日本でゼロ金利政策が始まったのは1999年です。この年に生まれた方は今年で27歳になります。
つまり、今のアラサー世代の方々は、「銀行に預けたお金に金利が付き、目に見えて増えていく」ということをあまり実感してこなかった世代です。
しかし、時代は変化しています。そして、これからさまざまなライフイベントを迎える20~30代の方々は、まとまったお金と向き合う機会が増えていきます。
そんな方々に向け、「金利」との付き合い方のヒントを解説します。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が行っている「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、金融資産の有無について20~30代を見ると、「金融資産を保有していない世帯」の割合は、20代が21.6%、30代が17.6%となっています※1。
この調査は結婚・子育て世帯などの2人以上世帯を対象にしています。
この数字を見ると、20代ではまだ将来に対する危機感は高まっていない世帯が多い一方で、30代になると貯蓄に対する関心が徐々に高まり始めているように見受けられます。
背景には、お子さまの誕生や、それにともなう住み替え、親御さんの健康問題や老後のことなど、現実的なテーマが増えてくることが考えられます。
同調査で金融資産保有世帯の金融資産保有額を見ると、20代の平均値は683万円、中央値が260万円。30代の平均値は1,337万円、中央値が500万円です。
平均値は貯蓄額の大きい一部の世帯の影響を受けやすいため、実感に近いのは中央値だと言われています。
その中央値の数字からも、20代より30代の方が貯蓄に力を入れている状況が見て取れます。
20代より30代の方が、お金に対してシビアな感覚になっていくことは自然なことです。
結婚、出産、教育、マイホームといったライフイベントを経験する中で、ご自身が40代・50代になったときに、どのくらいお金が必要になるのか、具体的なイメージを持てるようになってくるためです。
お金の不安を軽減するには「どのようなライフイベントに、どのくらいのお金が必要になるのか」を、ある程度把握しておくことが必要です。
20代後半から30代前半に多いライフイベントが「結婚」です。
ゼクシィの結婚トレンド調査によると※2、婚約から結婚、新婚旅行にかかったお金は平均454万3,000円。
このうち大部分を占めるのが「結婚式」の費用で、挙式・披露宴を合わせると、平均343万9,000円です。
挙式・披露宴ではご祝儀をいただくため、そちらで費用の一部を賄うことができます。
たとえば、両家の招待客を50名とし、内訳を友人35人、親族15人としてみましょう。
ご祝儀額が友人が3万円、親族が5万円だったとすると、合計で180万円のご祝儀を受け取る試算になります。
これを踏まえると、婚約から結婚、新婚旅行までに必要となる自己負担分は、平均で274万3,000円程度まで抑えられる可能性があります。
【ライフイベントでかかるお金の平均値】
★婚約・結婚・新婚旅行にかかる費用 → 2,743,000円
次に出産に関わる費用の平均値です。
厚生労働省の「出産費用の状況等について」によると、正常分娩の平均妊婦合計負担額は、2024年9月請求分で59万4,191円でした。
一方で「出産育児一時金」として平均50万457円が支給されますので、実際にご家庭が負担する金額は、その差額に相当する9万3,734円になります※3。
前項の結婚関連費用に、この出産費用の自己負担分を加えると、合計283万6,734円になります。
【ライフイベントでかかるお金の平均値】
★婚約・結婚・新婚旅行にかかる費用:2,743,000円
★出産にかかる費用:93,734円
累計 → 2,836,734円
続いて、「教育費」について考えてみましょう。
文部科学省の「令和5年度子どもの学習費調査」※4によれば、保護者が1年間に子ども1人あたりに支出した学習費総額(公立の場合)は、幼稚園が18万4,646円、小学校が36万6,599円、中学校が54万2,450円となっています。
たとえば、20代後半で結婚し、すぐにお子さまが生まれた場合、30代の終わり頃にはお子さまが小学校を卒業するタイミングにあたります。
幼稚園2年間+小学校6年間でかかる教育費を合計すると、お子さま1人あたり256万8,886円程度が必要となる計算です。
お子さまを1人、公立の幼稚園・小学校へ入園・入学させた場合を想定したここまでの総額は、540万5,620円となります。
【ライフイベントでかかるお金の平均値】
★婚約・結婚・新婚旅行にかかる費用:2,743,000円
★出産にかかる費用:93,734円
★小学校卒業までの教育費:2,568,886円
累計 → 5,405,620円
そして、いよいよ住居費です。
30代前半から半ばにかけて、最初のお子さまが小学校に入学する頃に、マイホームの購入を検討される方も少なくありません。
住宅ローンの返済は毎月の給料から行うことになりますが、住宅ローンの負担を軽くし、返済計画に余裕を持たせるためには、ある程度の「頭金」を準備しておくことが重要です。
住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査(2025年度)」によると※5、住宅購入にあたり用意した手持金(頭金)の全国平均値は551万2,000円でした。
もしマイホームを購入したいと考えるなら、30代までにこのくらいの頭金を1つの目安として準備しておくことが望ましいでしょう。
ここまでの金額をすべて合わせると、次のようになります。
【ライフイベントでかかるお金の平均値】
★婚約・結婚・新婚旅行にかかる費用:2,743,000円
★出産にかかる費用:93,734円
★小学校卒業までの教育費:2,568,886円
★住宅購入の頭金:5,512,000円
累計 → 10,917,620円
ここまでの数字を見ると、「1,000万円以上を事前に貯めるのは難しそう」と感じる方はいらっしゃると思います。
しかし、実際には「これらすべてを事前に貯めておかなければいけない」というわけではありません。
結婚式費用や出産費用、住宅の頭金はあらかじめ準備しておく必要がありますが、子どもの教育費は、毎月の給料から少しずつ支払っていくタイプのお金です。
それを踏まえると、「事前に計画的に貯めておきたいお金」は、結婚式費用、出産費用の自己負担分、マイホームの頭金で、合計834万8,734円となります。
年齢ごとに考えると、20代で準備しておきたいお金は、結婚式費用の274万3,000円ですが、結婚する2人で割れば137万1,500円です。20代の貯蓄額の中央値が260万円ですから、十分にカバーできるといえそうです。
結婚後は2人で力を合わせて貯蓄を増やす努力をするわけですが、その中で大きな山場となるのが、「マイホームの頭金作り」です。しかし、計画的な資金作りを意識すれば難しいことではありません。
大切なのは「計画的に積み上げていく」ことですが、その方法を考えなければなりません。
毎月の生活費用は使い勝手のよい普通預金口座、マイホームの頭金など将来のためのお金は定期預金口座といったように、目的ごとに口座を分けて管理することも有効です。
こうして目的別にお金を「見える化」しながら、5年後、10年後という決まったゴールに向けた計画的な資金づくりを行うには、元本が保証され、かつ利率も確定した銀行預金が適していると言えるでしょう。
あおぞら銀行BANKであれば、次のような使い勝手の良さがあります。
あおぞら銀行BANKのような、金利・手数料・利便性などの観点で特徴のある銀行をうまく活用することで、「お金を減らさない」「お金を働かせる」という視点を取り入れることができます。
このように、数年後のマイホーム購入に向けた頭金など、使う時期が決まっている大切なお金は、値動きのある投資で増やすことよりも普通預金や定期預金などで減らさないことも有効な選択肢です。
必要なタイミングで安心して使える状態を保ちながら、預けている間は利息も受け取れるため、大切な資金を堅実に管理できます。
資産形成のためのお金は長期・積立・分散を基本とし、マイホームの頭金など近い将来に使う予定のあるお金は「減らさない」ことを優先する――そんな目的に応じたお金の置き場所を考えることも、将来の安心につながるでしょう。
鈴木雅光
金融ジャーナリスト
有限会社JOYnt 代表
1989年岡三証券入社後、業界紙の記者に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースをはじめ、雑誌やWeb媒体、テレビ等のコンテンツ制作に幅広く関わる。著書に『銀行の本店はなぜ仰々しいのか? 金融業界の謎』(幻冬舎)等。
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