身近なところにある幸せなお金

コミュニティを支える優しいお金の使いかた

テクノロジーがますます発展し、私たちの生活にも多くの変化がもたらされています。多様化するSNSは次々と新しいコミュニティのあり方をつくり、キャッシュレッシュ時代の進化はスマホひとつで送金や決済を可能にしています。対人関係やお金の動きをボーダーレスにするシステムづくりが活発化するなか、ここ数年の間に、友人や家族などの小さなコミュニティでコミュケーションをお金が担うサービスが増えています。今回、紹介するのは代表的な3つのサービス。共通するのは、お金のやりとりが優しさにつながることです。

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少額だからこそ、気持ちが伝わる

2017年にスタートした「polca」(ポルカ)は、友人など限定されたメンバーのなかで資金集めができるクラウドファンディング。国内のクラウドファンディングでは知名度の高い「CAMPFIRE」が運営しています。「CAMPFIRE」との違いは、支援金額が300円から、目標金額が500円から30万円までという規模の小ささ。登録された企画内容はシェアされた人しか見ることができず、身近なコミュニティ内だけで気軽に支援集めができるのが魅力です。

「何か新しいことをやりたいときに従来のクラウドファンディングで資金集めを広く告知すると、応援してくれる人がいる一方、辛辣な批判を受けることもあります。それでやりたいことを諦めるのはもったいない。お金を集めることがもっと気軽なものになればいいなと思ったんです。では"気軽"ってなんだろう?と。それで、友人や家族など、身近な人だけから集められる仕組みづくりを考えました。」

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そう話すのはpolca事業部長の山田和樹さん。少額から始められる小さな規模を徹底したシステムづくりによって、polcaのユーザーは、現在20万人を超えるといいます。

「社会貢献や寄付のイメージも強いクラウドファンディングと比べて、polcaに集まる企画は個人的な動機が多いですね。イラストレーターになるためにタブレットが欲しい、海外留学に行く資金が欲しいなど。一般的なクラウドファンディングではプレゼンテーションが重要ですが、polcaでは50字程度の説明文でお金が集まることもある。それがこのサービスの面白みでもあります。また、polcaではモノにお金を払うのではなく、個人の活動に対して支援をするので、見返りを求めない支援者もいます。実際、お返しはお礼のメッセージや写真での報告、SNSで感謝のコメントを出すという企画も多いです。それはお金を受け取る側と支援する側のお互いが納得しているからこそ。少額という気軽さや、身近な人同士だから成り立ちやすいのだと思います。」

モノではなく、人にお金を使う、世の中の消費に対する価値観がどんどん変わってきていると山田さん。

「500円くらいのお金を若い人や頑張っている人の支援に使う。ほんの気持ち程度のお金で結果的にその人が成功したら、支援した人もきっと幸せだと思うんです。そのお金に対して、感謝の言葉が返ってくるのはとても温かいし優しい。それが数珠つなぎのようになるとお金を通した優しさがどんどん回っていくのではないでしょうか。誰かにパスを回してあげるようなお金の使い方を私たちが提供できるといいいですね。」

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気づかないお金のための共同財布

"共同財布"というテーマで、家族やコミュニティでお金を共有できるサービスを2018年にスタートした「Gojo」(ゴジョ)。polcaと同じくCAMPFIREが運営しています。特徴は、登録メンバーがひとつの財布をつくり、お金の出し入れができること。お金をめぐるちょっとしたわずらわしさを解決してくれるサービスだとプロダクトオーナーの中村貴一さんは話します。

「ルームシェアなどの共同生活では、細かい支出が結構ありますよね。食費はもちろん、トイレットペーパーやゴミ袋を買ったなど。当番がいるわけではないから、誰かが負担して、あとで割り勘が多い。毎回、清算するのも面倒です。こういう状況は実はほかにも多く、そんなところから、コミュニティ内のお金の動きをわかりやすく、なめらかにしようと誕生したのがGojoです。シェアハウスやサークル活動でも使われますし、カップルや夫婦での利用も多いです。」

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お金が見えるから人のつながりが持続する

旅行の積み立てや食事会での割り勘など、いろいろな活用が想像できるGojo。中村さんによると「グループ内のお金の細かい動きを可視化でき、管理のための時間を減らす」ところに強いニーズがあるとか。ほかにもこんな事例に注目しているそうです。

「親の介護が必要になったとき、その子どもたちがGojoで財布をつくるケースがあります。みんな離れて暮らしているけれど、アプリ上に共同財布をつくることでお金を負担しやすい。実際に介護をしている子どもが日々どのくらい細かな負担があるかもわかるし、親から離れて住んでいて、兄弟に介護を頼んでいるから、自分が少し多くお金を入れておこうといった心遣いも気負わずにできます。ほかには、目的はなくお金を貯めているコミュニティもあります。10人くらいのメンバーでみんな毎月2,000円ほど積み立てている。どうやら基金のようなシステムをつくっているようです。サラリーマンを辞めてフリーランスになるメンバーがいれば、駆け出しのあいだは貯まったお金を支給してあげたり。まさに昔の互助会のような役割を果たしています。」

そんなセーフティネット的な側面もGojoにはあるという中村さん。お金を共有することで、コミュニティの解散も防ぐことにつながるといいます。

「毎月、積み立てていると、グループを抜けたらせっかく貯めたお金がもったいないですし。お金のつながりが深いほどコミュニティは持続するともいえます。小さなコミュニティが失われつつある今、共有するお金をもつことが意外にも人と人とをつなげてくれるかもしれません。」

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コミュニケーションツールとしてお金を使う

「コミュニティコイン」と呼ばれるグループ内で使える地域通貨のようなお金をつくり、メンバー同士でメッセージとともにコインのやり取りができる「KOU」(コウ)。コインは、円やドルといった法定通貨とは関係のない、コミュニティだけで流通するもの。仕事でフォローしてくれた同僚や、サークルの準備を頑張ってくれたメンバーに感謝の気持ちをメッセージとコインで送る。そんなコミュニケーションとお金の概念が結びついたサービスです。取締役の中村真広さんに話を聞きました。

「僕はKOUに出資している『ツクルバ』で、シェアオフィスの展開や中古マンションのリノベーション事業をしています。人をつなげる場づくりをやってきたわけですが、その場には助け合いが生まれますよね。困っていると誰かが手伝ってくれたり。それを可視化できないかとスタートしたのがKOUなんです。」

お金を払うのは心苦しいけど、お礼の言葉では物足りない。そんな経験は誰にでもあるでしょう。中村さんは、だからこそ「仲間のおかね」としてのコインにこだわったといいます。

「別の単位でもいいのですが、コインにすればお金のリハビリになると思ったんです。お金があれば人間関係はなくても生きていけるというように進化してしまったけれど、お金はそもそもコミュニケーションツールです。そういう感覚を再認識できるコミュニティプラットフォームにしたかったんです。」

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ありがとうの気持ちがコインに

2018年にサービスを開始し、現在コミュニティ数は1,600以上。興味深い使い方も誕生しています。

「都市に住む人たちが、東北のとある村の住人になる『SHARE VILLAGE(シェアビレッジ)』というプロジェクトがあります。年会費を払って村民になると、自分の好きなときに自分の村へ行って楽しむことができるもので、元は古民家を再生する目的でしたが、参加者が急増しています。年会費は運営に関わることなので法定通貨で支払いますが、それはユーザーが運営側に支払う一方通行的なお金。シェアビレッジ内の情報やコミュニケーションに関しては、一方通行ではなく村民同士の交流も生み出して意識を高めるため、KOUが利用されています。例えば、お祭りや古い家の掃除などの助け合いでコインのやりとりをしています。」

コミュニティによってさまざまなコインの使いかたができるのもKOUの魅力。「フリーマーケットで、一冊の古本を300コインで販売ということもできますね」と中村さん。いずれにせよ、コインの用途よりも、大切なのは流通の動きだと強調します。

「お金と聞くと、実際にどう使えるのか考えてしまうと思いますが、KOUが重視しているのはそこではありません。コミュニティコインは他人とのやりとりの体温を可視化するもの。やりとりが増えるほどコインの流れがよくなる。つまり、トランザクション(取引)の多さが価値になるんです。特に100人を超えるコミュニティになると、アクティブな人、そうじゃない人など、コインの流通量でメンバーの人となりが見えてきたり。感謝の気持ちをお金で送る。そんな感謝経済としてのお金の広がりもこれからは必要だと思うんです。」

今回、紹介したサービスはどれもお金の流れが簡略化され、気軽なやりとりができるもの。これまでパーソナルなものだと思っていた「お金」は、今後、人と人をつなぐ温かいものになるかもしれません。幸せで優しいお金の使い方が、いま小さな経済圏で続々と誕生しています。

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PROFILE登場順)

山田和樹 polca 事業部 事業部長


横浜国立大学大学院修了後、2014年に株式会社ハイパーインターネッツ(現・株式会社CAMPFIRE)入社。CAMPFIREのキュレーター・カスタマーサクセス・ディレクターに従事する。18年1月よりフレンドファンディングアプリ『polca』の事業部長就任。19年2月同社執行役員就任。

polca https://polca.jp

中村貴一 Gojo プロジェクト プロダクトオーナー


早稲田大学卒業後、Slerやコンサルティング会社に従事。メインエンジニアとして、大手ゲーム会社でWebAPIフレームワークの開発や大手人材会社の共通IDシステムの基盤開発を行う。2016年に株式会社BrainCatを創設。同社代表取締役および最高技術責任者を務める。

Gojo https://lp.gojo.life

中村 真広 KOU 取締役


東京工業大学大学院建築学専攻修了後、不動産デベロッパーの株式会社コスモスイニシアに新卒入社。その後ミュージアムデザイン事務所にて、デジタルデバイスを活用したミュージアム展示や企画展などの空間プロデュースを経験。環境系NPOを経て、2011年8月に株式会社ツクルバを共同創業。代表取締役CCOに就任。18年より株式会社KOUの取締役を兼任。

KOU https://kou.by

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2019/5/25取材