールミーティングでの手話口座に関する画像 タウンホールミーティングでの手話口座に関する画像
タウンホールミーティングでの手話口座
視覚障がいの疑似体験プログラムに関する画像 視覚障がいの疑似体験プログラムに関する画像
視覚障がいの疑似体験プログラム
フローチャート作成に関する画像 フローチャート作成に関する画像
フローチャート作成
周囲のサポートを受けて働いている様子に関する画像 周囲のサポートを受けて働いている様子に関する画像
周囲のサポートを受けて働いている様子
  • 「障がい」の表記については、漢字やひらがななど、表示のあり方をめぐり様々な議論があります。
    当行では、社会の側のバリア解消を意識しつつ、当事者の方々の心情も考慮し、「障がい」の表記を使用しております。