お金だけでなく、時間を効率的に使う「タイパ（タイムパフォーマンス）」への意識がＺ世代を中心に高まっているといわれています。

たとえば、アルバイト。これまでは、アルバイト情報を探し、面接を経て採用され、働き始めるというステップを踏むのが一般的でした。しかし、もっと自分の都合に合わせてアルバイトをしたいという人の声をひろい、スキマ時間を利用して働くことができるアプリやウェブサービスが人気となっています。

アプリで自分のスキマ時間を活用した仕事を探しやすくなったことから、若い世代だけでなく、ミドルエイジが会社につとめながらスキマ時間に副業としてアルバイトをする例も増えてきたそうです。

今回は、「働きたい時間」と「働いて欲しい時間」をマッチングするスキマバイトサービス「タイミー」広報の松本知世さんにお話を聞きました。

学生だけでなく副収入が欲しい社会人にも人気

タイミーのサービスが開始されたのは2018年の8月。丸5年が経ち、会社の規模も大きくなり、サービスを作るプロダクトのメンバー以外にも企業のタイミー活用をサポートする人員も充実しています。ワーカー（タイミーの働き手）数も2021年が約228万人でしたが2024年2月には約3.1倍の約700万人にまで増加しました。

松本さんいわく「学生の働き手が多いというイメージをお持ちの方も多いですが、会社員の方も全体の約3割を占めており、副業解禁が影響していると思います。ほかにも、物価高が進み、副収入を得る目的で働かれる方も増えています」

タイミー利用者の年齢層は、20〜40代をボリュームゾーンとしながら、50代や60代、シニア層など年代を問わず幅広い世代で利用されています。

また、タイミーを副業目的で利用する人の本業は「会社員」「会社役員」「公務員」「自営業・自由業」等であり、その年収レンジは200万～400万円がボリュームゾーンですが、幅広く分布していることが分かります。

（タイミープレスリリース「副業に関する実態調査」より）

働きやすいように仕事の要素を分解

タイミーを利用して副業する人の多くは、会社の就業後や休日の時間を使っています。普段デスクワークで体を動かす機会が少ない人が物流倉庫でのピッキングの作業をしたり、学生時代のアルバイト経験を活かしたり、一度働いてみたかった業種にチャレンジしたりと、さまざまな選択ができます。そこで、新しい自分の才能や相性に気付くこともあるそうです。
初めての方でも働きやすいよう、雇う側（事業者側）には業務を切り分け、環境を整えてもらうようタイミーがコンサルティングしています。

たとえば、ホテルの客室清掃の仕事なら、ベッドメイクを全部お任せするのは難しいですが、『カバーを外す作業』など、わかりやすい業務に切り分けることで、安心してワーカーに任せられます。その分既存従業員は本業に専念できるといった負担の軽減に繋がります。

アルバイトだけではなく長期採用も。「多様な働き方」実現への期待

最短1時間からできるタイミーのスキマバイトですが、長時間働いてしっかり報酬を得たいワーカーもいれば、短いスキマ時間を有効活用して働きたいワーカーもいて、ニーズはさまざま。

「リピートして働いているうちに、双方の合意があれば長期アルバイトや正社員としての引き抜きもできます。弊社に対する何かしらの手数料が発生したり、弊社に紹介義務が発生したりしないので、長期的な採用の目的でタイミーを活用されている方もいらっしゃいます」（松本さん）

多様な働き方が提供されているので、ライフスタイルに合ったものを選択することができます。

スキマバイトの副業で自己肯定感が上がる

スキマバイトで副業をすることで、収入が増える以外にもスキルや知識を得たり、自己肯定感が上がったり、気分転換になって本業に集中できるようになったり、という効果があることが、タイミーが実施したアンケートからわかってきました。

（タイミープレスリリース「副業に関する実態調査」より）

タイミーのアプリにはワーカーと事業者の相互評価機能が備わっており、お互いにレビューを残すことができます。

「相互評価の機能には、仕事の透明性を担保する目的もあります。さまざまなワーカーが働いたレビューがアプリ上に蓄積されるため、ワーカーが求人に申し込む時の判断材料になります。
また、2023年末にバッジ機能を実装しました。ワーカーのスキルや実績を可視化する機能で、事業者が承認するとバッジが付与されます。ワーカーは自身が働いたことによる評価が可視化されるので、それが自己肯定感の向上につながっているのではないでしょうか」（松本さん）

副業をしてスキルアップを目指す人も

タイミーは人を募集するだけではなく、スキルや資格を習得できる機会の提供もしています。
たとえば、アルバイト全員がタイミーワーカーの居酒屋。ここは飲食店で働くスキルを身につけるための教育協力店という位置付けです。このお店で働くことで、未経験でも飲食店で働くためのスキルなどを身につけることができるのです。

ほかにも、技能教育訓練を行いフォークリフトの免許が取得できる研修プログラムや、ホテル宴会スタッフ研修会、介護職員初任者研修会なども実施しているそうです。

資格取得や能力が上がることによって、ワーカーのスキルが高くなり、マッチングできる仕事が増えていくというわけです。

元々飲食業界の案件が多かったタイミーですが、コロナ禍をきっかけに物流業にシフトし、現在は多用な業界・業種で使われるようになってきています。スキマ時間を活用してお金を稼ぎながら、新しい自分の才能や相性に気付くきっかけにしてみるのもよいかもしれません。

Interview&Words：INCLUSIVE.inc
Photos：Daisuke Fujii

2024/2/15

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