事業等のリスク

トップリスク

2023年度の業務運営において、経営上重大な影響があるリスクをトップリスクとして認識しています。当行グループは、トップリスクを踏まえてリスクアペタイトや業務運営計画策定の議論を行い、リスク管理の高度化に取り組んでいます。

1.クレジット・クオリティの悪化

<リスクの内容>

  • インフレ鎮静化に向けて行われてきた米国をはじめとする各国中央銀行の利上げの影響による景気後退
  • ロシア・ウクライナ情勢の悪化、米中対立、その他地域の地政学的緊張の高まりによる世界の分断化の加速
  • ファイナンス環境の悪化に起因するリスク資産の価値の低下
  • 日銀の金融政策転換に起因する日本の金利の急激な上昇や円安の進行
  • 気候変動や人権尊重に関して対応が遅れた投融資先の、企業価値低下

<対応策>

各国中央銀行利上げの影響による景気後退リスクや地政学的緊張など先行きの不確実性が高まっていますが、貸出運営方針・投資運営方針・各種ガイドラインを遵守し、与信先のビジネスリスクを慎重に分析し良質な案件を選択的に取り上げ、分散の効いた良質なポートフォリオを構築してまいります。また既存の案件については適時に分析を行い、予兆の把握に努め、プロアクティブな与信管理を行ってまいります。

2.市場の混乱による保有有価証券の価値下落

<リスクの内容>

  • 地政学的緊張に起因する金融市場の混乱
  • インフレが鎮静化せず、各国中央銀行が利上げを継続することによる有価証券価値下落
  • 日本銀行の金融政策転換を起因とする日本の金利の急激な上昇や円安の進行

<対応策>

見通しが不透明な環境下、金利・株・クレジットの相関を考慮しつつ、流動性の高いポートフォリオを構築し、機動的なリスクコントロールを実施してまいります。また、リスク量・損失に関する各種協議ポイントを設定しており、早い段階で適切な対応が図れる態勢を整備しています。

3.金融市場の混乱・ボラティリティの高まりによる資金調達の不安定化

<リスクの内容>

  • ロシア・ウクライナ情勢の悪化や米中対立による地政学的緊張
  • インフレ長期化に対する各国中央銀行の利上げ継続、景気後退局面での利下げの両面に起因する、金融市場の混乱やボラティリティの高まりから生じる市場流動性低下等による外貨資金繰りの悪化や調達コストの上昇
  • 日本銀行の金融政策変更等に起因する、金融市場の混乱・ボラティリティの高まりから生じる市場流動性低下や銀行預金の金利環境の変動等による、円貨資金繰りの悪化や調達コストの上昇

<対応策>

円貨・外貨資金繰りについては、流動性の高い有価証券等を十分に保有し、各種決済に係る必要資金が適切に確保できるよう、万全を期しています。また、資金調達に支障が生じた場合を想定したシミュレーションを定期的に行い、資産規模を維持するのに十分な手元資金が確保されていることを確認し、資金確保のための対応策の手順を確認する訓練等を行っています。

4.大規模災害、サイバー攻撃、システム障害等の危機発生

<リスクの内容>

  • 自然災害、サイバー攻撃、重大なシステム障害、テロ、武力攻撃、パンデミック等の影響により、当行グループの業務の一部もしくは全体に深刻な影響。
  • お客さまへのサービス提供の停止、情報漏洩、不正送金の発生、及びそれらによる当行グループの企業価値の毀損

<対応策>

自然災害、サイバー攻撃、重大なシステム障害、テロ、武力攻撃、パンデミック等により、当行グループの業務に深刻な影響が生じることが無いよう、業務継続計画(BCP)の整備、各種訓練の継続的な実施、バックアップサイトの整備等を進めることでオペレーショナル・レジリエンスの確保を図っています。特に、サイバー攻撃に関しては、技術的対策の進化、検知能力強化、ビジネス部門とIT部門が連携した復旧訓練等を実施しています。

5.当行自体の構造転換、ビジネスモデルの転換の遅れ

<リスクの内容>

  • 世界的な産業構造の転換やデジタル化の進展、金融商品のコモディティ化、金融分野への他業種からの進出による競争激化、銀行業務範囲規制緩和への対応の遅れによる、当行グループの収益力の低下
  • サステナビリティ推進に関して消極的とみなされ、ESG評価が低下することに伴う外貨調達コストの上昇、サステナブルファイナンス機会の逸失、当行グループの企業価値の毀損

<対応策>

統合報告書2023』の「新中期経営計画「AOZORA2025」(2023~2025年度)」(P10~)および「サステナビリティの推進」(P60~)をご参照ください。

6.金融犯罪への対応不備、内部不正や情報漏洩の発生

<リスクの内容>

  • マネー・ローンダリング、テロ資金供与、拡散金融等の金融犯罪対策の不備、その他外為法上の経済制裁措置への対応や反社会的勢力排除態勢の不備、及びインサイダー取引規制違反、顧客情報の漏洩等により、刑罰や行政処分を受けるリスク、及び当行グループの企業価値の毀損

<対応策>

マネー・ローンダリング等防止の管理体制整備と経済制裁対象者対応の継続的な実効性確保、マネー・ローンダリングガイドライン改定並びに外国為替検査ガイドライン改定などを踏まえ、更なる高度化を推進してまいります。
年次のコンプライアンス・プログラムにおいて、法令・行内ルールの周知、モニタリング、研修などの計画設定と進捗状況を確認しています。また、全役職員からの誓約書徴求に加えてトップメッセージなどでの発信を継続することにより、倫理・行動基準の一層の浸透・定着を推進しています。
インサイダー取引未然防止・情報管理に関する注意喚起および研修・ eラーニングなどを実施し、役職員への周知を継続してまいります。

7.人材リソースのサステナビリティ

<リスクの内容>

  • ビジネス環境の変化に対応できる人材や「あおぞら型投資銀行ビジネス」など注力分野に必要なスキルセットを持つ人材が不足又は流出した場合、当行グループの業務運営やビジネス戦略の実現を通じた持続的成長に支障をきたす

<対応策>

ビジネス環境の変化に対応できる人材や「あおぞら型投資銀行ビジネス」など注力分野に必要なスキルセットを持つ人材が不足または流出した場合、当行グループの業務運営やビジネス戦略の実現を通じた持続的成長に支障をきたすリスクがあります。
「当行の人事制度や人材育成に係る人材戦略」については、『統合報告書2023』の新中期経営計画「AOZORA2025」(2023~2025年度)(P10~)および人材戦略(P74~)をご参照ください。